月はいつも僕らの側に.2
…え?なんで…
メールが届かない
電話は…だめだ
拒否、されてるのか…?
としき【誰かきてるか?】
たくみ【おう!とし、めずらしいなこんな時間に】
としき【たく…俺どうしたらいいんだ】
たくみ【どうした?とりあえず場所変えるぞ】
たくみ【で?どうしたんだよ】
としき【みうと連絡が取れなくなった】
たくみ【なんで?なんかあったのか?】
としき【昨日会ったんだ】
たくみ【まさか…ヤッた?】
としき【言い方…でも、うん】
たくみ【だから言ったろ?覚悟しろって】
としき【してたよ】
たくみ【お前らが壊れる覚悟もしてたか?】
としき【…え、いや、なんでそうなるんだよ】
たくみ【あのなぁ…】
たくみ【いいや。通話だ、かけてきてくれ】
その時たくみは、
あーいう普段不倫のフの字も思いつかないような子は、不倫したことよりも
お前を"不倫相手"にしてしまったことを気にするんだ
幸せな時間だと思えば思うほど、それを背負わせることを良しとしないんだろうな
あの子にはあると思えないけど、体だけの関係とかだったらそこまで気にしなかったんだろうけどな
それに…旦那のこともあるんじゃないか
あの子は…嘘がつけないだろうから
そう言った
そうかもしれない
みうはそういう子だ
なんてバカなんだ、俺は…
あの時みうが言った
『幸せだった』って言葉を、そのまま受けとって…
よく考えたら…昨日のみうはどこか変だった
妙に明るくて…いつもとは…なにか…
会えたからテンションが上がったんだと思っていたんだが…
それでもこんなに突然に…
諦めるべき、なんだろうか…
――あれから3ヶ月経った
好きな人ができてしまったわたしは、
夫に別れをつげた
あの人のことを考えながら、夫とともに暮らしてはいけないと思ったから
こうたは、最後までごねていたけれど
わたしの気持ちが変わることはないことを知ると
離婚に応じてくれた
すべてすっきりするまでに、結構時間がかかってしまったけれど…
後悔はしていない
ゆきちゃんにはすべて聞いてもらっていた
フリーになったんだから、としきのとこいきなよ!
なんて言われたけれど…
わたしが夫と別れてから会いにいくべきだった
わたしのわがままで、早く会いたいと焦ってしまったから…
別れた…なんてあの人が知ったら…
きっと迷惑になる 優しい人だから
声が聴きたい、会いたいって負けそうになるけれど…
大丈夫
あの時の幸せな気持ちがあるから
大丈夫
このブレスレットがあるから
今日はゆきちゃんと会う約束をしている
すごく心配かけちゃったから…お礼がしたくて誘ってみた たくみさんとの話しもいっぱい聞きたいし!
楽しみだなぁ
「みう!」
…え?
わたしの…聴きたかった声が…聴こえた?
『…としく…ん?』
夢だ…だって、いるわけないもん
「なにぼけっとしてんだ?」
『え…え!?ど、どうして…!?』
「ゆきなが教えてくれたんだよ」
『ゆきちゃんが?』
「せっかくみうに会える機会をゆずるんだから
しっかり捕まえなさいよ!って」
『わ、わたしは…っ、ゆきちゃんが来ないなら…』
「ほら、いくぞ」
『え?』
としくんはわたしが話すのを遮って
手を引っ張って早歩きで歩く
ついていくので、精一杯なくらいだった
車に乗って、どこかに向かいだした
怒っているのだろうか…無言の時間が続く…
『…あの…』
話しかけてきたみうに何も答えず、車を走らせた
しばらくして車を停めて、家の中に入る
『こ、ここは…?』
「俺んち どーぞ」
『いや、わたし…あがれないよ…』
「嫌だ。もう離さない ほら、入って」
『としくん…』
帰ろうとするみうを強引に部屋の中に入れた
「さて、説明してもらおうか」
『…』
「どうして連絡を絶った?」
『…嫌いになったの』
「違うだろ ちゃんと聞かせてくれよ」
『どうして…会いに来たの?』
「会いたかったからに決まって…って、なんでそんな泣きそうな顔してんだよ…」
思わず抱きしめてしまった
「…だいたいはたくから聞いてる みう、ゆきなに話してただろ」
『口止めしてたのに…』
「ゆきなもみうのこと心配してるんだよ」
『…うん』
「ごめんな、俺…何もわかってなかった」
『わたしのわがままでこうなっただけだから あなたには関係な…』
「おいっ!そんなこと…言わないでくれ…」
『あっ…わたし…ごめんなさいっ』
立ち上がろうとする腕をつかむ
「まだ話は終わってない」
『としくん…』
「あ…これ…」
俺があげた…つけていてくれたんだな…
「頼むから…今日だけでいい。一緒にいさせてくれ」
『そんなこと言われたら…せっかく忘れようって、
ずっと…』
「…忘れられてたまるか」
俺はたくみに 会えた、とだけメールして
泣いているみうを落ち着かせた
その頃こっちの2人は…
ゆきな「たく!どうだった!?」
たくみ「あの2人無事に会えたって」
ゆきな「良かったぁ…うまくいったね(笑)」
たくみ「みうちゃん頑固だからなー(笑)」
ゆきな「みう、忘れようと必死だったから。旦那さんとも別れてフリーになったっていうのに。」
たくみ「だからだろ」
ゆきな「気にしすぎじゃない?」
たくみ「夫婦の仲を壊したことを気にするのは誰だ?」
ゆきな「あっ…としき?」
たくみ「あいつらは2人とも、相手を想いすぎてるのに、お互いに不器用なんだよ」
ゆきな「とっととくっついちゃえばいいのにねー」
たくみ「お前はもう少し考えろな(笑)」
ゆきな「ひどーい!で?あたしたちはいつ会えるのかなー」
たくみ「おい、おれたちは…」
ゆきな「わかってまーす!言ってみただけ!電話だけでも、こうして一緒にいられるなら…もう3年近くも我慢してるんだもん、まだまだ平気よ(笑)」
たくみ「…おれも覚悟決めねぇとな」
ゆきな「ん?なにー?」
たくみ「なんでもねぇ」
そして、あっちの2人は…
『本当に好きな人に会いに行くのに…夫と別れる前に会いに行ってしまったことは、あなたにも夫にも悪いことをしたと思ってるから…けじめの意味も込めて忘れようとしたの…でも…わたし……』
「そうか…でもな、俺はもう…遠慮する気はない」
『としくん…』
「みうがけじめだと思う気持ちもわかるが、
俺は…みうのことをあきらめたくない」
『…うん』
「もう俺のそばから離れないでくれ」
「もう俺のそばから離れないでくれ」だって
うれしかったなぁ、本当に
あれからわたしたちは付き合うことになって…
少し遠回りはしてしまったけれど
また2人で一緒に過ごせるようになった
ゆきちゃんとたくみさんにも感謝している
2人もやっと付き合うようになったみたいだし
4人で会う約束もした
今度こそ…ゆきちゃんにお礼がしたいから…
待ち遠しいなぁ
今日は彼の誕生日だ
一緒に祝えるなんて…本当にうれしい
プレゼントを持ち彼を待つ
だいぶ寒さが身にしみる時期だけど、
会える期待で寒さなんてへっちゃら
この駅にくるのも慣れたものだ
あのときは、いきなり知らない人に話しかけられて
怖かったなぁ
としくんがたすけにきてくれて…
ふふ…っ
自然と笑みがこぼれる
待ち合わせ時間は過ぎているが
そんなことは気にならなかった
「みう!すまんっ遅れた!」
『あっ、としくんっ!きたー』
「寒かったろーなんか温かいもの食お…うおっ」
『としくん…』
「どした?抱きついたりして」
『ううん、なんでもないっ!ごはん食べに行こっ』
「なんだー?変なやつだな(笑)」
--‐‐‐
手をつなぐと
みうの腕にはあのブレスレットがあって
それを見て、また幸せな気分になった
食事を終えて、俺の家まで連れて行く
『お邪魔しまぁす』
「てきとーに座ってくれ」
『うん!あっ、としくんっ』
「ん?」
『これこれっ…はいっ!お誕生日おめでとう』
「お…いいのか?ありがとう…キーケースか、さっそく使わせてもらうよ あっ、月だな…上弦の月か?」
『うんっ 月の小物をおそろいで持ちたかったの』
「うれしいよ!ありがとうな」
『ふふ』
「みう」
『なーに?』
「今日は泊まっていけるだろ?」
『うんっ』
「観たい映画があるから借りてきたんだけど…」
『なぁに?楽しみー!』
「あとでのお楽しみな」
みうはよろこんでくれるだろうか…
"Will You Marry Me?"
ーー半年後
としき【今日はまだ誰もいないか】
ゆきな【いるいるーおつかれー】
としき【おーおつかれ】
ゆきな【明日楽しみだね!】
としき【おう ついにお前らとも遊べるな】
ゆきな【やっとだよぉー(笑)】
としき【それよりさ あいつさ…】
ゆきな【なになに(笑)】
としき【この間映画見せたんだよ】
としき【Will You Marry Me?てやつ】
ゆきな【もうプロポーズ!?で?で?(笑)】
としき【…感動したねぇ、としくん!素敵だったぁ】
ゆきな【でしょうね(笑)あの子そういうの疎いから】
としき【俺、内容なんも覚えてない】
ゆきな【はっきり言わないから(笑)うけるー】
としき【可愛いけどな、そういうとこも】
ゆきな【はいはい、ごちそうさま(笑)】
たくみ【おつかれー】
ゆきな【たくー今おもしろい話きいてたの】
としき【おもしろい言うな!たく、おつかれ】
たくみ【ログ見たらなんとなくわかったよ(笑)】
たくみ【はやくみうちゃん来ねぇかなー(笑)】
としき【あいつそろそろ来る頃だから消しとくか】
としき【おい、お前ら余計なこというなよ!?】
みう 【みんないたー!おつかれさまぁ】
としき【みう!?どっから見てた!?】
ゆきな【みうーきたきた!】
たくみ【これはこれは…おつかれ(笑)】
みう 【え?今きたところだよーどうしたの?】
みう 【なぁにー!?内緒話やだー】
としき【なんでもないから!な!】
ゆきな【としきがのろけてただけよ(笑)】
みう 【そうなの?としくんったらもうー】
たくみ【おもしれー(笑)】
としき【やれやれ…】
ゆきみ【でさ!明日みんなでイルミも見よーよ!】
ゆきみ【近くに良いところがあるの!】
みう 【見たい見たい!楽しみっ】
この幸せが続くなら、なんでもいいか
俺たちはまだ、始まったばかりだ
タイトル"月はいつも僕らの側に"
Fin…
こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。
再編集して投稿しております。




