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隣りの勇者とパーティを組むことになりました  作者: 雲乃琳雨


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32/40

32、誕生日プレゼント

 九層目は、ベージュ色のレンガ造りで通路しかなかった。横の道は三人通れるが、縦の道は二人しか通れない。天井もレンガで、部屋ぐらいの高さだ。魔法石の照明が所々にあって暗くはなかった。ここもひんやりして寒い。


「ここも(つく)りが全く違うね」

「うん」


 人の声が聞こえた。


「あれ? ここも混んでるのかな? それとも手前の方が空いていたのかも」

「そうかもしれない。明日は八層の手前から行こうか」

「うん」

「じゃあ、今日は目的も果たしたし、もう帰ろう」

「うん」


 私たちは他の人と鉢合わせないように、急いで階段に戻った。六層目まで上って、ゲートから塔に戻った。

 協会に行くと、今日はレヴィさんたちがいたので、時計を渡した。


「ありがとう! こんな高価なものを」

「これがあれば安心だな!」


 二人とも驚きながらも喜んでくれた。


「私たち、金曜日から三日間、四十層にいたのよ。主にマップ作りをしていたの。それから、二日休んでいたのよ。

 マントを羽織(はお)っていると、本当に調子が良かったわ」

「ああ」


 へ~、そうなんだ! マントは、ダンジョン内の空気から守ってくれる効果もあるんだ。すごい!

 ダリアさんに魔鉱石七個とプレートを渡した。


「Dランクの魔鉱石ね。ランクアップおめでとう。二人ともかな?」

『そうです!』


 私は一体だけど……。誕生日のいい記念になったな。D級になったプレートを受け取って、首につけた。ルイスとほほえみ合う。


「今日は、三一七八ルトよ」


 これで収入が銀貨五枚を超えた! ルイスは金貨一枚分だ。私のハンマーを買っちゃったけど……。私たちはお金を受け取ると、みんなに挨拶をして外に出た。


「これから、冒険者の店に行こうよ。ユミのプレゼントを買いたいんだ」

「え!? うん。ありがとう」


 驚いたけど、行くことにした。楽しみ~。

 冒険者の店に入ると、前と同じおじさんが声をかけてくれた。


「また来てくれたんだね。ありがとう。そのハンマーどう?」

「こんにちは。これはすごいですよ!」

「そうだよね! 売れ残ってたけど、やっぱり初心者の子にはいい武器だよね。なんで売れないんだろ?」


 やっぱり売れ残ってたんだ……。


「色じゃないですか? 木の色にしておけば、魔法使いの杖みたいでいいと思います」

「そうだね! いいことを聞いた。ありがとう! また作ってもらおうっと。

 今日は何を探しに来たの?」

「アイテムのフィンガーレスグローブありますか? ユミが欲しいって言ってたから」


 ルイスが答えた。そうだった。そういえばコヨーテに会ってないな。ルイスを避けているのかも。


「ピンク色でちょうどいいのがあるよ」


 え~! ハンマーとお揃いでいいな。売れ残りなんだろうけど……。おじさんがピンクのグローブを持ってきて、私に渡してくれた。


「わあ、かわいい!」

「魔法染色してあるんだよ。女の子用にピンクにしたんだけど、売れ残っちゃってね」


 やっぱり……。ルイスは言った。


「じゃあ、これにします」

「二八〇ルトだけど、二百ルトにしてあげるよ」


 グローブ高い! 魔法染色してあるからかな? 魔法使いへの依頼料は高い。銅貨一枚はする。グローブの買取は五十ルトだった。それなら、自分でグローブを取ったときに魔法使いに頼んだほうがいいのかな。でも、現われないコヨーテを待つより買った方が早いか。ルイスはおじさんに聞いた。


「装備で、何か持っておくといいものってありますか?」

「あるよ。最近の売れ筋は縄だね」

「縄? 崖を上るとか?」

「強盗だよ。最近多いらしいよ。みんな買っていくね」

「じゃあ、二個ください」

「一個二十ルトね。全部で二四〇ルトね」


 縄高いな~。八十ルトおまけしてもらったからいいか……。おじさんが縄を出すと、ルイスは巾着からお金を出しておじさんに渡した。


「グローブが取れたら、六十ルトで買い取ってあげるから持ってきてよ。うちは協会から七十ルトで買ってるから。みんな低層階には行かないから、持ってなくて売れるんだよ。それで品薄」


 へえ~、そうなんだ。私も聞いてみた。


「他にも買取してるんですか?」

「うん、してるよ。でもみんな独自ルートを開拓(かいたく)するから、持ってくる人は少ないね。協会よりは高く買い取るよ」


 あれ? もしかして協会で換金するのは子供だけ?


『だからみんな協会に売らないんだよ』


 カシムさんの言葉を思い出した。今度ダリアさんに聞いてみよ。

 ルイスから縄を一組渡された。


「これはユミの分ね」


 縄は長い縄と短めの縄のセットだ。グローブは私が持ったままだ。


「分かった。グローブありがとう」

「うん」


 素敵なプレゼントだ! 縄も? 私はグローブをはめた。


「また来てね」

「はい」


 おじさんに手をふって店を出た。この後は、ジョンソンパンに納品に行く。

 ジョンソンパンに着くと、ルラさんが興奮してアイテムバターのパンの話をした。


「食パンとクロワッサンを高級パンで売り出したけど、試食を置いたら即完売したのよ!」

「わあ! 良かった。今日もバターを持ってきましたよ」


 ルラさんにバター二個と、生クリーム一瓶、フルーツ一個を渡した。ルラさんは大喜びした。


「これはアイテムの生クリームとフルーツね! 食べてみたいと思ってたのよ! ありがとう! パンを多めに持っていって」

「いえ、パンは六個でいいです」


 申し訳ないので断った。


「あらそうなの。でも今日は特別に、ユミちゃんにケーキがあるのよ!」

「わあ、ありがとうございます!!」

「誕生日おめでとう」


 やった~! ルラさんから、かわいいホールケーキをもらった。黄桃を焼いたタルトで、上にチョコの誕生日プレートが乗っている。うれしいな。でも一人だと多いから、みんなで分けよう。報酬のパンも選んだ。

 今日は素敵な誕生日になったな。


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