↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Arca  作者: あばんじゅ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/63

第49話 追手の影

 真夜中、アルカたちはある村に着く。そこには畑と数軒の民家しかなく、牧歌的な暮らしが浮かぶようだった。


 馬車から降りたムナが、勝手知ったる顔でとある民家のドアを叩いた。しばらくして、ドア越しに声が聞こえてくる。


「誰だ? こんな時間に…」

「恩を返す機会を与えに来たというのに…。随分な態度じゃないか、コーレル」


 ムナの図々しい態度に、ドア越しから驚く声が聞こえた。ドアが開き、一人の男性が出てくる。見たところ、三十代手前だろう。コーレルと呼ばれた男はムナの姿を見て、さらに驚きを強くした。


「ムナ、生きてたのか?」

「当たり前だ、間抜け。まさか命を救った貸しを踏み倒せると思っていたか?」

「いや、ははっ…」


 コーレルはバツの悪そうに笑い、周りを警戒する。


「誰にも見られてないよな?」

「ああ、音も立てていない」


 こっちだ、とコーレルに案内され、家から少し離れた納屋に連れられる。そして、納屋のロフトに匿われた。そこには干し草が大量に積まれている。おかげで視界を塞いでくれるし、音も吸収してくれる。それに暖も取れる。今は十二月下旬。冬の寒さを十分凌げるだろう。


 夜も深い。アルカたちは必要な物をコーレルから借りて、夜を明かす。


 ここまで、ヒオリは一度も目を開けなかった。アルカは募るばかりの不安を抑え、せめてすぐそばで守ってあげられるようにと、近くで眠るのだった。


 ◇


 早朝、コーレルが食料を届けてくれた。アルカたちは礼を言い、かじりつく。納屋の隙間から外を見ると、畑仕事をする人たちが見えた。その中にはコーレルの姿もある。様子を見る限り、アルカたちのことはバレていないようだった。


 この時間帯は仕事の時間だと、コーレルから聞いた。アルカたちはバレないよう、静かに過ごすのだった。


 夕方になる。畑から人が消え、みな家へと帰っていく。仕事終わりのコーレルもやってきて、アルカたちの様子を見に来た。


「三日滞在したあと、ここを発つ。すまんが、物資を援助してもらいたい」

「……できる限りのことはする。だが、今の俺には妻がいるんだ。妊娠もしてる。だから、こっちの身を削ることはできない」


 そう言えば、とアルカは畑仕事をする中に妊婦もいたことを思い出す。


「そうか…わかった。無理のない範囲で頼む」


 と、ムナは申し訳なさそうにコーレルにお願いするのだった。


「……」


 そのやり取りを、ヘリクだけは訝しげに見ているのだった。


 ◇


 一方その頃、アルカたちに迫る追手の影があった。


「匂いはここまで続いてるっぽいですね~」


 フーリエは、犬の形の折り紙を従えていた。犬の折り紙は地面に残された匂いを嗅ぐように、鼻を近づけている。


「ふむ。ここならば合流にうってつけだろうな」


 ツアーは顎に手を当て、頷く。そこはアルカたちが合流地点に使った水車小屋だった。


「ツアー様、ここで黒い髪の少年を見たという目撃情報がありました。奴らがここに来ていたのは確実ですね」

「ご苦労だ、シン。それとここでは様《さま》はつけなくていい。今の私たちは流浪の旅人なのだからな」

「はい」


 ツアーはシンの肩に手を置く。触れられたシンは少し萎縮するように返事をした。


「はいはい、さっさと先を目指しましょうよ〜。敵方《てきがた》は待ってはくれませんよ。早くしないと逃げ切られちゃうかも」


 フーリエは気の抜けるような声で二人を催促する。


「そうだな、疾《と》く向かおうか」


 ツアーたちは馬に騎乗し、駆け出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。