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綿毛のように遠くまで  作者: かけらあつめ


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わたしのお父さん


お父さんのことここまで嫌いじゃなかった。


少し遠くにいるしゃがんだお父さんが、よーい、どんって言ったらかけ出すの。

でっかいお父さんの胸に飛び込んでギュッて抱きあげられて楽しくって笑ってて。


お父さんもお母さんもにこにこしてた。


手を繋いでくれた。

ぎゅって抱きしめてくれた。

肩車してくれた。

自転車の乗り方を教えてくれた。


お父さんのこと嫌いじゃなかったの。

いつからかわかんない。

反抗期かな、お父さんとお母さんが喧嘩するようになってからかな。


気づいたらお父さんが嫌いになっていた。


そこからずるずる。

離婚した後もそれは変わらない。


成長するにつれて、力が強くなって、初めて反抗できた時、手が震えた。

だって、いつもぶたれてた。

怖くなってベッドで丸くなったけれど怒ったお父さんがやってくる。

2段ベッドだったからハシゴを登ってきたけど後ろ向いてやり過ごす。

少し冷静になったのかな。その時お父さんは私を殴らなかった。


号泣。言いたいことが言葉にならなくて、繋がらなくて、涙が止まらなかった。


家から出たかった。

なんでお父さんと暮らさないといけないのって。

お母さんと一緒にいたい。

そう思っていたけれど、お母さんは自分の稼ぎじゃ養えないって言ってお父さんと暮らしなさいっていう。

一緒にいたいって言っても困った顔でそう言うだけ。


この時にAIがあったらよかったのにな。

私には話せる相手がいなかった。




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