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Arca  作者: あばんじゅ


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40/63

第40話 反旗

「起きたな」


 目を覚ましたアルカは、声の方を向く。そこには灰色の短髪と群青色の瞳を持つ、中性的な人物が立っている。


「ムナ――さん…?」

「ほう…覚えていたか」


 アルカは掛ふとんを除けて、ベッドから上半身だけを起こす。その人物には見覚えがあった。初めてリズリアと対面したときに一緒にいた、透視の顕現を持つ人だ。


 アルカは周りを見る。無機質な部屋にベッドが並んでいる。そして、薬品の匂いが鼻腔をくすぐる。ここが病院であるとすぐにわかった。


「身体に問題は?」


 ムナは片眼鏡を掛けており、それ越しにじっくり観察される。おそらく片眼鏡は創生なのだろう。創生特有のモヤがかかっている。


「特には――ないな」

「今のお前は見ての通り、四肢の創生を生成して、一命を取り留めている。絶対に創生を解除するなよ。すぐに失血死する」


 アルカは自分の四肢を眺める。普段通りに動かせるが、見た目は以前と全く異なり、影のような見た目をしている。


「透視の顕現で診てみたが、問題はなさそうだ」


 そう言って、ムナは片眼鏡の創生を霧散させた。


「さて、ここからが本題だ」


 ムナが、アルカの隣にあるベッドへ視線を移す。


「ヒオリ――」


 そこには眠りについているヒオリがいた。


「残念だが、こいつはもうすぐ死ぬ」

「は?」

「覚えているか? ヒオリは致命傷を受けた。そこにヘリクが自らの肉を移植したことで延命できている。だが、対ヘリクの毒が完成した。これからヘリクに毒が投与され、死刑が執行される。そうなれば、ヒオリも共死にだ」

「なんだ……それは!?」


 アルカは思わず立ち上がる。


「ベッドの上に立ち上がるな。話は最後まで聞け」


 アルカはベッドから降りて、ヒオリのそばに寄る。ヒオリは今も眠っている。顔は生気が抜けたように青白くなっている。死が間近に控えていると報せているようだった。


「私は、自分の患者には責任を持つ。クズは助けんが、それ以外は最後まで面倒を見る。そう決めている。だから、こいつがこれから殺されるというのは看過できん」


 そう言って、ムナは壁に掛けてあった外套を羽織った。


「私はここからヒオリを連れ出せる。アルカ――お前はどうする?」


 ぎらりと、ムナから鋭い視線が突きつけられる。しかし、愚問だった。


「ヒオリは死なせない。ヘリクは今、どこにいる」

「それを聞きたかった」


 アルカは刀を腰にかけ、ヘリクのもとへと向かうのだった。

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