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19.~友人からの連絡~

ちょっと前の外周り班を出してみる


今日もまた酒がうまい…さけ、うま…。

ここは駅から少し外れた郊外に位置する図書館だ。人も少なく緑も多い。周辺には緑地公園があってよくキャンプやバーベキューなんかを休日家族連れで楽しむことのできるレジャースポットがあった。


ケチケチした家族連れなんかはキャンプ場に荷物を運んで近くの駐車場に止めると高いと言って図書館の敷地に無断駐車をすることもあり休日は特別安く敷地内の駐車場を貸し出していたりと本を読むこととは関係なく駐車場だけは賑わっていた。


ある出来事がおこってからは休日や平日など関係なしに人が訪れることは少なくなっていた。そんな場所に何故か一台の古びたワンボックスが停まり中から数人の大人たちがぞろぞろと降りてきていた。


車には畑中工務店と印字されている。皆一様に疲れた雰囲気を漂わせていたが手に持つ武器は肌身離さず辺りを警戒していた。


エンジンを切り、最初に一人の大柄な男が右側から降りて来た。


それに続いて左から二人若い男達が降りてくる。


「はぁー、疲れたぁ、ホンマ危なかったで、中々機転きくやんか?流石やイッチーは」


「ちゃうって遼ちゃん、あんま褒めんとってや、あんなん映画とかの知識やん?ホンマに真っ直ぐ突っ込むとは思わんかったけどな」


相方を褒める調子の良さそうな男は畑中遼と言い、褒められて少し嬉しそうにしている男は市川晴夫という。


二人とも来年大学を卒業する学生で、二人そろって知り合いの工務店に就職が内定していたようだ。


「二人とも安心するのはまだ早い、この辺は人通りが少ないようだが、あいつらが居ないとも限らない油断しないよう心掛けなさい」


30代前半と言った頃合いの男助手席から降り二人の若者に注意を呼びかけていた。


彼は畑中禅、畑中工務店の若き社長だった。彼は遼とは親戚で歳の離れた兄弟のように親しい間柄であった。


就職先に困った遼はすぐさま禅に相談したが、甘くしてはいけないと一度突き返したその後、遼と晴夫は同時にある会社に入社が内定していた。


そして暫くして内定先が倒産、まだまだ就職活動する機会は失っていなかったが、二人は禅のところでバイトをするうち事務所の者が気に入ってしまい、半ば無理矢理な形で採用されることになった次第である。



「はい!禅さん」


「分かりました、社長」


「市川君、会社もなくなっているし、俺はもう社長じゃない、あまり畏まらないでいいんだぞ?」


友人である遼は昔からの知人ではあるが、晴夫にとっては30代で社長業を営む禅に尊敬の念を抱いていた。


「そうそう、社長と言っても全社員10名に満たない小さな工務店なんだから?ただ畑中君みたいに身内だからって甘えてばかりじゃ困るわよ?」


そう言って車から降りてくるジャージ姿の女性が言う。彼女は眞白雅、畑中工務店の経理担当者であり新人教育者でありそして唯一の紅一点の存在であった。


「雅さ~ん、そんなキツイことゆわんとってくださいよ~」


「そこ!先輩社員に対する態度じゃないでしょ!眞白先輩と呼びなさい!全く、市川君はこんなに礼儀正しいのに」


「眞白君、少し静かにな、あまり煩くすると危ないかもしれないから」


「す、すみません、社長」



先ほどの新人と同じ注意をされたことを恥に思っているのか、どことなく、いや、おもいきり落ち込んでいるふうにも見えていた。



「だからもう社長じゃないって、こんなことになって会社も無事じゃないしなぁ」


「そうですね、街から結構離れてしもたみたいですし、モールにも定時連絡しとかなアカン時間ですけど、っと…あ!遼ちゃん優おったみたいやで??」


「うそ?まじで??」


「ほんまやて、コレ、見てみぃ」


「おお、多分浩平か誰か連れて来たみたいやな、安心したで」


「後は…元やんか、アイツ連絡無いけどだいじょぶやろか…」


「さぁなぁどやろ…やっさんは賢いからうまいことやっててくれればええけど…」


嬉しそうに携帯電話の画面を覗いていた二人は連絡の来ない友人のためか静かに肩を落とし暗い表情になっていたが、

先に車を出て安全を確認していた男は二人の様子に気が付き彼らに向かって元気づけようと言葉をかけていた。


「若者よ、悩んでても仕方ねぇ。なるようにしかならんからな、友人の心配も良いが俺たちも人のこと考えてる余裕はないぞ」


「佐久間さんも奥さんとか心配になったりしません?」


佐久間と呼ばれた大柄な男は二人の新人に不安を見せないよう笑いながら言った。


「まぁ、子供たちのことは心配だけど、元自衛隊だし強いから、どっかでサバイバルしてんじゃねぇかな?」


「あー、わかる確かにアイツは生き残りそうな気がするな」


辺りを見渡しながら畑中が話に加わってきてくる。


「社長って佐久間さんの奥さんとはお知り合いなんですか?」


「まぁ俺と久秀と奥さんは大学で同期だったしな、三人で結構つるんでたんだよ。話もこのくらいにしてモールに戻るまではこのあたりがまだ安全かどうか分からないし調べることにしないか?」


「そうですね、禅さんの言う通りさっき危ない目にあって逃げて来たとこやし休める場所があるなら、ここがあいつらの巣窟になってないか調べとかんとね?」


「そういうこと、とりあえずいつも通り車の脱出経路は確保したうえで佐久間と眞白君は車に残して俺たち三人でこの図書館を調べるぞ、人があまり居ないってことは、あいつらも少ないかもしれないしな」


畑中と遼は視線を図書館に向けて静かに歩き出し、晴夫も辺りを警戒しながら人影が無いか辺りを見渡していた。


畑中は図書館の従業員が使用する駐車場を探して敷地内へと入っていった。

数分後感染者に出会うことなく駐車場を発見する。


「あったな、多分従業員が使用する出口が近くにあるはずだ」


三人はそれぞれに入り口を探すと遼が声を出さずにゆらゆらと動く何かを発見する。声を潜めながら遼が口を開く


「禅さん」


「分かってる、一体だけのようだな」


「ほな、僕いきますわ」


晴夫がゆっくりと感染者の前に立ちはだかる。

のそのそとそちらに向け歩み寄ってくる、一人で相手をするならミスは許せないが手は出さずにおびき寄せるだけなら少し怖いだけで後は残りの二人が静かに動かなくしてくれる。


一人が辺りを警戒、一人が囮、一人が背後から倒す。


確実で安全な方法を皆で話し合って決めるようにしていた。

ほどなくして首に青竜刀が刺さり神経を寸断した。


「さすが、武闘派工務店」


倒れた感染者を一瞥しながら遼が軽口を叩いていた。


「誰が、ヤクザ社長じゃ!おっと違うからな?」


とぼけた顔をしながら畑中は違うからねと晴夫に困ったような顔を向けていた。


「気取ってもダメダメ禅さん元々は俺らと一緒で関西やし、突っ込みの時は一緒ですなぁ」


にやにやと顔を歪ませながら厭らしい笑顔いっぱいに倒れた男を調べている畑中にすり寄っていく遼だった。


「気取ってるわけじゃなくてだな、癖みたいなもんだ、ん?」



首から会社員何かがぶら下げてるプラカードを奪いそれを見ている


「どうやらここの職員みたいだ」


畑中は辺りを再び見直し近くの窓から小さなライトをかざし中をのぞいている。


「見えんな」


小さな声でそうつぶやくと遼も合わせて隣の窓から中を覗いている。

晴夫というとそんな二人を横目に辺りの警戒に移っていた。


とりあえず中の様子は分からなかったようなので出入り口をくまなく三人で調べることになった。数人の感染者が館内の敷地に存在していたが、そのすべてを迅速に掃討する。数人の職員と思しき人物を発見するがそのすべては感染済みだった。数十分後分かったことは、どうやら全て鍵がかかり開いていないということだ。


「辺りはガラスが割れたりもしてないようですし従業員用の入り口も閉まってるてことですよね?中に非感染者が居るかはわかりませんが…」


晴夫は畑中に話を振る。


「そうだな、割るか?」


テーピングを片手に窓に近づき音が響かないよう怪我をしないよう畑中は作業中だ。


作業も終わり館内に侵入し、近い出入り口を畑中が中から開いてくれた。



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