第39話:誾千代さん、異世界に転生す 〜 立花の誇りにかけて、無双クエスト始めるぞ 〜
立花誾千代────享年34歳。大友家の猛将立花道雪の愛娘である。逸話の多い彼女の死因は病死とも狂死とも言われているが────。
ツンデレ姫の、異世界無双物語となります。
企画投稿時はハイファンタジー〔ファンタジー〕作品でした。
・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。
────……最期の時まで、夫とは会う事はなかったな。あれはあれで一角の将になった。主家敗れいまは不遇をかこつとしても、あやつを慕うものは多い。父が認め我が惚れた彼奴ならば、狸も人柄を認め抑えておきたくなるに違いないからのう────
────はて、我は井戸に水を汲みに来たはずだが。ここはなんじゃ、牢獄か?
妙に匂うし……我の身体が縮んでおるではないか!
まあ良い、立花の誇りは泥にまみえ身体が幼くなろうとも汚されはせぬ。
「なんじゃ、これは。女──それも小娘ではないか」
「ですが七歳でこの数値ですよ」
なんだ小奴らは。南蛮人にしては締りのない身体じゃ。我を捕えてただで済まぬ事を見せてやろうぞ。
「ぐぎゃ!」
────うむ。下卑た顎を蹴り上げるつもりが、縮んだ身体では珍妙な物を蹴るに留まったようじゃ。幼き頃には苦労したものじゃ。
「この小娘、ザッコ様に何て事を」
ドカッ!
側仕えの者には始めから、珍妙な物への前蹴りで黙らせた。うむ、難儀な大きさじゃが動きやすいのぅ。
「賊徒共に立花の者は遅れを取らぬ」
どうやら怪しげな術で我を虜にしたようだが、猿だろうが狸だろうがこの身、好きにはさせぬ。
「ちと臭うが上反物のようじゃ。貰っておこう」
賊徒の割に着物は派手じゃ。傾奇者崩れかの。我を相手に丸腰なのは勇気を認めてやろう。
転がる二人の身包みを剥ぎ、使える物は貰う。我は側仕えが付けていた、南蛮物の指金を付けてみる。
「ほう、これは文字か!」
南蛮の物とも寺の物とも違う。我でも読めるから不思議な絡繰じゃな。この文字も幼き頃に見た事があった気がする。
……はて、どこで見たのやら思い出せぬのう。
まあ良い、鍵も見つけた事だ。我はむさい悪党二人を縛り付け口を塞ぎ、牢獄の鍵を締めた。
まずは情報集めじゃな。我は地下牢に閉じ込められておったようじゃ。
黴と獣臭い地下牢から上への階段を登ると、眩しい陽の光に目が眩む。
「召喚者が逃げ出しているぞ!」
うむ、無法者の仲間がおったか。あの人数……流石に無手では厳しいか。
「ふっ、我が名は誾千代なるぞ。立花の誇り、見せてくれるわ!」
立花の誇りこそ我が刃。得物なぞ無くとも、我の力に不足などない。
次々と湧いてくる蛮族共を殴り蹴り倒す。力が溢れるようじゃ。今ならあやつもこの腕一つで倒せそうじゃな。
それにはやはりこの状況の把握が先決のようじゃの。
『クエスト達成おめでとうございます。立花誾千代は悪徳領主屋敷を制圧しました』
なんじゃ、この不快な音と文字は。指金からか?
南蛮人……いや、この文字は我の国の文字か。刻まれた文字はいにしえのものじゃろうが、浮かび上がる文字は我の知る文字。不思議なものじゃ。
どうやら我は、クエストなるものに挑みこの地を制圧する事になりそうじゃった。
立花の誇りにかけて、我は必ずやこの地を制し、新たに得た力でもってお前さんに挑みに行くから覚悟せよ!!
お読みいただきありがとうございました。
企画投稿作品のあとがきにも書きましたが、はじめは歴史物を投稿予定だったのですが、歴史物の場合は人物や歴史背景の説明が千文字では収まらないのですよね。
立花誾千代はゲームで知りました。また作品タイトルは忘れましたが、宗茂が主人公の単行本の漫画が面白かった覚えがあるのですが続きどうなったのか……。




