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それから数日、鹿嶋は学校に来なかった。
正確に言えば、中間テストの日は一応来たが、本人はずっと気怠げで、話しかけないでほしいというオーラを纏っていた。
鹿嶋が来なかった数日間、職員会議では別室登校について話し合っていた。
きっかけは何か知らないが、俺の予想通り"空き教室を授業のない先生が交代で監督する"という内容で固まった。
使用される空き教室は第二相談室。
高校受験を控えた生徒が、面接練習で使う程度にしか開けられていない教室だ。
俺は早速その話を鹿嶋に話した。
というか、話せと他の先生に言われた。
「…っていう教室が今できてるんだけど、そこなら来れそうかな?」
「第二相談室ですか…」
電話口で鹿嶋が悩む声が聞こえた。
これはいけるかもしれない。
「…たしかその部屋ってエアコンありませんでしたよね?夏と冬はどうすれば良いんですか?」
的確に脆い所を突かれた。
別室が出来たはいいものの、その状態はかなり酷かった。
エアコンは無し、あるのは教師と生徒用の机と椅子。そして少しの本。
教員が場所を作るだけ作って、後はほっぽり出したようなものだった。
「夏は扇風機出すし、冬はヒーターがあるよ。鹿嶋さん専用」
「……」
たぶん、どうせボロいんだろうなと考えているんだろう。
実際扇風機もヒーターも壊れかけだ。
「鹿嶋さん、真面目な話をしよう」
これ以上長引くと色々面倒なので高校の話を出す。
中学生にとって、進路の話は耳痛いだろう。
「このままだと出席日数を高校が見た時、あまり良い印象を貰えないんだ。それに君、進学するでしょ?高校まで登校出来ずに辛い思いをするよりも、今ここで少しでも"学校に行く"ってことに慣れた方が良い」
定型分といっても過言ではない。言い慣れた台詞がスラスラと出てきた。
電話の向こうの鹿嶋はまだ黙っている。
「…母と話してみます」
そう言われて電話は終わった。
「…それで来るなら最初から来てるだろ」
誰にいうまでも無く、そう呟いた。




