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隣りの勇者とパーティを組むことになりました  作者: 雲乃琳雨


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34/40

34、エイの無限水筒

 エイはポンと音を立てて消えた。上から魔鉱石と水筒が落ちて来る。


「痛たた!」


 私たちは頭を手で押さえた。魔鉱石五個と水筒が三個だ! ルイスも取れた!


「上手くいったね!」

「うん! やった!」


 水筒は蓋つきの金属の筒で、マットな黒の塗装(とそう)がしてある。カーキ色のホルダーに入っていた。ホルダーは持ち手付きで、便利! 二人で一個ずつ持った。余った一個はまた誰かにあげよう。魔鉱石はルイスの袋に入れた。

 火傷(やけど)に効く薬草を採取したので、ルイスに言った。


「じゃあ、九層に行こう」

「うん」


 私たちが森から出ると、またライルたちは休憩していた。疲れているのかな?


「何か取れた?」


 ぼさぼさヘアーの子が聞いてきた。私が答えた。


「エイがいたよ」

「あははは! 残念!」


 その子は大きく笑った口に手を当てて喜んだ。私たちは入口を出た。中から声が聞こえる。


「頑張ってねー!」


 私はルイスに言った。


「嫌味だよね」

「多分ね」


 九層に降りると、ここも騒がしかった。みんな手前から進んで、午後に奥に行くからな……。通路を見ると三本とも埋まって対戦していた。右からホーンパンダ、ホーントラ、ホーンサイだ。ここは森がないから、三パーティしか挑戦できない。必ずモンスターを倒さないと、先に進めないようになっていた。ルイスが言った。


「仕方ない。十層に行こう」

「うん」


 十層は初めて降りる。いきなりボス戦だ! 十層目は静かだった。


「誰もいないのかな?」

「どうだろう」


 真ん中の道を歩くと、前からホーンブルが現れた。赤い雄牛だ。角は元々左右にあるけど、額にもモンスターの角がある。頭を下げて前足で地面をかいている。やる気満々だ。


「ユミは下がって」

「うん」


 ここで二人並んで対戦するのは難しいな。二人とも武器が長いし。私は邪魔にならないように離れた。

 ルイスは相手が攻撃する前に、相手の頭部に剣を刺した。牛はポンと消えて、赤い魔鉱石が落ちた。あっさり片付いた。さすが聖剣……。ルイスが魔鉱石を拾って、私たちは先を進んだ。


 今度はホーンワニが現れた。敵が低い! ルイスはこれも難なく、口に剣を刺して倒した。青の魔鉱石が落ちた。ドロップアイテムはない。


「楽勝だね!」

「うん……」


 私が言うと、ルイスは苦笑した。道を進むとゲートが見えた。通路の先は壁になっていて、ボス戦の部屋の扉が見える。手前のモンスターは二体だけだった。私たちは昼ご飯にした。


「モンスターはもういなさそうだね」

「そうだね」


 昼ご飯を終えると、ボスの部屋まで来た。いよいよだ。九層は飛ばしちゃったけどまあいいか。ルイスが言った。


「よし、入るか」

「うん」


「ちょっと待った!!」


 左から声がした。見ると男の子二人が走ってくる。


「俺たちが先だ!」


 どう見ても私たちが先でしょ……。二人は私たちの前にくると、後ろの子は膝に手を置いて息を整えた。前の子が話す。


「アストロ寮の年長者パーティがやっと終わったんだ。——だからやっと番が回ってきたんだよ」


 なるほど。ボスを倒すと、もうその日は扉が開かない。倒すのも一人一回だけで、アイテムはエクストラポーションが必ずドロップされる。


 このポーションは体力を上げてくれる優れものだ。当然、買取値段も千ルトと跳ね上がる。

 エクストラポーションの下が、マーメイがドロップするハイポーションで、アイテムポーションの二倍の効果があり、レベル二までの毒に効く。エクストラポーションはその一・五倍の効果だ。


 ルイスが手の平を出して言った。


「分かった。俺たち急いでないから。二日後に来るよ。その時は、倒せてなくても譲らなくていいよな?」

「……ああ」


 二人はちょっとテンションが下がったが、返事をした。私たちは奥も行ってみることにして、右に歩いていった。


「真ん中の通路は、年長者たちが使ってたのかな? そのパーティ、エイを追い払ってた人に、朝の先頭を取らせていたよ」

「そうなんだ……。さっきの二人も、慣れたルートのほうが良かったんだろうね」


 突き当りで左に曲がった。しばらくするとホーンゴリラが現れた。ルイスが胸を突いて倒した。緑の魔鉱石と、ポーションを落とした。


「久しぶりのポーションだ!」


 ルイスは、アイテムポーションを持っていなかったから良かった。ルイスは魔鉱石を袋に入れて、ポーションはリュックにしまった。

 奥の階段に着いた。ルイスがぽつんと言った。


「一体しかいなかったね」

「うん。裏からのほうが距離が短いよね」

「そうだね。次は裏から来よう」

「うん、いいね! どうする? ゲートから帰る?」

「そうだな。倒した通路から、またモンスターが出てくるか見てみようか」

「うん」


 私たちは来た道を戻った。モンスターは現れなかった。さっき倒してから時間が経ってないからかな? ゲートに入って塔に戻った。

 協会に行くとカシムさんだけで、ローシャさんとレヴィさんのパーティはいなかった。


「あれ。みんないないね」

「ああ。あいつら、泊まり込みで入ってるんじゃないか?」


 カシムさんが答えた。そっか、元気になったということだから良かった。ダリアさんも言った。


「なんだか、ガランとしましたね。まさかこうなるとは」


 アイテム恐るべし。私は早速水筒を出した。ホルダーの持ち手を持って見せる。


「今日は、これを採ってきましたよ!」

「おっ!! これはエイの無限水筒!」

「さすがカシムさん、よくご存じで! 一個余分に取れたのであげます」


 カシムさんは水筒を受け取った。


「ありがとう! ユミ。お前はすごいぞ」

「今日はルイスも取ったんですよ」

「お前たちはやっぱりすごい!」


 私たちは褒められて、ニッコリ笑い合った。カシムさんが何かに気がついた。


「ユミ、かわいいグローブをしてるな」

「そうでしょ。ルイスにもらったんです」

「昨日、ユミの誕生日だったんですよ」

「えっ! そうなのか? いつももらってばかりだからな。——よし、なんかお前の喜びそうなものを、俺もプレゼントするよ」


 え~! びっくりだけど、うれしい!


「あ、はい。楽しみにしてます」


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