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隣りの勇者とパーティを組むことになりました  作者: 雲乃琳雨


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17/23

17、ロバのマント人気

「はい、瓶のお金の一五〇ルトね」


 ダリアさんはミサたちに七五ルトずつ渡した。二人とも顔を見合わせて、すごくうれしそうだった。ミサは私に耳打ちした。


「余計なこと言ってゴメンね」

「いいよ。態度が良くなったから、かえって良かったかも」


 私もこそっと返した。ミサとメイアは後ろに下がった。


「じゃあ私たち、薬局に行くからまた明日ね」

「うん。明日はよろしく」


 手をふって別れた。おじさんたちもミサたちに手をふった。ミサたちも苦笑いして手をふり返した。これで良かったんだ……。

 私たちは魔鉱石を七個出した。ダリアさんがグレーの魔鉱石を手に取ってよく見ていた。


「あら、これはロバの魔鉱石じゃない?」

「はい」


 私が答えた。色で分かるんだな。さすが! ルイスがダリアさんに言った。


「ユミが倒したんです。だからEランクに昇格してください」

「まあ! すごいわ。今日は武器を持っているのね。一日で倒すなんてすごいわね! じゃあプレートを出して」


 私は冒険者証を外して渡した。褒められてすごくうれしかったけど照れた。


「ユミちゃんはすごいね」

「本当だね」


 おじさんたちもニコニコ褒めてくれたけど、態度が違い過ぎて怖い……。


「数は多いけど、今日は一三八四ルトよ」

「ユミの練習のために、一層目と二層目に行ったんです」

「そうだったの!」


 ルイスが言うとダリアさんは納得した。お金をそれぞれもらい、私は冒険者証も受け取った。ランクがEに変わっていた。それを見ると笑みがこぼれた。また首に下げる。カシムさんが顎に手を当てながら話した。


「ロバを倒すなんてすごいな。ロバは用心深いから、めったに出てこないんだが」

「そうなんですか? ユミはロバのマントも手に入れたんですよ」


 ルイスが何気(なにげ)なく言った。


「なんだって!?」


 カシムさんが急に大声を出し、その場が凍り付いた。今までで一番静かになった気がする……どうしたんだろう……。


「ロバのマントは、大人でもほとんど手に入れられない(まぼろし)(しな)なんだ。一回落とすと一月は落とさないとも言われている。それを一回で手に入れただと?」


 (けわ)しい目で、カシムさんが私を見ていた。怖い……。しかも、二回手に入れようとしていた私……。


「じゃあ、次は来月ってことだね」

「いやいや、そうじゃないだろ。どういうことだ。簡単に手に入りそうな口ぶりだな」

「……ユミはドロップ率が高いんです。一層目と二層目でもポーションを手に入れてましたから」

「マジか。二層目までは、ほぼ(ぜろ)に等しいのに。ありえん!」


 やっぱりすごいのか……な?


「じゃあ、ルイスの分が取れたら、カシムさんにも取ってきますよ」

「何!?」

「ずるい! 俺たちもロバのマント欲しい!」

「え?」


 右のおじさんも立ち上がり、目を見開いて言った。……まあ、そうなるよな。


「……おじさん、私たちもハムを食べたかったんですよ」

「あ、すまん……つい」


 おじさんは席に座って大人しくなった。これは使える……!


「私も欲しい!」


 ダリアさんまで言い出した。


「いや、ダリアさんはやめたほうがいいです。着ていると強盗に遭うって本に書いてありましたから……」


 子供アイム図鑑に、「街で着ると強盗に遭うから気をつけてね」って書いてあった……。着れるのは、冒険者と貴族ぐらいだ。


「そうよね。私には不釣り合いだわ」


 ダリアさんは首を横に傾けてあきらめた。私は部屋を見渡した。


「じゃあ、ここにいる人の分だけ、取れたら持ってきます」

「くれるの?」

「はい」


 右のおじさんが聞いたので答えた。


「天使か!? もう、俺に迎えが来たのか!?」


 おじさんが、おかしくなっている……。横の二人が支えて落ち着かせる。カシムさんが言った。


「タダで? なんで?」

「私たち、そんなにお金が要らないから」

「俺は聖剣を持っているから、他の人より狩りが楽だし、還元しないと」

「誰に?」

「社会に」


 カシムさんは上を向いて目を押さえた。しばらくして、気を取り直すと気まずそうに言った。

 

「分かった。俺の分は最後でいいから」

「はい……」

「それが終わったらユミ、俺と契約しないか? ロバのマントは売れるから依頼人が欲しがると思う」

「!」


 これは、仕事の話だ! おお~、なんかすごい!


「じゃあ、数か月後のその時に考えます」

「そうしてくれ」


 私が答えると、カシムさんは笑顔みせた。それから、カシムさんは右側の五人に向かって言った。


「このことは秘密だぞ」

「もちろんだ! ユミちゃんの秘密は俺たちが守る」


 おじさん三人が親指を立てて、ニッと笑った。ルイスが口を開いた。


「じゃあ、そろそろ行こう」

「うん」

「じゃあな」

「みなさんも、さようなら」


 みんなに手をふって協会を出た。入る前と出た後で、全然様子が変わった。ルイスが言った。


「なんか入りやすくなったね」

「そうだね」

「ユミはすごいね」

「え? そうかな。でも全部ルイスがいたからだよ。ルイスが居なければダンジョンには入れなかったし、ドロップ率のことも分からなかったと思う。

 全部ルイスのおかげだよ。ありがとう」


 ルイスはうれしそうに、ニッコリほほえんだ。


「俺のほうこそ、ユミがいなかったらこんなに楽しくダンジョンに行ってなかったと思う」

「私たち、いいパーティだよね」


 ルイスもそう思ってくれていたんだ。すごくうれしい! 私たちはほほえみ合った。


「昨日ナンシーに、ルラさんが話があるから、ジョンソンパンに寄ってほしいって言われたんだけど、ルイスはいい?」

「いいよ。パンも買いに行く」

「よし、じゃあ行こう!」


 私たちはジョンソンパンに向かった。


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