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隣りの勇者とパーティを組むことになりました  作者: 雲乃琳雨


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23/30

23、新しい作戦

「ねえ、(はさ)み撃ちしない? ルイスが中に入って、道のほうに追い立てて、出てきたところを私が仕留(しと)めるのは?」

「いいね」


 今は私も武器があるので、別行動ができる。早速、ルイスはジャングルの中に入っていった。ルイスには申し訳ないが、まあ攻撃はされないだろう。

 少し待つとモンキーの声がして、(つた)を持って振り子のように森から出てきた。ちょっと出遅れたが、不意打(ふいう)ちで叩く。ポンッと消えて黄色の魔鉱石とバターを落とした。


「やった!」


 キー!


「え?」


 喜ぶ間もなく、もう一匹蔦を持って出てくる。


「わっ!」


 慌てて叩く。次は茂みから音がしたので、四つん()いで出てきたところをハンマーを持ち換えて叩いた。あっという間に三個取れた。


「ルイス! 取れたよ!」

「分かった~」


 ルイスに声をかけると、返事が聞こえた。良かった。それから魔鉱石とバターを拾い集めた。ルイスがジャングルから出てくる。


「ルイスは大丈夫だった?」

「うん。(とげ)のある植物とかあったけど、切って進んだから大丈夫」

「え!? ごめんね!」

「いいよ。切る練習にもなったし」

「そっか。バターは三個手に入ったよ」

「モンキーは集団で行動するから、まとめて取れそうだね」

「そうだね。自分たちの分も取ろうよ」

「うん」


 私たちはそのまま奥に進んだ。ホーン山猫は出て来なかった。鎮静効果のある薬草も採取した。


「じゃあまた、ここに入ってみるね」

「うん」


 ルイスがジャングルに入って、また追い立て(りょう)をする。私が出てきたモンキーたちを仕留めた。高い位置を飛んできたモンキーは届かないので、反対側のジャングルに消えていった。また三個取れたのでルイスに声をかけた。


「ルイス~、取れたよ」

「分かった~」


 ルイスが出てくる。


「また三個取れた。これだと、メイアたちにも一個ずつ渡せるね」

「良かった」

「じゃあ、二階に行って合流しよう」


 階段まで戻ると二階に行って、ミサたちを探した。


「こんにちは。どうしたの?」

「こんにちは。バターが取れたから持ってきた」

「わ! ありがとう! じゃあ、お昼にしようか」

「うん」


 メイアが元気よく返事をした。二人にバターを渡すと、それぞれ魔法袋に入れた。三人で腰を下ろして昼ご飯を食べる。


「ジョンソンパンの依頼で、三層目でバターを取ってたんだよ」

「そうなんだ。ユミたちも依頼を受けるなんて、様になってきたわね」


 えへへ。そう言われて、ちょっとうれしかった。


「ジョンソンパンはサンテスにあるパン屋ね。食べてみたいけど、アイテムバターのパンなら高いわよね」

「でも、バター一個につき、パン三個の物々交換だから、ちょっと高いぐらいの値段だと思うよ」

「パン三個!? もっと高いでしょ?」

「協会の買取も十ルトだから、同じぐらいかな」

「そっか。協会の買取は安いわよね。それなら、直接買い取れば安く提供(ていきょう)できるわね」


 それから、ルイスのアイドルのコンサートの話になった。ミサはおもしろがり、メイアは目を輝かせた。


「私たち人混みがダメだから、コンサートには行けないけど、アイ君はお店でもいいって言ってくれたんだ」

「今週は無理だったけど、来週の土曜日のランチの予約が取れたから行くことになったよ。空いてれば、平日のティータイムにも行こうかって話になった」


 二人は楽しそうに話した。


「今日の帰りは協会に寄って、魔法袋があるか聞いてみるね。あったら買うつもり」


 ミサとメイアが顔を見合わせてニッコリ笑った。


「私も聞いてみる」


 昼ご飯を食べ終わると、二人と別れて六層目に向かった。


「ユミのドロップ率は百パーセントだね」

「そうだね」


 最初は取れなかったけど、自分でも当たり前になってきたな……。ロバのマントのことを思い出した。


「そうだ、五層目に寄って、ロバを試してみようかな」

「いいね。行こう!」


 五層目に寄ってみる。少し歩いたら、薄茶色のホーンロバに出くわした。ここは誰もいないから油断していたようだ。ロバは私を見て固まった。両前足を上げると、突然ポンッとマントを出した。


『!』


 そしてそのまま後ずさりして、見えなくなった。ロバって、後ずさりするんだ……。


「嘘! マントだけ落としていなくなった!」

「ユミを見て怯えてたな……ホーンロバ界では、ユミは悪名高(あくみょうだか)い冒険者なのかもしれない」

「え? なんか嫌だな。まあ、そうかもしれないけど……対決しなくて済んだからいっか」


 この分だとマントは楽勝じゃない? 私はマントを拾った。ルイスの分が取れたな。


「ねえ、俺たちまだ普通ダンジョンには行かないから、おじさんたちにマントを先に渡したらどうかな」

「——そうだね! そうしよう! きっと喜ぶよ」


 二人で笑った。私たちは六層目に降りた。ここも湿度が高くてジャングルみたいだ。中央の道を進む。鳴き声や音がしなくてとても静かだ。


「なんか変だね」

「そうだね」


 しばらく歩くが何も出て来なかった。中央ゲートまで歩くと向こう側から二人組が現れた。昨日後ろにいた二人組だ。向こうも気がついた。


「あ! お前」

「ユミンスよ」


 とりあえず自己紹介した。


「よお、ここは俺たちが全部狩ったからもう何もいないぜ」

『え!?』


 私たちは驚いた。二人がすごいってことはないはず……。


「どういうこと?」

「ここは、四体しかいないんだ。ずっと回ってるけど、毎日四体しか出てこない」

「そうなんだ!」

「七層目が混んでるから、俺たち毎日最初にここに来るんだ。そうじゃないと収穫がないからな。まあ、お前らは残念だったな」

「じゃあ、七層目に行くしかないね」


 ルイスは私を見て言った。二人はルイスを見て緊張していた。ひそひそと何か話している。


「聖剣の奴、やっぱり迫力あるよな」

「そうだな。ミサが言った通り、怒ると怖そうだ」


 二人は私を見て口パクで話しかけてきた。


《お前、言ってないだろうな》


 って言ってるようだ。私も口パクで答えた。


《言ってない。忘れてたから、今言うわ》

《やめろー!!》

《冗談よ》


 二人が慌てたけど、私の返答にムッとしてルイスに言った。


「お前、こいつのことあまり信用しないほうがいいぞ」

「?」


 ルイスは、何のことか分からないという顔をした。今日初めて会った人のことを、ルイスが信用するわけないでしょ。ルイスがふと何かに気がついた。


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