第五話
「あ、あんっ……! もう無理……降参、降参するわよぉ……っ!」
俺のスキルで急成長したツタに締め上げられ、艶めかしい声を上げていた王女リリアーヌが、ついに涙目で白旗を上げた。
指先を少し動かしてスキルを解除すると、ツタがハラリと解け、リリアーヌはその場にへたり込んだ。
「はぁ、はぁ……な、何よあの異常なスキル……! 私の王宮魔術を、一瞬で吸い尽くすなんて……」
乱れた金髪ツインテールを直しながら、リリアーヌが潤んだ瞳で俺を見上げてくる。
その顔には、さっきまでの傲慢なツンツンした態度はどこにもなく、完全に圧倒された少女の顔があった。
「これで分かったろ。俺は国に縛られる気はないんだ。自分の力は、自分のスローライフのために使う」
「う、うぅ……。でも、あなたが手伝ってくれないと、我が国の防衛結界が本当に崩壊しちゃうのよ……? お願い、この通りよ……!」
なんと、さっきまであんなに威張っていた王女様が、俺の服の裾をキュッと掴んで上目遣いで懇願してきた。
天才と持て囃されてきた彼女にとって、力で完全に屈服させられた俺は、すでに『逆らえない特別な存在』になってしまったらしい。
(お、おいおい、一瞬でチョロすぎないかこの王女様……! でも可愛いから許す!)
「……まぁ、街に被害が出るのは俺も困るし、その『神樹』とやらに少し魔力を分けてやるくらいなら、気が向いた時に行ってやってもいいけど」
「本当っ!? あ、ありがとう、スイル……!」
パッと顔を輝かせたリリアーヌは、嬉しさのあまり俺の胸に飛び込んできた。
魔導鎧を脱ぎ捨てていた彼女の、意外と小さくて柔らかい体が密着する。
「ちょっと待ちなさい、リリアーヌ様!」
そこへ、シャツ一枚のエレナが怒った顔で割り込んできた。
エレナは俺の右腕をグイッと引っ張り、自分の豊かな胸に強く押し当てる。
「スイル様は私の恩人です! 王女様だからって、そう簡単にスイル様にベタベタしないでください!」
「な、何よそれ! 私はこの国の王女よ!? スイルを国賓として迎えるんだから、この部屋で一緒に過ごす権利くらいあるわ!」
リリアーヌも負けじと、俺の左腕を抱え込み、自分のツンと上を向いた胸を押し付けてくる。
「なっ……! この部屋にはベッドが一つしかないんですよ!? スイル様と並んで寝るのは私です!」
「な、ななな、何をハレンチなことを言っているのよ! なら、私がスイルの右側で、あなたが左側で寝れば解決じゃない!」
「それは私が真ん中じゃないと嫌です!」
銀髪エルフと金髪ツンデレ王女。
2人の美少女が、俺の腕を両側から引っ張り合いながら、ものすごい剣幕でキャットファイトを始めてしまった。
左右から押し寄せるとんでもない柔らかさと極上の感触に、俺の理性のライフはもうゼロ寸前だ。
「お、おい2人とも、落ち着けって……!」
「「スイル(様)は、どっちと寝たいの!?」」
2人から同時に顔を至近距離で覗き込まれ、甘い香りが鼻腔をくすぐる。
最強の神チートスキルを手に入れた俺の異世界生活は、のんびりスローライフどころか、美女たちに奪い合われる最高のハーレムライフへと、完全に加速していくのだった。




