第39話 杏歌の座学【午後・門番編】②
【第二部】遺志を継ぐ者たち―巡―
「ここからは、もっと重要な話に入るわよ。みんなの業務に直結する内容だからね。特に雲祈。外交班である私たちと交易班は、ここをしっかり理解しておかないといけないわ」
私の言葉に、雲祈はごくりと息を呑んだ。
大納と蒼月も同じく真っ直ぐに私を見据えていた。
「みんなに文書を出す際の紙の扱い方は、以前説明したわよね。これから話すのは、文書を書き終えた後のことよ」
雲祈は「ほほ〜ぅ」と言いながら、顎に手を当てて頷いた。
「まず、各門には開門時間と閉門時間があるの。開門は日が高くなってから、閉門は日が沈む頃。それ以外の時間は、茶々蔵か栄善の許可がないと通れないわ」
「すごくきっちりとした決まりがあるんですね、杏歌さん」
「そうなのよ、蒼月。これには理由があって、他国へ出す文書を門番の方たちに確実に把握してもらうためでもあるの。もちろん、侵入者の取り締まりを厳重にするって意味もあるんだけどね」
「門番の方々の勤め……聞けば聞くほど素晴らしいです」
大納がしみじみと呟く中、雲祈が勢いよく手を挙げた。
「どうぞ、雲祈」
「杏歌様は、たまに団丸さんや七左衛門さんたちと飲みに行かれると伺いましたが、その際は茶々蔵さんか栄善様へ許可を取られている、という理解で合っていますか?」
「えぇ、雲祈の質問で、分かりやすい例えができそうね。そうなの。私たちが飲みに行く時間は、閉門時間を過ぎていることが多いから、茶々蔵か栄善のどちらかに許可をもらって行ってるわ。その際は夜間木札が必要になるから、茶々蔵か栄善の刻印が彫られた木札を受け取るの。その木札を、お城の門番の方へ証明として見せて外出するのよ」
「あぁ〜、なんて楽しそうな響きでしょう。私も杏歌様とお二人で、夜間木札を受け取りたいです〜」
いつものようにくねくねと身を揺らしながら、楽しそうに言う雲祈。
「私たちも一人前になったら、三人で飲みに行って、熱く語り明かそうな!」
「うん!夜間木札の話を聞いて、ますます胸が躍ってきたよ!」
三人の士気がさらに高まったのを感じて、私は続きの説明を始めた。




