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隣りの勇者とパーティを組むことになりました  作者: 雲乃琳雨


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15/25

15、ポーションの試飲

 ミサたちのところに戻ると昼ご飯を入口の近くで取った。すぐに逃げられて安全だから、いつもそうしているそうだ。


「昨日の薬草も一人、八〇ルトになったわ。ありがとう」

「良かった!」


 咳止めはあの量で六〇ルトか。高いな。ミサがルイスに聞いた。


「話って何?」

「うん、俺が明日休むから、ユミも一緒にダンジョンに入ってもいいかなって、お願いなんだけど」

「そうなの? いいわよ。私たちは朝開く前から来ているから、それまでに来れば一緒に入りましょ」

「分かった」

「ユミは、朝大丈夫なの?」


 メイアが聞いてきた。


「うん。派遣の仕事をしていたときに、朝早い仕事もあったから、いつも六時に起きるようにしているの」

「わっ、すごい! 休みの日も?」

「うん」

「休みの日はずっと寝てる!」

「私も」


 ミサも同意した。


「私も最初はそうだったけど、毎日同じほうが体が楽なんだよね」

「マネできない」


 メイアがそう言うと、みんなで笑った。


「ユミのハンマーは武器なの? ずいぶんかわいいわね」

「うん、そうなんだ! そうだ、今日ポーションが三個も取れたの、また取れそうだから、二人に一個ずつあげるね」

「アイテムのポーションが!」


 ミサとメイアの目の色が変わった。え? どうしたの……二人とも? ちょっと怖い……。


「二つもらえるなら、一つ飲んでもいいかしら? アイテムのポーションは高くて買えないから、試飲してみたいの!」


 えー!! 私とルイスは驚いた。もったいないから、何でもないのに飲むという考えがなかった。ミサたちも好奇心旺盛だな……。


「いいけど……」

「それなら、半ポーションがあるからそれをみんなで飲もうよ」

「半ポーション!?」


 またミサの目の色が変わった。ひぇ……。


「半ポーションは、ほこりのよね」

「うん……」

「すごいわ! 半ポーションはアイテムポーションの一・五倍の効果だもの! 一生お目にかかれないと思っていたわ!」


 ミサが今まで会った中で一番目を(かがや)かせていた……。ルイスはミサに水色の半ポーションを渡した。


「メイアは全部飲んじゃうから最後ね」

「もう!」


 ミサはポーションを少し飲むと私に渡した。


「ああ、すごいわ。疲れが取れる。魔法使いのポーションより二倍の効果だものね。段違いだわ!」


 ミサは顔を輝かせて感激していた。本当に顔色がいい。私も少し飲んでから、ルイスに渡した。


 ——初めて飲んだけど、午前中の疲れが取れて、朝よりも元気になった気がする。とても清々しい気分だ。

 ルイスも飲むとメイアに渡した。メイアはやっぱり全部飲み干した。


「すごい! 気持ちいいから、いつものより元気になるね」

「……本当だ」


 ルイスも自分の体を見ていた。みんなでポーションを飲んでしまうなんて、ちょっといけない気もするけど、いい体験だった。


「これで、午後からも元気に採取ができるわ。本当にありがとう」

「うん。瓶はあげるから、換金していいよ。明日のお礼にもなるから」

「本当に!? ありがとう」


 ルイスがミサに言った。半ポーションの瓶も、一・五倍の一五〇ルトになる。


「私たち、結構ポーションを使っているの。どうしてもモンスターと出くわすから、逃げる時に転んで怪我をすると傷に垂らしたり、瘴気に当てられたら飲んだりで、二人ともいつも二本ずつ持っているのよ」

「そうだったの!?」


 それだと大変だ。ルールだと、開封したらダンジョンを出ないといけない。買って戻ればいいんだけど、それだと面倒だよね……。

 昼ご飯も済んだので、ミサたちと別れて階段を降りた。私はちょっと笑った。


「まさか飲むとは思わなかったね」

「うん! でも、ポーションがどういうものか分かって良かったよ」

「うん。そうだね」


 私たちは五層目まで降りた。ここも森で、誰もいない。ルイスが言った。


「どうやら、いなくなった子たちは、四、五層目にいたんだろうね」

「ダンジョンが広くなるとはいえ、結構な人数だよね。普通ダンジョンも混んでるっておじさんが言っていたから、混んでいるとなかなか狩りができないということかな」


 それでも、みんな先に進みたいから上の層には行かないんだな……。二人で昼ご飯の時にミサから仕入れた情報を話した。


「アトロス寮に残った子たちは三十人ぐらいで、十人は普通ダンジョンにいるから、この先にいるのはミサたちを抜いて十八人と、あとは地元の子が数人か」

「ボス戦は難しいから、手前の九層で活動してる子もいるとか言ってたね」


 先に進み始めた。向こうからホーンロバがゆっくり歩いてきた。だんだんサイズが大物になってくる。

 ホーンロバは私たちを見ると、歯をむき出しにして戦闘態勢に入った。ロバはルイスの聖剣に引きつけられているようだ。私はその隙に横に回った。ロバは前足を上げてルイスを威嚇(いかく)した。


 私はなんとなく、ホーンロバのかかとを打ってみたくなったので、ハンマーで叩いてみた。ロバは驚いて硬直し、そのまま横倒しになって消えた。


「あ、やった……」

「ユミ、すごいよ!」


 ロバが消えるとグレーの魔鉱石と、グレーのロバのマントが落ちた。


「ロバのマントだ!」


 ロバのマントは最高級の防寒用の魔法のマントだ。着る人によって伸縮する。売り値は金貨一枚からと言われている。


「装備にいいね!」

「うん。とっておこう」


 ルイスも同意した。私はマントを魔法袋に入れた。


「ロバのマントは高級品だし、超レアで手に入らないのに……」

「もしかしたら、あの倒し方が良かったのかも」


 ルイスが笑った。


「ユミもこれでEランクだね」

「そうだ! わー、うれしい! ルイスと一緒だ」

「うん!」


 二人でパチンと軽く手を合わせて喜んだ。やった~! こんなに早くランクアップできるなんて、噓みたいだ!


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