第37話 杏歌の座学【甘味時間】
【第二部】遺志を継ぐ者たち―巡―
「みんな、お疲れ様。よく頑張ったわね。ここで一旦休憩を挟んで、甘味でもいただきましょう」
「わーい!」
「あぁ、杏歌様と甘味のひととき〜」
「今日の甘味は何か楽しみだな」
「うん、勉強の合間の甘味は特別だよね」
みんなで笑い声を上げながら話していると、襖がそっと開けられた。
「みんな、ご苦労さんじゃったな。昼の甘味を持ってきたぞ。これを食べて、午後も頑張るのじゃよ」
「茶々蔵、いつもありがとう。楽しみにしてたわ」
「茶々蔵さん、ありがとうございます!」
「今日はみたらし団子だ!ありがとうございます!」
「ありがとうございます!これを食べて、午後からも頑張ります!」
ふふっ。
元気いっぱいの三人に次々と御礼を言われた茶々蔵は、穏やかな微笑みを浮かべ、この場を後にした。
私たちがお団子を口に運んでいると、今度は春風と柚寧が書斎を訪ねてきた。
「どうだ杏歌。私たちの可愛い部下たちは、しっかり学んでいるか?」
「みんな、午後に備えて今はしっかり休憩を取るのよ。杏歌、午後からもこの子たちをよろしく頼むわね」
「えぇ、雲祈も大納も蒼月もとても勉強熱心で、感心するわ。だから午後からも安心して任せてちょうだい、柚寧」
私の言葉に、春風も柚寧も安心したように微笑んだ。
「春風さん、私の勉強の成果を楽しみにしていてください!」
「柚寧さん、私も早く戦力になれるように励みます!」
「私もです!一人前の勘定使者として、柚寧さんのお役に立てるように頑張ります!」
「あぁ、雲祈、楽しみにしてるからな」
「えぇ、大納と蒼月、とても頼もしいわ」
そう言うと、春風と柚寧は三人の素直な言葉を受け止め、微笑みながら書斎を後にした。
しばらく静かになった書斎に、次第にどたどたと騒がしい足音が響き始める。
──なんか、嫌な予感がする……
次の瞬間、襖がばんっ!と大きな音を立てて開いた。
「おーい!雲祈と大納と蒼月ー!訓練に励んでるかー!!がはははは〜っ!」
やっぱり……現れたのは団丸だったわ。
私の部屋と書斎の襖は、いつか確実に団丸に破壊されるわね。
そんなことを考えていると、七左衛門と哀伝も続けて姿を見せた。
「団丸……雲祈たちは訓練してるんじゃないんだぞ。お前の頭の中は、食べ物か訓練のことしか入ってないだろ絶対」
「ぷはははは〜っ!七左衛門の言う通りだね!団丸、本当に面白いんだけど!」
その三人のやり取りに、思わずみんなも声を上げて笑ってしまい、書斎はたちまち賑やかな空気に包まれる。
少しだけ言葉を交わした後、雲祈、大納、蒼月に応援の言葉を送りながら、哀伝たちはそれぞれの持ち場へ戻っていった。
静けさの戻った書斎で、三人が改めて口を揃えた。
「皆さんが、こうして様子を見に来てくださって、私はとても幸せです!杏歌様、午後からもよろしくお願いします!」
「あぁ、雲祈に同感だ!力がみなぎってくるな。杏歌さん、午後からもご指導のもと、よろしくお願いします!」
「本当にありがたいことだよね!私たちを一人前にしてください、杏歌さん!」
ふふっ。
元気いっぱいなこの子たちを見ていると、私も教え甲斐があって嬉しくなるわね。
「えぇ、もちろんよ三人とも。私がしっかり一人前にしてあげるわ。午後からもちゃんとついてきなさい」
「あぁ〜、杏歌様。なんて凛々しい〜。私はあなたに一生ついていきますとも〜」
「さすが杏歌さん!雲祈は少し変ですが、気にせず午後も突き進みましょう」
「ははっ、雲祈は相変わらずだね。午後もたくさん学べるの楽しみだね」
こうしてお昼の甘味を食べ終えた私たちは、再び机に向かい、午後の座学を始めた。




