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21.~通信~

また追加していきます。

変更も多々ありますのでご了承ください

「…遅いわね、なにしてるのかしら」


禅たちが図書館の施設へ向かってから三時間近く経過している。


定時連絡では館内に入る前に周りの感染者を掃討すると連絡があったが15分刻みに3人のうちの誰かから連絡が来るはずだった。


館内に入る前に何かあったか、入ってから何かあったかだ。連絡が途絶えたとして、状態が分からないのでしばらく待つことになっていた。


感染者から身を隠していたとしたらこちらから連絡を送ることで危機に陥ることも考えられるし、暴徒と化した人間と対峙していた場合余計な情報を相手に与えることになる。


もっともヤクザ落ちしていた畑中の実力は折り紙付きであるからして、人間相手にそうそう遅れをとるようなことはないことを佐久間は知っていた。


周りの景色も穏やかなもので、感染者の姿は遠目に数匹確認できるだけだ。


彼らはこちらに気が付いていないのか、ゆらゆらとたたずむばかりだ。



「さぁなぁ、アイツらのことだそんなに心配はいらんとは思うが、何かあればすぐにでも連絡がくるはずなんだがなぁ」


そう言いながらラジオのチャンネルを小刻みに合わせようとする佐久間の姿があった。


「やっぱり通じないんですね」


「どうだろうな、携帯電話の電波はそこらじゅうの自動販売機なんかに設置された中継器で通じているようだが、インターネットなんかは使えないようだ。おかしいとは思わねぇか?」


「そうですね、ラジオも通じないネットで検索もできないのに携帯電話の電波表示は三本普通に立っている状態ですし、


基地局に通じているならネットなんかにアクセスできない点が納得いきません。まるで意図的に通信機能の一部が使えない様に画策されているような…」


「何者かの意図のようなものでもあるのかもしれないな、まぁ一つの可能性の話だが」


『…の…て……り』


「電波が!」


「ああ!」


「街の中だと全くと言って良いほど聞こえなかったのにどうなってんだ?」


そう言いながら佐久間はつまみをひねりながらチャンネルを合わせようとする。


『汚染地域には立ち入らない様にしてください。繰り返します。市民の皆様、○○県△△市××区域はすでに閉鎖されています。


ご家族やご友人の安否は市役所にてご確認ください。繰り返します。市民の皆様、■■駅構内テロ事件により○○県△△市××区域は汚染地域指定を受け閉鎖されて~~』


「何てこった…やっぱ感染者とか何処か現実味がなかったがここまで表立って情報が開示されてるってことは…」


『…立…入ら…様にして…。市……様、○○県△△市××区域はすでに閉鎖され…』


「ん?また聞こえなくなったぞ?」


「どういうことでしょう??」


そうして謎の放送を受信したところで、携帯電話のバイヴレーションが連続で鳴り響いた。


携帯の画面を確認すると最初に決めていた通りの時刻に連絡が来ていた。


館内の外回りにいた感染者を掃討する作業は粗方完了したようだがまだ、施設内には感染者が多そうだという連絡を受ける。


「眞白、一旦帰ることになりそうだ」


「何かあったんですか??」


「危機が迫ったわけじゃないようだが、館内の様子があまり良い状態じゃないらしいぜ」


「奴らですね」


「ああ、流石に三人ではキツイんだろ、ここを使えるようにするには何人か応援を要請する必要がありそうだしよぉ、禅もその必要があると考えてる」


「また、あそこに戻るんですね」


「そうだ、それと今のラジオのことも後で話し合おう、モールの連中に話すかどうかもな?」


「ええ、この街の外ではまだ社会が機能している事実、救出を期待してしまう人も大勢いるでしょうしパニック何かが怖いですしね」


「パニックか、今モール内の勢力は三階の連中と一階の連中で分断されているところだしな、協力しなくちゃいけない場面で我を通す奴らが多く居るのも事実だ。この情報の使い方は俺たちの命運に関わる、禅と俺たちだけであの二人には黙っていた方が良いかも知れねぇな」


「あの二人が信用出来ないのですか?」


暫くの沈黙、佐久間は煙草に火をつけ話し出す。


「まぁ…そういうわけじゃないんだが、何処かからポロッと情報が漏えいするかも知れねぇだろ?晴夫はいいんだが、ただなぁ遼の野郎が心配だ…。」


「そうですねぇ、普段はあんな感じですけど意外と勘が鋭いところもありますから黙っていてもいずれ知ってしまうかもしれませんし…」


「その時は、ちっともめるかもしれんな、憂いを残すことになるようなら全員で情報は共有した方いいか?信用し合うことも大事だしなぁ」


今後の方針について話をしながら佐久間が定時連絡を確認しているとモールからグループの連絡が来ていることに気が付いた。


「向こうは向こうで厄介なことになってるみたいだな」


「一体どうしたんです?」


「モールの探索に出ていたメンバーの一人が感染者に囲まれていたようだ」


「それで私たちに戻ってくるよう打診があったというわけですね」


「いや、打診はしてねぇ、もう助け出したってよ?瀬戸内は怪我をして動けないみてぇだから陣内が連絡をリーダー代行しているみたいだなぁ」




-----------------------


「うわー大変やで」


「少し気になることがあるんやけど、何かがあるとき必ず棒読みなるよなぁ。イッチーもしかして、家訓とかそーいうのある??」


「そうちゃうって、なんかモールの方であったみたい」


そう話しながら市川は遼に携帯電話の画面を見せつける。


「うーんこれって浩平とか大丈夫なんか?」


「やろ?はよ車まで戻らな!」


「まてまて、お前らちゃんと連絡網みてたか?救出はうまくいったみたいだし、瀬戸内が怪我したって書いてあるくらいだろ?どんな具合の怪我なのか分からないがもしかすると…」


「感染の心配ですか??」


遼は怪訝な表情をして畑中に向き直る。


「まぁそれは一番警戒しなきゃいけないことだが、怪我の度合いによると抗生物質が必要になりそうだ…普通の薬局なんかじゃまずおいてないからな」


「もしかしなくても誰かが病院に取りに行かなくちゃいけないとか…」


崩壊した社会では怪我ひとつとっても命取りになる。

医学の知識に富んだ人間が少なく、病院も奴らがあふれている。

外周り班を担う畑中達に緊張が走った瞬間だった。


「そうなるかもしれないし、怪我の度合いでは手術とか麻酔なんかも考えないといけないかもな、抗生物質だけなら、病院何かの近くに処方箋の薬局があるだろ?知識に長けた者が居れば薬の在り処もわかるはずだ、あと一つ気が付いたんだがお前たち、作業中誰か連絡に気が付いたやついるか??」


「気が付くというと??」


畑中の意図に気が付かない遼だったが晴夫が遮り話し出した。


「社長の言っている事と関係あるかはわかりませんが、僕の携帯には探索に出ていたメンバーが感染者に見つかったとか言うくらいしか表示されて無いんですよ」


「どういうことだ??」


畑中は市川の携帯をのぞき込み内容を確認する。


「なるほど、少し変なトラブルが起こっているようだな」


「トラブル??、そして事件…、事件はgeッ!」


「「言わんでいい!!」」


「ゲッツかも知れんやろ??ゲッツ!!」


「こいつはもうほっとこう、っで妙なのは、市川の携帯には届かず、俺の携帯に情報が届いていること。そして俺の携帯に届いた情報は現在の時刻よりずっと前だということ。自慢じゃないがこういう職業柄メールや電話に気が付かないなんて言うことはほとんどないのが自慢だ」


「そんな自慢はどーでもええですぅ、何が言いたいかをもったいぶらずに教えてもらえませんかーーー?」


「ちょっと突っ込みキツかったからって機嫌悪くしなよ」


「その時禅さんの目は殺し屋の目をしていました。

僕はいくら親戚でなじみがあるからって調子にのってはいけないお方やということをすっかり忘れておったのでした。ガタガタぶるぶる…」


「うっさいわ!腹立つ!次は無いからな遼!」


「それで何を言おうとしてるのか、僕もちょっと気になってきました」


「ああ余計な茶々が入ったな、とりあえずだ、何故これに気が付かなかったか、そもそも連絡がこちらの携帯に届いていなかったからではないかと俺は考えている。端的に言うとメールが届く時間にずれが生じている。携帯電話による通信手段も、もしかしたらの話だが、近いうちに通じなくなるかも知れん」


「なんか考えとかないと危険っちゅーことですよね」


「ああ、もし拠点の場所が他の勢力に占領された場合戻ったとして…」


「捕まったり?」


「ああ」


「殺されたり?」


「そういった危険性も考えないといけなくなっているかもしれんということだ」


今の状態で十分危険だが、帰ってからも安心できないという事実は三人の疲労の色を濃くさせていた。

外からの一時的な危機から身を遠ざけても、今度は中が安心できない、だとするならこのまま他の場所を求めて移動することも考えた方が良いかもしれないと市川は考えていた。


「このままモールに戻ってまた危険なことを僕らは続けないといけないんですかね?」


市川の疑問に畑中は答えた。


「しばらくはどこへ行っても安全な場所は存在しないかもな、あのモールが今生きるための条件がそろった場所だ。モールが存在しない時点で物資の当ては少ないしな」


「これからもこの先も危険は付きまとうってことや、あんまし暗くなるのはイッチーの悪い癖やで、とりあえず浩平らに連絡だけ入れとけばええんちゃう?」


「遼ちゃんの性格羨ましすぎるわ、せやな、とりあえず優と浩平に連絡だけしとくわ。そっち、は大丈夫か?っと」


「相変わらず淡泊やな…」


「携帯電話弄ってるだけで片腕ふさがるねんで、外では警戒も怠れへんしさぁ」


「今は大丈夫だろ、ここの施設の外は俺たちが粗方殺しまわったわけだし、俺も遼も警戒してるからな、友人が心配ならこの施設が使えそうだとか、方針も秘密裏に相談しておいてもいいからな」


「わかりました、じゃあ今のモールから離れるって考えてることも言ってしまっても構わんのですか?」


「どうせお前ら後でつるむんだろ?文字での痕跡を消すように伝えるか電話出来るなら直接話せばどうだ?モールの連中にばれなけりゃ良いよ」


「ほんじゃ俺もっと…」


遼が携帯電話をポケットから取り出した。

中々危機感の乏しいやつだ。


「こらこら、警戒が俺一人になるじゃねぇか」


「もう送ったし次遼ちゃん送ってええよ」


用が済んだ市川は携帯電話をしまい、辺りの警戒を遼と交代した。














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