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隣りの勇者とパーティを組むことになりました  作者: 雲乃琳雨


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36/40

36、魔法アイテム

「じゃあ、今日はもう帰ろうか」

「うん。今日は最高数だね」

「そうだね」


 私たちは麻酔草を採取してから、六層目まで戻ってゲートで塔に戻った。階段を降りると、ミサたちが廊下を歩いてるのが見えた。良かった!


「ミサ! メイア! 渡すものがあるよ」


 二人に手をふった。テーブルの上で渡すものを取り出すと、二人が寄ってきた。


「ダンジョンフルーツが取れたよ。一個ずつね」

『ありがとう!』

「すごい! 初めて見た!」


 メイアは感動していた。


「今日の鎮静効果のある薬草と、麻酔草ね。あと、バターも一個渡しておくね」

「わあ! ありがとう!」


 バターはメイアが受け取って、薬草は二人で分けて袋にしまった。二人とは塔の外で手をふって別れた。

 私たちは協会に入った。今日もカシムさんだけだった。


「カシムさん、こんにちは。今日はダンジョンフルーツを持ってきたよ。ダリアさんもどうぞ」


 袋から二個取り出した。


「ありがとう!!」

「お~、すまないな。これもおいしいよな。

 今日は俺も、ユミにプレゼントを持ってきたぞ」


 おっ! なんだろう。カシムさんは隣に置いたリュックから小さい紙袋を取り出した。


「魔法使いが作った眠り玉だ」

「眠り玉?」


 魔法アイテムは高価だ! カシムさんは袋を開けて玉を一つ取り出した。


「これを人に当てると、はじけて粉が出る。粉を吸い込むと三十分は眠ったままだ。モンスターには効かない。人間の護身(ごしん)用だ」

「ありがとうございます!!」


 やった! 私が喜んだのでカシムさんは満足そうだった。おっと、また忘れるところだった。


「グローブ取ってきましたよ。六個取れたから、冒険者の店と三個ずつどうかなと思って」

「ユミ、全部譲ってくれ!」

「え?」


 カシムさんが顔を下げて、拝んできた。


「依頼人から十個頼まれてるんだ」

「そうですか……分かりました」


 店は後だな……。カシムさんから四八〇ルトもらって、私が一六〇ルト取って、あとはルイスに渡した。カシムさんにグローブを六個渡す。

 ダリアさんに魔鉱石を換金してもらう。


「今日は七〇三八ルトよ! どうしちゃったの? すごいわね」


 本当だ!! びっくり。ルイスと顔を見合わせた。最高数だったからそうなるか。


「群れを狩ったから……」


 と言っておいた。みんなは森の中に、あまり入らないからな……。

 私たちはお金を受け取ると、協会を出てバターの納品に向かった。


 ジョンソンパンに入る。


『こんにちは』

「こんにちは。いらっしゃい」


 ルラさんが明るく迎えてくれた。


「バターの納品に来ました。フルーツもありますよ。パンに使うかなと思って」

「ありがとう!! お疲れ様! 昨日高級パンの販売だったけど、二回目も即完売だったわよ!」

「すごい!」


 袋からバターとフルーツを二個ずつ取り出した。


「良かった! フルーツも本当においしかったから、フルーツパンも出したいねって言ってたのよ! ユミちゃんたちのほうから言ってくれて助かるわ!」

「じゃあ、フルーツもバターと同じでパン三個でいいよね」


 ルイスに聞いてみた。ルイスも笑顔で答えた。


「いいよ」

「えっ!? いいの!? フルーツの売値は銅貨一枚からなのに!」


 高っ! ポーションと同じ値段!?


「はい、みんなに安く食べてもらえるから」

「ありがとう! それと、言いにくいんだけど~、なぜかユメイナホテルからバターを売ってほしいって言われてるのよ~」

「えっ!?」


 どこで話が……? 高級パンが評判になったからかな? ルイスと顔を見合わせた。ルイスがうなずいたので、ルラさんに答えた。


「いいですよ。ちょうど、余分に持ってるから、バター二個を置いていきます。フルーツも置いていこうかな」

「えっ!? いいの?」

「はい、多分ホテルでも出したいだろうなと思うので」

「ありがとう。一緒に聞いてみるね。あとバターは三十ルトで、フルーツは六十ルトで売っていいかしら」


 ルラさんが申し訳なさそうに言う。


「いいですよ」

「ありがとう! 二人とも本当にいい子ね。助かるわ!

 これでローンが、思ったより早く返せそうね!」


 店のローンがあるんだ! お店は大変だな……。


「ユミちゃんたちが食べたいと思って、今日は高級パンを取っておいたのよ。ララさんに持っていくと思ったから、クロワッサンは三個、食パンは一斤ね」

「え~、いいんですか! 思ってました! やったー」

「もちろんよ。ナンシーは試食してるから、あげなくても大丈夫よ。

 食パンも三等分に切り分けるわね。パンを選んどいてね。一個十ルトで、八十ルト分ね。端数(はすう)はプラス一個でいいわよ」

「は~い」


 ルラさんは厨房に、高級パンを取りに行った。楽しみだ~、よだれが出そう。


「まさかこんなに早く食べれるとは! 良かったね」

「うん」


 私たちは、高級パンの分を引いてパンを選んだ。

 高級クロワッサンは普通のパンの二倍で六ルト。三個だと十八ルト。高級食パンも普通の食パンの二倍なので十二ルトで、高級パンの合計は三十ルト。

 残り五十ルトで、選ぶパンは十七個分だ。


「え~と、私の分が五個で、ルイスの分が十二個だね」

「分かった」


 私たちがパンをトレーに乗せると、店頭のパンはだいぶ減った。ルラさんが戻ってきて、選んだパンと一緒に袋に入れてくれた。

 普通のパンだと二七個と大量になるので、ホテルの分は注文が入ってからのほうがいいかな? ジョンソンパンの注文分だけだと報酬のパンは十四個だ。


 ルラさんと新しく取り決めをした。アイテムが三個以上の納品から、一個十ルトで計算することになった。ジョンソンパンはプリンや焼き菓子も置いてあるので、それも選べる。焼き菓子は日持ちするので残っていることが多い。


 交換品がないときは、欲しいパンを注文して翌日取りに行くことになった。お店がフードバンクに渡す分が減るから、自分でたまに持って行こうかな……。

 ルラさんはご機嫌だった。


「在庫が一掃されて回転が良くなるから、助かるわ~」

「物々交換の収入も、記録しておかないとね」


 私がルイスに言うと、ルイスもうなずいた。ルラさんも在庫を記録しているだろう。今日のカシムさんとの取引も記録しておかないとな。


 私たちはパンを大量に持って帰った。ララさんに高級パンを渡すと、とても喜んでくれた。私たちもニッコリした。

 今日の夜はクロワッサンを食べることにした。明日は食パンでサンドイッチを作ろう。楽しみだ!


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