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隣りの勇者とパーティを組むことになりました  作者: 雲乃琳雨


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14/25

14、初めての狩り

 私は寮の部屋にいた。外で音がしたのでナンシーが帰ってきたようだ。早速、ナンシーに会いに行く。


「え~、ルイスがコンサートに?」

「うん」


 ナンシーの部屋で私がお茶を準備して、ナンシーは買い物した食材を片付けていた。ナンシーも意外そうに驚いていた。


「それで、日曜の昼食をヴィエントで(おご)ることにしたから、三人でどうかな?」

「いいよ! 会えるのが楽しみ。予約しておくね」

「よろしく」


 私はポットにお湯を注いだ。ナンシーがお菓子を用意しながら言う。


「ルイスの話が楽しみだね」

「本当!」


 ダンジョンツアーのお土産の話もした。


「バージョンアップのお土産は聞いたんだけど、内緒だって言われた」

「アハハ、そうなんだ」

「でも、ナンシーは好きだと思うよ」


 私も笑った。その後私たちはゆっくりお茶をして、今日武器を買った話をした。女の子が話すことじゃないかもとふと思った。ナンシーも驚いたけど、冒険者の店には興味津々だった。ナンシーは好奇心旺盛だ。



 翌日、私はハンマーをリュックに差して意気揚々と歩いた。


(ユミはうれしそうだな)


 ルイスも私を見てニコニコしていた。子供ダンジョンに着くと門番のおじさんが、ハンマーに気がついた。


「新しい武器だね」

「はい!」


 私は笑顔で返事をした。


「頑張って」

「ありがとうございます」


 おじさんにも応援してもらって、気分が上がる~。一層目に着いた。


「じゃあ、午前中は一層目で、午後から五層目に行こう。途中でミサたちに会いに行こう」

「うん。分かった!」

「俺が、援護するから。どんどん打ってみて」

「はい!」


 私は敬礼をして元気よく返事をした。奥に進むと、ホーンラビットが現れた。ルイスが、前に出て陽動する。私が後ろに回る。なんだかかわいそうだけど、ハンマーを振り下ろした。カスッ……

 かすった……当たらない!? ホーンラビットに気づかれて、こちらにぐんっと弾丸のように飛んできた! うわぁああ!


「ユミ! 避けて!」


 とっさに、横に飛んだ。ルイスが剣を振って、ホーンラビットに風を当てた。ホーンラビットは消えて、魔鉱石を落とした。


「あ、当たらない……」


 私は両手をついて愕然(がくぜん)とした……。ルイスが少し汗をかいて、笑顔で励ましてくれた。


「大丈夫だよ。俺もまだ、剣を当てたことはないから……。まず、素振りの練習をしたほうがいいかも」

「うん」

「自分が思ったところに先端が行くように練習してみて」


 私は気を取り直して、ハンマーを前に振り下ろした。左にそれた。右に振り上げ気味だったかも。


「思ったより、ずれるな。細長いから、先をコントロールするのが難しいんだ」


 私は何度か調整して、ようやく正面に振り下ろすことができた。いろんな角度から上げて、正面に下ろす。


「いい感じだよ」

「うん!」


 今度は横に振ってみる。感覚が掴めた気がする。遠心力で自分を一回転してみせた。


「おお~、回る」

「ははは。じゃあ、そろそろ行こうか」

「うん」


 歩くと、ホーンマウスに出会った。相手は普通のネズミと同じ大きさで小さいから、これも難しそう。ルイスがさっきと同じように、マウスを自分に引きつける。今度は上手くやらないと。私は、マウスめがけて振り下ろした。小さい衝撃が走ると、マウスが消えて魔鉱石とポーションを落とした。


「ポーションだ!」

「え!? すごい」


 ルイスも驚いた。私は青い魔鉱石とポーションを拾った。


「あまり強く叩かなかったけど、衝撃だけでいいのかな?」

「そうみたいだね」


 ルイスは考えながら言った。ポーションに思わず驚いてたけど、私——


「初めての狩りに成功したんだ! やったー!」


 やった、やった、やった~! 私は飛び跳ねて喜んだ!


「うん! 小さい獲物に当てたんだからすごいよ!」


 ルイスも褒めてくれた。ルイスはいい先生だ。それから、ホーンリスに会った。木の上だから狙いにくいが、好戦的なので襲いかかってくる。私は避けると、小さいリスと睨み合った。飛びかかってくるものにはどう当てたらいいんだろう?


「こっちだ!」


 ルイスがホーンリスの横に回って声を出すと、ホーンリスはルイスのほうを見た。今だ! 私はハンマーを振り下ろした。見事に命中して消えた。茶色の魔鉱石とポーションを落とした。


「またポーションだ!」

「やったね! ……もしかすると、衝撃が弱いほうがアイテムを落とすのかも」

「そうなんだ! それはいいことが分かったね。これでポーションを買わなくても済む!」


 大体の人は思いっきりやっちゃうからな。アイテムのポーションは効果が高いので高値で売れる。


 魔法使いのポーションの瓶は、持ちやすいように細身で多面カットされていてきれいだ。瓶は回収されてそのまま再利用される。持っていくと五ルト返金される。

 アイテムのほうはつるんとして底が少し膨らんでいる。こちらは偽物が売られないように、材料として溶かして再利用される。


 アイテムの瓶は普通のガラスと混ぜると強度が増し、割れにくくなるのだ。瓶の買取だけで百ルトする。そのため、アイテムのポーションの価格は魔法使いのポーションの二・五倍だ。つまり二五〇ルト。

 どっちも瓶の蓋だけど、魔法で中身がこぼれないようになっている。不思議だ。


 次もホーンリスが現れた。同じ作戦でやってみる。今度は、ポーションを落とさなかった。


「あれ? やっぱり、確率の問題もあるのかな」

「そうだね」

「でも、二本も手に入るなんてすごい!」

「じゃあ、そろそろ二階に降りよう」

「そうだね。ミサたちと昼ご飯を食べよう!」


 私たちは二階に降りた。二人を大声で呼んでみる。


「ミサー、メイア―」

「……こっちよー」


 ミサの声がしたほうへ行ってみた。


「おはよう!」

「おはよう。どうしたの?」

「今日は話があるから、一緒にご飯を食べようと思って」

「いいわよ」


 私はポケットから懐中時計を取り出して見た。時間は十一時だった。


「じゃあ、まだ時間があるから。狩りをしてるね」

「うん」


 私たちは奥に進んだ。ホーンドッグが現れた。ルイスが(おとり)になって私が後ろから叩くが、消えなかった! ホーンドッグが振り返り、目が合うと歯をむき出しにして、(うな)り出した。

 やばい! ホーンドッグが飛びかかってきた! 私がハンマーを突き出して防御すると、ホーンドッグのほうが勢いよくハンマーにぶつかって消えた。良かった!


「危なかったね」

「うん! でもコツが分かったかも」


 相手の力を利用すればいいんだ! ホーンドッグもポーションを落とした。魔鉱石は赤だ。


「ポーションだ! やった!」

「もしかして、聖剣だと威力が強すぎるのかな?」

「そうかも」

「なるほど……」


 また新しいことが分かったな。


「そろそろ、戻ろう」

「うん!」


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