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第十七話

「ふふ、スイル様、見てください。今日もこの子は元気いっぱいです」

 すっかりお母さんの優しい笑顔が板についたエレナが、俺たちの愛娘を胸に抱きながら微笑んだ。

 魔王を倒し、世界に完全な平和が訪れてからというもの、俺──スイルの毎日は、どこを切り取っても幸福な光景しか存在しなかった。

 俺の作った『天然のオーガニック豪邸』の庭には、世界中から集められた美しい花々が咲き誇り、鳥たちが穏やかにさえずっている。

 そんな平和な陽だまりの中で、リリアーヌとジャンヌの二人が、少し緊張した面持ちで俺の前に並んで立っていた。

「あのね、スイル。……世界が平和になったら、あなたに一番に伝えようって、ジャンヌとずっと話していたの」

 リリアーヌが金髪のツインテールをいじりながら、顔を林檎のように真っ赤にして俯く。

 いつもは堂々としている聖騎士長のジャンヌも、今日ばかりはそわそわと指先を動かしていた。

「スイル、実は……エレナ殿の時と同じだ。私の体の中に、お前の濃密な魔力と繋がっている、新しくて小さな鼓動を感じるのだ。……その、私も、お前の子を授かったらしい」

「わ、私だってそうよ! 宮廷魔導士に診てもらったら、スイルとの子供を授かっているって言われたわ! だから……」

 二人が同時に、お腹を優しくさすりながら、上目遣いで俺を見つめてくる。

 その瞳には、俺への深い愛と、これからの未来への期待が満ち溢れていた。

「リリアーヌ、ジャンヌ……」

 俺はゆっくりと歩み寄り、愛おしい二人の体を優しく両腕で抱きしめた。

 レベル999の俺の魔力を受け継ぐ、新たなる二つの命。言葉にできないほどの温かい感情が、俺の胸の中に爆発するように広がっていく。

「二人とも、本当にありがとう。これからは、エレナとこの子も一緒に、みんなで世界一幸せな家族になろう」

「ええ……っ! 私、あなたと出会えて、あなたの奥さんになれて、本当に幸せよ……!」

「ああ。私のこの命と剣は、生涯をかけてお前と、これから生まれてくる子供たちのために捧げよう」

 リリアーヌとジャンヌの目から、嬉し涙がポロポロと溢れ落ちる。

 その様子を、エレナも愛娘を抱きながら、本当に嬉しそうに優しい微笑みで見守ってくれていた。

 前世のブラック企業で孤独に擦り切れていた俺が、異世界に転生し、本気で生きて、こんなにもたくさんの『守るべき宝物』を手に入れた。

 ここにはもう、理不尽な悪意も、俺たちを邪魔する敵も誰一人として存在しない。

「よし! それじゃあみんなで、世界で一番豪華で、世界で一番温かい結婚式を挙げようか!」

 俺の言葉に、三人の美少女たちは顔を見合わせ、これまでで一番輝くような満面の笑顔で「はい!」と答えるのだった。

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