12.~救出作戦~潜入~
優からいつ支持が入るのか質問を受けたが今だ連絡はない。
俺はまだ準備中だと答える。
やれやれ、こいつの体質がばれない様にこの作戦には参加してもらいたくなかったんだけど
どうも瀬戸内さんは俺の友人たちを高く買ってくれているようで、何かと役割をふってくれる。
『こちら瀬戸内〜こちら瀬戸内〜。沢渡君、聞こえるかい?』
インカムをセットし終えて間もなくして声が聞こえた。
「ええ、聞こえてますよ電波状況もまずまずですね」
電波も割と広範囲までカバーできているようだ。
『了解、では君たちは③番出口から出て奴らをAReから何とかして誘導してくれ、僕らはAReに近い⑤番出口から奴らが見えなくなってから突入、および君たちの援護をする。』
「解りました、取り合えずもう一度優と山田さんに武装の確認をしてから突入します。」
『了解、今は③番出口前にゾンビどもはいないようだ。ではなるべく早く作戦に取り掛かろう。』
二人に意識を向けるとまず、こちらを向いて何かを期待しているかのようにニヤニヤと目を光らせる人物がいた。
友人の小此木優だ。正直気持ち悪いぞ、こっちの気苦労も知らずに楽しそうだ。
もう一人は中々にガタイの良い山田さん(23)、別にウホっいい筋肉とかはならん。俺はノンケだし女もいる。
スーツでも着てグラサンをすればどこか要人のSPにでも見られそうな体格だ。頼らせてもらおうそのパゥワァに!
「二人とも、用意はいいか?今からフロア内に突入する、俺たちは囮なるべく多くのゾンビを誘導して瀬戸内さんたちをAReに突入する隙を作らなくちゃあいけない。そして傷一つ付いちゃいけないヤバいと思ったら即逃げるのが鉄則だわかったな?」
二人が黙って首を下げ頷いたのでさっそく扉を開けフロア内に潜入する
「こちら沢渡、今、フロアに潜入した」
『わかった、モニタ班からもそちらにゾンビは…待った、今数匹がそちら側をうろついているようだ。いけそうか?』
「確認する」
続いてくる二人を手で制してポケットから手鏡を取り出し角から迫るであろうゾンビを確認した。
いち、に、さん、よん、四体か、奥から二体は手擦り側を歩き、手前二体はそれぞれが少し離れた位置でこちらにのろのろと進んできていた。
「四体だ、優いけそうか?」
「大丈夫だ、俺が何体奴らを倒してきたと思ってるよ?」
「そゆことじゃねーよ」
違うお前の体のことだっての!インカムがONになっているので何も言えないでいると
「なるほど、了解だよ。無理はしない前の二体が距離がありそうなんで仕留めてくる。そしたらすぐ逃げるからお前と山田さんで俺を追いかけるもう二体をやってくれ」
そういって優はゾンビに近寄っていった
新たに現れた獲物に向かっていそいそと先頭のゾンビが優に向かっていった。
「はい、まずいっぴきめ~」
金属音が響いた、ように聞こえたがBGMによってかき消されていた。
すぐさま優はゾンビの死体をよいしょと下の階に落とした。
先頭の仲間がやられても気にすることもなく優に近寄ろうとする二体目だったがそれも正面からのバットの一撃により倒された。
二体目も同じく階下に落とす。後方の二体は、ずるずるとスローにゾンビにとっては早足に優に近づいてきた。
たぶん、一人でやるときはそのまま突っ込んで倒すのだろうが、あくまで見られていることを意識してほしい。
二体のゾンビと対峙しながら優はヘイヘイと調子に乗って挑発しながら、こちらへさがっていた。
「こいつらが来たら一番近いほうの頭に斧を叩き込め!」
そう言いつつじりじりとギリギリのところでゾンビからの攻撃を躱していた。
注意しろと言っているのに遊んでんじゃねぇよ!まったく。
挑発により視線は優のほうを向いていた。
優の挑発は続く、優の体が見える、俺と山田さんは息を潜める。
隠れるってのはあんまり気分の良いものではない、緊張感に押しつぶされそうになりながら、知らず知らずのうちに呼吸を止めていた。
二体のゾンビが見事に俺たちをスル―していった瞬間
「今だ!!」
優が手擦り側の一体にバットを振りおろし、山田さんが後ろから壁際のもう一体に斧をたたき込んだ。
二体のゾンビは力なく倒れた。
たはー、呼吸をするのを忘れてしまっていた。どうも逃げるのはいいが何もせずじっとするのは性に合わない。
「緊張しすぎだ、俺はうまくやれるよ」
と優は俺が懸念していたことを安心しろと言わんばかりに言ってきた。
そうだなと俺は肯定して歩き出した。
通路を歩いていると遠くの方をふらふらとする物体が見える。
俺たちが目指すのはその中間に位置するエスカレーターのあたりだ。
俺たちが歩く通路の反対側の通路にAReのテナントはある。
エスカレーター辺りまで行くと店のシャッターをガシガシと叩くゾンビの群れがいた。
警備室か何処からかシャッターのスイッチを入れたか山本君が奥から入れたかだな。
内部に侵入してなければいいんだが…。
「どうしようか、ちょっと多いな?」
山田さんが困ったように言った。
『沢渡君、今君たちが来たのを確認した、どうにかして奴らを遠ざけられないか??』
エスカレーターの辺りでインカムから瀬戸内の声が聞こえてきた。
「今それを考えていたところなんですよ」
俺が思案していると優が近付いてきていた。
「とりあえず走るような奴は今のところいないんだから予定通りおびき寄せないか??」
そういいながらインカムのマイクに近づいて提案してきた。
「瀬戸内さんBGMを止めて少し静かにしてください」
優の提案に何かピンときたのか瀬戸内はBGMを止めるようほかの者に支持をだした。
間もなくして陽気なBGMが止まる。
辺りには不気味な声が響いていた。
「さて、俺がこれからバットを手擦りに叩きつける、耳をふさいでもらいたい」
やはり囮なのだから、こうするしかないんだろうな。
山田さんの方を向くとやっぱりかと少し諦めたかの表情をしている。
「了解だ」
山田さんと俺は耳を塞ぎ、優は片手を耳に当て、ガンガンと手擦りをたたき出した。
浩平はゾンビと言います。
優は感染者と言います。




