第十八話
「おぉ……! 見ろ、世界を救った大英雄スイル様だ!」
「なんて神々しいお姿なんだ……!」
鳴り響く祝福の鐘の音と、王都を埋め尽くさんばかりの民衆からの大歓声。
今日、この国を……いや、世界全体の危機を救った俺──スイルの、盛大な結婚式が執り行われていた。
王宮の大聖堂へと続くレッドカーペットを歩く俺の隣には、息を呑むほどに美しい三人の花嫁たちが並んでいた。
純白の最高級シルクのドレスをまとったエレナは、銀髪を綺麗に結い上げ、腕には俺たちの愛娘を優しく抱いている。
同じく純白のウェディングドレスに身を包んだ王女リリアーヌは、いつものツインテールを少し大人っぽくアレンジし、顔を真っ赤にしながら俺の手をギュッと握っていた。
そして、普段の鎧を脱ぎ捨て、美しい白のドレス姿となった聖騎士長ジャンヌは、耳まで赤くしながらも、凛とした佇まいで俺のもう片方の腕をがっしりとキープしている。
(うわぁ……。みんな綺麗すぎて、本当に俺の奥さんなのか信じられないレベルだ……)
前世のブラック企業で、ただ孤独に心を擦り切らせていた俺が、今、世界中の人々に祝福されながら、これ以上ないほど美しい三人の妻と、可愛い子供に囲まれている。
かつて無能だと俺を追放した連中なんて、もう思い出すことすら忘れるほど、今の俺は幸せで満たされていた。
大聖堂の祭壇の前に立つと、国王が涙を流しながら俺たちの前に歩み寄ってきた。
「スイル殿、我が娘リリアーヌを、そしてこの世界を救ってくれたこと、心から感謝する。あなたこそ、歴史に名を残す真の救世主だ!」
「もったいないお言葉です、国王様。俺はただ、大好きなみんなと一緒に、静かにのんびりとスローライフを送りたかっただけですから」
俺が笑顔で答えると、隣にいたリリアーヌが上目遣いで俺の顔を覗き込んできた。
「スイル……私、あなたのそんな、どこまでも優しくて強いところが大好きなのよ。これから生まれてくる私とあなたの子のためにも、ずっと一緒にいてね」
「ああ、もちろん。絶対に幸せにするよ」
俺の言葉に、エレナもジャンヌも幸せそうに目を細め、俺の体にそっと寄り添ってきた。
お腹に新しい命を宿した二人の花嫁と、すでに愛娘の母親となったエルフの美少女。
世界で一番大切な家族。その全員の生涯を、俺のレベル999の最強の力で、何があっても守り抜いてみせる。
誓いのキスの瞬間、大聖堂の天井を突き抜けるように、俺のスキル『草を操る』によって生み出された数百万輪の黄金の花びらが、王都全体の空へと美しく舞い上がった。
世界で一番温かくて、世界で一番贅沢な結婚式。




