20.~図書館の処遇~
ちょろっと書いただけなので
多分また追加していきます。
作者道端で放尿しそうなくらい疲れてるようなのだ
扉を開き畑中の誘導に従い入ると、昼だというのに館内は薄暗く、何かが居てもすぐには気が付かないほど明るさが失われていた。
外に感染者がいた場合に後ろから襲われてはたまらないので、静かに扉を閉める。
三人は暫くその場で目が慣れるまで待機する、ほんの数分だ。
少しづつ窓から入ってくる自然光で少しではあるが館内の様子がうかがえるようになる。
館内の様子をとらえることが出来た遼はすぐに畑中に声を掛けるが、畑中は静かにするよう声を出さず、指を口元に持っていき、音を出さない様促した。
すぐさま何処からともなく声が聞こえてくる。
声と言っても何かを話すような声でもなく、そして明確な意思があるものでもない。
喉から漏れ出るような、母音と濁音で形成されたような声…感染者だろう。
呼吸音を聞くようにざわついた音、一体だけではない複数の声が響き渡っていた。
畑中はゆっくりと出入り口へ歩を進め、二人に向かって外へ出るように指示する。
三人はほとんど音も立てず外へ出る。
辺りを見回しながら三人は警戒態勢を解かず来た道をゆったりとした歩調で歩き、静かに声をだす。
「どうします?」
初めに声を上げたのは遼だった。それに静かに反応を示すのは畑中だった。
「そうだな、どうしたい?」
「どうしたいと言われましても、中に居てる感染者の数が少ないようなら一部でも拠点を持ちたいとこですけど…」
続く言葉が無いのか遼は黙り込む。
「まぁ、わかるよ。危ない橋は渡りたくないもんだ、この人数で大丈夫かという話もあるしな…モールの食料もいずれ尽きるしあちらでの諍いに巻き込まれたくないということもある。
ここは幸い、町から離れた位置にあるし人間も元から少なそうだ。キャンプ場も近いから棲み分けも出来るし何人も一つのフロアですし詰めになったりせずに住むだろう、暮らすうえでもストレスは少なそうだ」
畑中がこの場所の利点について思考するように話していると、市川は同調するように話し出す。
「あ、それわかります。あんな感染者の声が常に響き渡る場所で、いつ破られるか分からない空間なんかやと、ジッとしてるのもストレスが溜まります。ここは柵だってちゃんとありますから感染者の排除さえ出来て食料も確保できれば農作物も育てられそうですし、確保しておきたい気持ちは分かる気がします」
シャッター1枚隔てるだけの生活に疲れが見え始めたのか市川がげんなりしている様子に遼は戸惑いを感じていた。
「でもさ、イッチーよ、俺らだけで何とかなるんかいな?あのモールには大量に食料はあるわけやし、当分の間は暮らしていけるわけで全員が全員賛成するわけでもないのは目に見えとるしな、絶対何かあるで?」
「そうだ、ここを俺たちが暮らせるようにするには感染者を排除するために人数が必要だし、モールを出ていくとなるとひと悶着起こることは必須だ」
「そうなるでしょうねぇ」
モールを出る選択肢に必ず問題が発生してしまう予感が市川と遼、双方の考えを停止させていたがここで畑中が妥協案を出してきた。
「だから、完全に出ていくわけではなく安全な場所の確保、第二の避難所という意味合いを持ってこちらに人を派遣するという名目で人を借りればどうだろう、会社でもなんでもそうだ、
組織を抜けるのは、おいそれと簡単に出来るようにはなっていないよ。出来たとしてもあの男が簡単に使える人材を手放すとは思えん」
「あ〜、もしかしてジャクソンですか?」
「ジャクソンって誰だよ?まぁお前のコトだし検討は着くけどよ…」
畑中は半ば呆れつつも遼の通常運転に安堵する。
市川というと律儀に遼のおふざけに付き合っているようだ。
「瀬戸内やから…ってそれはじゃくしょうやろ?」
「なんでもかめへんやん、兎に角、俺の中ではジャクソンと呼んでるねん。ジャクソン株急降下や」
「まぁ、仕切りたがりな感じは滲み出てるし、アレが暴走し出さんウチは彼処でおった方が良さそうな気持ちもあるけどね」
遼や晴夫が認めている人物は身近にいる畑中禅や先輩社員だ。率先して行動できる大人が少ない中、外の探索にいち早く手を挙げた畑中工務店の人々を尊敬しているのだ。二人の目線の先には見本にすべき大人であり、自分達の理想の姿を体現した男がいる。この男たちのためにこの二人も外の探索に買って出たのだ。憧れに似た感情により愚痴の一つや二つ出ても不思議ではない心理状態は翳りを見せていた。
「まぁ飯もあるし、人もおる、屋根も電気も一応あるし、人間は孤独に耐えれるようにはできてないからなぁ、食っていくためには、やっぱある程度の集団でいることは必須条件なのは分かるけど…そうなってくると働きもせんと無駄飯食ってる偉そうなおっさんとか、もう腹立つ!腹立つで!」
「悪かったな、偉そうなおっさんで」
「ちゃうよ、禅さんはええんです。むしろリーダーシップ発揮しまくりですやんこればかりは雅さんも同じ意見やと思います」
「眞白君かぁ、参考の基準になっているかどうかあまりわからんな」
「極度の社長びいきなのは誰の目からも明らかやと思いますけど、やっぱり僕らは社長についていきたいんですよ」
「………。」
畑中は社長という立場であったにも関わらず、褒められることに慣れていなかった。
仕事の付き合いで口先だけの擦り寄る輩には慣れていたが、2人から注がれる賞賛に内心戸惑うが表情には出さないように佐久間達の待つ車へと歩みを進めていった。
「うーん、何か急に静かになってしもた、もしかして照れてるんちゃう?」
「社長が?」
「そうそう」
「ツンデレ社長?」
「うわー、ちょっと三十路超えたおっさんのデレとか、キッツいな!」
静かに話す二人であったがその様子に畑中が気付かないわけがなかった。
「お前ら、解雇にすんぞ」




