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別れ

美津子は自然の流れで澤登に罠を仕掛ける。

山猫はどう出るのか。


第十三話 罠

 黒木美津子は、ここしばらくの間、サバゲーそのものよりも「その外側」に意識を向けるようになっていた。

 フィールドに足を運べば、以前なら装備や地形、戦術にしか目が行かなかったはずだ。だが今は違う。セーフティゾーンの隅、掲示板の片隅、誰も気に留めない紙切れに、視線が吸い寄せられる。

 ――行方不明者情報。

 簡素な写真。年齢。特徴。最後に確認された場所。

 その多くに、共通点があった。

 サバゲゲーマー。

 単身者。

 身寄りが少ない。

(偶然……?)

 何度そう思おうとしても、心が納得しない。

 しかも、その件を追っているのは警察だけではない。

 “公安が動いている”という噂まで流れている。

 ただの失踪ではない。

 そう思わせるには、十分すぎる材料だった。

 龍崎をはじめとしてRagdollのメンバーも、どこか探るような動きを見せている。

 入国管理官チーム――あの紺の集団も、明らかに“仕事の目”で何かを見ている。

 そして。

 ――澤登亮。

 山猫。

 あの男が現れてから、すべての線が妙に近づいた気がする。

(考えすぎ……?)

 そう自分に言い聞かせる。

 だが、消えない。

 あの冷静さ。

 あの判断速度。

 あの、どこか“現場慣れ”した動き。

 ただの趣味にしては、出来すぎている。

(……確かめるしかない)

 美津子はスマホを手に取った。

 ――来週、サバゲ行きませんか?

 短いメッセージを送信する。

 だが、既読はつかない。

 一時間。

 二時間。

 その日は、そのまま終わった。

(やっぱり……)

 意図的に距離を取られているような気がした。

 翌日。

 ポケットの中で、スマホが震える。

 画面を開く。

 ――どこのフィールドに行きますか?

 ようやく来た返事。

 それだけで、胸の奥に小さな緊張が走る。

(普通……に見えるけど)

 だが、ここからが本題だ。

 ――たまには東京のインドアは?

 送る。

 少し間が空く。

 既読はついたが、返信はすぐには来ない。

(……迷ってる?)

 それとも、警戒している?

 数分後、返事が届く。

 ――行っても良いですが、インドアはスナイパーが活躍出来ないですね。アウトドアにしませんか?

 予想通りの反応だった。

(やっぱり、狙撃にこだわる)

 だが、それだけではない気がする。

 インドアは視界が制限される。

 逃げ場も少ない。

 もし何か“やましいこと”があるなら――

(……いや、考えすぎよ)

 美津子はすぐに打ち返す。

 ――狙撃だけがサバゲじゃないし、インドア戦の技術も身につけたいじゃないですか?

 少しだけ、押す。

 返事は、さらに間が空いた。

 そして。

 ――美津子さんが良いなら行きましょう。

 その一文を見た瞬間、胸の奥で何かが引っかかった。

(……引いた?)

 あっさりと了承しすぎている。

 もっと抵抗すると思っていた。

 それが逆に、不自然だった。

 ◆

 美津子は、完全なインドアではなく、半ドアフィールドを選んだ。

 東京郊外。

 屋外の広さを持ちながら、内部構造はインドアのように作り込まれている。

 建物、遮蔽物、通路、死角。

 逃げ場はあるが、自由ではない。

(ちょうどいい)

 観察するには、十分な環境だ。

 予約を済ませると同時に、入国管理官チームへ連絡を入れる。

 ――来週、山猫と半ドアフィールドに行きます。

 すぐに返信は来なかった。

 だが、それでいい。

(何が起きるか……)

 あるいは。

(何も起きないか)

 それなら、それでいい。

 すべてが思い過ごしで終わるなら、それに越したことはない。

 ◆

 当日。

 空は、皮肉なほど晴れていた。

 雲ひとつない青空。

 風も穏やかで、絶好のサバゲ日和。

 だが美津子の胸の内は、晴れてはいなかった。

 高速道路を走りながら、何度も同じことを考える。

(来るのか……)

 澤登は。

 本当に来るのか。

 約束はした。

 だが、あの男のことだ。直前で姿を消す可能性もある。

 あるいは――

(……もう来ないとか)

 アクセルを踏む足に、わずかに力が入る。

 ◆

 二時間後。

 フィールドに到着する。

 エンジンを切った瞬間、静寂が訪れた。

 妙に、静かだった。

 車を降りる。

 空気が乾いている。

 セーフティゾーンは、思ったよりも狭かった。

 三十人も入れば、確かに“芋洗い状態”になるだろう。

 だが今日は人数制限がかかっているため、混雑はしていない。

 その分――

 人の動きが、よく見える。

(視線が通る)

 観察しやすい。

 荷物を降ろし、テーブルに広げる。

 アサルトライフルFAMASを取り出し、チェックを始める。

 いつもの動作。

 だが、今日は少しだけ慎重だった。

「おはようございます」

 声をかけられる。

 顔を上げると、あの入国管理官リーダーが立っていた。

 紺の装い。

 柔らかな笑顔。

 前回と同じだ。

「おはようございます。今日もご一緒できて楽しみです」

 美津子も笑顔で応じる。

 だが内心では、別のことを考えている。

(この人たちも……見てる)

 リーダーは軽く周囲を見回した。

「山猫さんは、まだ来ていないんですね」

「ええ、まだです」

 その言葉に、わずかな間が生まれる。

 リーダーの目が、一瞬だけ鋭くなる。

 すぐに戻るが、見逃さない。

(やっぱり……)

「隣、よろしいですか?」

「どうぞ」

 自然な流れで、距離が近づく。

 ◆

「さぁ、みんな。今日は半ドア戦だ。楽しもう!」

 リーダーが声を張る。

 チームメンバーが応じる。

 その様子を横目に見ながら、美津子は装備を整える。

(……まだ来ない)

 時間を確認する。

 集合時刻は過ぎている。

 だが、ゲーム開始まではまだ余裕がある。

 スタッフがルール説明を始める。

 注意事項。

 ヒットコール。

 セーフティの扱い。

 すべてが耳に入ってくるが、頭には残らない。

(遅い……)

 嫌な予感が、少しずつ膨らむ。

(来ない……?)

 それとも。

(どこかで見てる……?)

 ふと、背筋に冷たいものが走る。

 視線を感じた気がした。

 振り向く。

 だが、誰もいない。

 いや、いる。

 いるが――

 “それらしい人間”はいない。

 ◆

 説明が終わる。

「では、間もなくゲーム開始です」

 スタッフの声。

 参加者が動き出す。

 銃を手に取り、配置につく。

 それでも。

 澤登の姿は、まだない。

(どういうこと……)

 胸の奥で、疑念が膨らむ。

 来ないのか。

 それとも。

 すでに――

 “中にいる”のか。

 美津子は、無意識に周囲を見回した。

 そして気づく。

 このフィールドは。

 見えるようで、見えない。

 隠れる場所が多すぎる。

(……罠?)

 その言葉が、頭の中で静かに形を持った。

 ゲーム開始のホーンが鳴る直前。

 美津子の鼓動は、すでに戦闘のそれではなかった。

 もっと別の。

 見えない何かに対する、警戒の鼓動だった。

〈中盤〉

 開始のホーンが鋭く鳴り響いた瞬間、空気が一変した。

 第一ゲーム――十五分の殲滅戦。

 美津子は迷わず左側へと足を向けた。視界の端に、木造の大きな建物が見える。入口の看板には「牛舎」と書かれていた。

(なるほど……徹底してるわね)

 ドアをくぐると、内部はまさに牛小屋そのものだった。細長い通路、左右に区切られた柵、わずかに残る獣臭を模した演出。現実の農場を思わせる作り込みに、思わず感心が漏れそうになる。

 だが、次の瞬間には意識を戦闘に戻した。

(……集中)

 FAMASを構え、ゆっくりと進む。

 足音を殺し、呼吸を整える。

 奥の出入口付近――

 影が動いた。

 次の瞬間、弾が飛んできた。

 パシュッ、パシュッと乾いた音。

 反射的に身体を沈め、柵の影に滑り込む。

 撃ち合いが始まった。

 柵をバリケードにしながら、撃っては移動、撃っては移動。

 ジグザグに距離を詰めていく。

(近い……!)

 間合いは五メートルを切った。

 相手も同様に動いている。

 だが、美津子は冷静だった。

 セミオートに切り替え、壁際へと弾を散らす。

 牽制。視線を逸らす。

 その一瞬。

 身体を滑り込ませるように前へ出た。

 出口のフレームを使い、角度を作る。

 トリガーを引く。

 緑の弾が一直線に走った。

「ヒットー!」

 相手が手を上げる。

 悔しそうな声が響くが、美津子はすでに次へ意識を移していた。

(抜けた)

 牛舎を出る。

 外気が少しだけ軽く感じる。

 正面には別の建物。

 入口には「銀行」と書かれていた。

(今度はインドア寄り……)

 ドアに手をかける。

 開けると同時に、身体を壁に沿わせて滑り込む。

 ドアエントリー。

 基本動作。

 ――渡辺未来から教わった技術カッティングパイとクイックピーク。

 角を切る。

 死角を潰す。

 視線と銃口を一致させる。

 一歩ずつ、慎重に進む。

 カウンターが見えた。

 その瞬間――

 弾幕。

 凄まじい勢いで弾が飛び込んできた。

「っ……!」

 反射的にカウンターの裏へ身を沈める。

 頭上を弾が掠める音。

 パチパチとプラスチックが弾ける。

(多い……!)

 複数人。

 しかも距離が近い。

 動けない。

 撃てば位置が割れる。

 出れば即ヒット。

 呼吸が浅くなる。

(まずい……)

 その時だった。

 背後から、重い発射音が重なった。

 バラララッ、と連続する射撃。

 明らかに火力が違う。

 敵の弾幕が一瞬止まる。

 間髪入れず、さらに押し込む射撃。

 顔を上げる。

 濃紺の装備。

 統一されたシルエット。

 M4を構えた六人。

 入国管理官チームだ。

 圧力が違う。

 ただ撃っているのではない。

 “制圧している”。

 敵の動きを封じ、出口を塞ぎ、逃げ場を奪う。

 数秒で形勢が逆転した。

 カウンター越しに敵が手を上げる。

「ヒットー!」

 次々に脱落していく。

 静寂が戻る。

「大丈夫ですか?」

 リーダーが近づいてきた。

「ええ……助かりました」

 美津子は立ち上がる。

 まだ鼓動が早い。

「このまま押し切りましょう」

 リーダーの声は落ち着いている。

 だが、その目は鋭い。

(この人たち……)

 ただのゲーマーより洗練されている。

 改めてそう感じる。

 ◆

 その後は、一気に押し込んだ。

 銀行を抜け、外へ。

 別の建物――「ホテル」と書かれたエリアへと進む。

 細い廊下。

 複数の部屋。

 階段のような構造もある。

 敵味方が入り乱れる。

 撃ち合いは激しく、間合いも近い。

 撃つ。

 隠れる。

 移動する。

 思考が研ぎ澄まされていく。

 時間の感覚が曖昧になる。

 ただ、動き続ける。

 ◆

 気づけば。

 ホーンが鳴っていた。

「ゲーム終了ー!」

 十五分。

 あっという間だった。

 美津子は立ったまま、ゆっくり息を吐いた。

(……生き残った)

 周囲を見る。

 入国管理官チームは、リーダーともう一人だけが残っていた。

 四人はすでにヒットされている。

(それでも……強い)

 ◆

 フィールドアウト。

 指定された場所でマガジンを外し、弾抜きをする。

 チャンバークリア、安全確認。

 カチャリと音が響く。

 この一連の動作が、現実に引き戻す。

「このフィールド、激しいですね」

 美津子はぽつりと呟いた。

「ええ。ちょっと……他所より怖い感じがする」

 自分でも意外な感想だった。

 だが、確かにそう感じた。

 撃ち合いの密度。

 距離。

 そして――

 どこか張り詰めた空気。

 ◆

 セーフティに戻る。

 テーブルに戻った瞬間。

 そこに――

 澤登亮がいた。

 一瞬、思考が止まる。

 次の瞬間、胸の奥がふっと緩んだ。

(……来てた)

 安堵。

 それと同時に、別の感情も浮かぶ。

(いつから……?)

「遅かったじゃないですか!」

 思わず声が出た。

「寝坊ですか?」

 軽口のつもりだった。

 だが、どこか探るような響きが混じる。

「いや、少し渋滞に巻き込まれたんです」

 澤登はいつも通りの口調で答える。

 自然だ。

 だが――

(本当に?)

 その時。

「こんにちは」

 横から声が入る。

 リーダーだった。

「あ、こちらは――」

 美津子が紹介しようとした瞬間。

「兵藤です。こないだ黒木さんとご一緒したので、今回も来ました」

 先に名乗った。

 流れるような動き。

(……早い)

 澤登は一瞬だけ視線を向けた。

 そして、微笑む。

「そうですか。美津子さん、仲間ができましたね」

 柔らかな言葉。

 だが、目は笑っていない。

 ほんのわずかに。

 “測っている”。

 ◆

 澤登はバッグからAKを取り出した。

 ゆっくりと準備を始める。

 その手つきは、相変わらず無駄がない。

 周囲では次のゲームの準備が進む。

 牛舎、銀行、ホテル――

 複雑に絡み合うフィールド。

 撃ち合いの音が、まだ耳の奥に残っている。

(この場所……)

 ただのゲームフィールドというよりはトレーニング施設に近い。

 ◆

 ゲームは続いた。

 何度も出撃し、何度も撃ち合いを繰り返す。

 時間は流れ、やがて――

 昼休憩のアナウンスが流れた。

 ようやく一息つける。

 だが。

 美津子の胸の内は、むしろ重くなっていた。

(これから……何か起きる)

 根拠はない。

 だが、確信に近い感覚があった。

 静かな昼休憩。

 その裏で、何かが確実に動いている。

 そんな予感だけが、消えずに残っていた。

〈後半〉

昼食の時間は、表面上は穏やかだった。

だが、美津子の胸の内には、どこか拭いきれないざらつきが残っていた。

紙皿に盛られた軽食の味も、正直よくわからない。

視線は自然と、澤登と兵藤たち――入国管理官チームへと向かってしまう。

澤登はいつも通りだ。

落ち着いた仕草、必要以上に踏み込まない距離感。

だがその「いつも通り」が、今の美津子には逆に不自然に思えた。

(この人、本当にただのサバゲーマー……?)

考えすぎだ、と自分に言い聞かせる。

だが、疑念は一度芽を出すと、簡単には消えなかった。

そんな中、スタッフが全員を集めた。

「午後のゲーム前に、特別デモンストレーションを行います!」

ざわめきが広がる。

内容を聞いた瞬間、美津子の背筋に冷たいものが走った。

「危険地帯での拉致対処訓練の再現です」

――拉致。

その言葉は、最近の“行方不明”の話と、あまりにも重なりすぎていた。

数人の参加者が前に呼び出される。

笑いながら前に出た彼らは、まだこれが“イベント”だと信じて疑っていない様子だった。

だが次の瞬間、空気が変わった。

突然、背後からズタ袋が被せられる。

「えっ!?ちょっ――!」

叫び声が途中で途切れる。

同時に、濃い影のような四人が現れた。

アラブ系の衣装に身を包んだ男たち。

体格が大きく、それだけで圧倒的な威圧感がある。

「Get down! Move! Move!」

怒号のような英語。

乾いた破裂音――爆竹が鳴る。

銃を突きつけられた参加者たちは、強制的に跪かされた。

その一連の動きは、あまりにも滑らかだった。

迷いも、演技のぎこちなさもない。

“慣れている動き”だった。

美津子は息を呑む。

(これ……本当に訓練?)

やがて、ワゴン車がエンジン音を響かせながら突入してくる。

ドアが乱暴に開かれ、参加者は引きずり込まれた。

抵抗などできるはずもない。

そのまま車は猛スピードでフィールドを一周し、再び停止。

乱暴に引きずり出され、地面に転がされる。

すべてが、たった数分の出来事だった。

だがその密度は異様だった。

デモンストレーションが終わっても、誰もすぐには声を上げられない。

沈黙。

空気が、重い。

解放された参加者たちは、顔色を失っていた。

冗談半分で選ばれたはずの彼らの目には、明らかな恐怖が宿っている。

「……すげーな」

「いや、無理だろあれ……」

周囲から漏れる声も、どこか震えていた。

エアガンで撃ち合うことには慣れているはずの者たちでさえ、何もできなかったのだ。

美津子の手も、知らず知らずのうちに震えていた。

(こんなの……抵抗なんて無理……)

説明役の男が淡々と語る。

「襲われた場合、基本は抵抗しないこと。隙があれば逃げる。それが生存率を上げます」

理屈は理解できる。

だが、感情はついていかない。

そのときだった。

美津子は、ふと気づいた。

澤登と兵藤たちだけが、まったく動じていない。

まるで――

“知っていたかのように”。

澤登は腕を組み、静かに観察している。

兵藤たちは小さく頷き合い、何かを確認するような視線を交わしていた。

(どうして……?)

胸の奥で、警鐘が鳴る。

これはただの偶然なのか。

それとも――

午後のゲームが始まっても、その違和感は消えなかった。

フラッグ戦、スパイ戦、ミッション戦。

次々とルールが変わり、フィールドは再び活気を取り戻す。

銃声が響き、BB弾が空を切る。

だが美津子の集中力は、どこか散漫だった。

(あの動き……あの連携……)

澤登は、相変わらず無駄のない動きを見せる。

遮蔽物の使い方、間合いの取り方、撃つタイミング。

それはサバゲの“上手さ”という範囲を、わずかに超えている気がした。

兵藤たちも同様だ。

援護射撃、移動を上手に熟して動く。

六人での連携は、訓練された部隊のように正確だった。

偶然とは思えないほどに。

ゲームは白熱し、参加者たちは汗を流し、笑い声も戻ってきた。

春の陽気が、それらを柔らかく包み込む。

だが美津子の中では、何かが静かに噛み合わなくなっていた。

そしてすべてのゲームが終わる。

夕方の光が、フィールドを黄金色に染めていた。

片付けが始まる中、兵藤が何気ない様子で澤登に近づく。

「普段はどんなお仕事を?」

柔らかい口調。だが視線は鋭い。

「普通の会社員ですよ」

澤登は笑う。

「AKの扱い、かなり慣れてますよね。元自衛官とか?」

「昔、少しだけ似たようなことをやってました」

曖昧な返答。

「ご家族は?」

「一人です」

短い言葉。

質問は続く。

だが澤登は、答えるところと濁すところを巧みに使い分けていた。

まるで――尋問をかわすように。

そのやり取りを、美津子は黙って見ていた。

(やっぱり……何かある)

確信に近いものが、胸に沈む。

やがて会話は終わり、兵藤が手を差し出した。

「今日はありがとうございました。またお会いしましょう」

「こちらこそ」

澤登は自然に握手を交わす。

その光景は、ごく普通の別れのはずだった。

だが、美津子にはそれが――

何かの“区切り”のように見えた。

その予感は、現実になる。

それ以降、澤登の姿をフィールドで見ることはなかった。

美津子がLINEを送っても、既読はつかない。

まるで最初から存在しなかったかのように。

そして――

あれほど続いていたサバゲゲーマーの行方不明も、

その日を境に、ぴたりと止まった。

偶然なのか。

それとも。

美津子は、スマホの画面を見つめたまま、静かに息を吐いた。

(終わった……の?それとも――)

答えは、どこにもなかった。


いろんな結果を想像しましたが、サバゲゲーマーの失踪に一つの結果が出ます。

現実では案外真実はわからないことが多い。だから陰謀論や都市伝説などが巻き起こる。

今回のゲーマー失踪も現段階では憶測の域を出ない。

それは失踪者が見つかり真実を聞くしかないのである。


ここまで思いつくままに書いてきました。誤字、脱字、用語の書き間違え等ありましたら、コメントで教えてください。また感想もよろしくお願い致します。

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