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第40作品目:除夜の鐘が煩いと言われたので、ゆでたまごの白身のようにコーティングした和尚

 雪の降る町に響き渡る除夜の鐘。


 町の風物詩と言える年末の恒例行事にクレームが届く。


 心優しい和尚は、町の人々の幸せを願う。だから鐘を鳴らすことで不快になる人がいるのなら止めるべきかと悩んだ────。



 企画投稿時はヒューマンドラマ〔文芸〕作品でした。


・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。




 

 救急車のサイレンも聞こえないくらいの、車内の音楽の爆音。外を歩く人の耳にも響くくらい煩い音は平気なのに、遠くから聞こえる除夜の鐘の音は我慢出来ないらしい。


 由緒あるお寺の和尚は、彼らからクレームを受けて参っていた。


 ここのお寺はもともとは破邪を司る神社でもあった。地域の住人のために、煩悩を払い、新年を迎えるにあたり無病息災を願い、幸運まで祈りを込めて鐘を鳴らしていた。


 盛り込み過ぎだと言われる事もある。しかし、年に一度大晦日の夜にのみ鳴らすのだから、毎日の祈りを行い溜めに溜めた聖気を放つべく、和尚も気合いが入っていた。


 せっかくの好意も、不快に感じられては本末転倒だ。和尚も知らずに苦痛を与えるのは本意ではないので、町内会の人達と相談する事にした。


 和尚の出した案は、鐘をゆでたまごの白身のようにコーティングする事だった。音が響かなければ迷惑にならないと。


 真面目で優しい和尚の案に、集まった町内会の人々は和尚のセンスの無さに頭を抱えることになった。それではボヨ〜ンとした何とも締まらない音にしかならない。


 人々から配信にする案も浮かぶ。しかしそれもテレビ中継で見るのと大差ないと却下になった。


 ────途方に暮れる和尚と人々は最近町の有力者となった、金星人のマヤ社長にも相談に向かった。


 傘下の三日月商会には強面のお兄さんも多い。もっとも脅しや暴力に訴えるのはなしだ。和尚が悲しむし、それでは除夜の鐘を行う意義が失われるからだ。


 マヤ社長は本社の技術を取り入れる提案を出した。集音装置を鐘のある高台へ取り付けて、散音装置を希望する家庭へと取り付けるのだ。

 和尚の願う除夜の鐘の響きが各家庭にも響きわたるから『やまびこ作戦』と名付けられた。


 配信と同じじゃないかなと人々は思ったそうだ。だけど違う。この装置は音だけではなく、響きまで伝わる事だ。

これは生の響きも届けるスピーカーなのだ。


 爆音クレーマーに対するあてつけに思うけれど、音は各家庭内に留まるので迷惑にはならない。


 和尚も願いが音に乗るならと承諾し、いよいよ大晦日の日を迎えた。


 祈祷の言葉と念を込めて、和尚が鐘を打つ。


 ────ゴォォォォン


 改心の音色が大きな鐘から響きわたる。煩悩などこの一打ちで砕け散らせてくれよう、それくらい力強く響いた。


 和尚の鐘の一打ちが町の至る所に響きわたる。鐘の音は確かに響くのに、表には殆ど聞こえないのが不思議なくらいだ。


 ──ゴォォォォン──ゴォォォォン


 和尚がゆったりとした間で鐘を鳴らす。


 この日のために和尚が一年ため続けた祈祷の力は本物だった。


 人々の煩悩や病魔や災厄は鐘の音を嫌がり、町の中で唯一安全な爆音クレーマーの家へ我先にと逃げ込んだのだった。

 お読みいただきありがとうございます。


 この作品は予約投稿時間を間違えたものです。最初は企画時間に合わせた予約をしておいたのですが、除夜の鐘なのだから23時にしようと思い直したのが失敗でした。


 18時を過ぎ企画終了に気づいて慌てて解除投稿し直した所、時間はオーバーですが実際の作品投稿時間は企画期間内だったのでセーフでした。


 ただ時間を勘違いしたため間に合わなかったものを、参加作品に載せるのは処理上は問題なくても道理的にはアウトだと思い、泣く泣くタグを外しました。


 企画のルールもそうですが、なろうラジオ大賞は色んなジャンルを試せる場所で大変勉強になりました。

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