第2章 花札一家徹底壊滅編 第6話
すべての暴露データが世界中に拡散されたその日、花札財閥の帝国は名実ともに完全に崩壊した。
かつて権力の頂点に君臨し、世界を意のままに動かしていると錯覚していた怒鳴憎・J・花札Ⅸは、特別勾留施設の冷たい独房の中で、発狂寸前の精神状態に追い込まれていた。絶え間なく流され続ける自分たちの醜悪な音声データ、そしてすべてを失ったという現実。彼を支えていたはずの傲慢さは跡形もなく消え失せ、残されたのは「どうしてこうなった」という底なしの恐怖と絶望だけだった。
彼の父親であるⅧ世もまた、自宅に押し寄せた債権者たちからの容赦ない追求と資産の差し押さえの末、失意のなかで脳梗塞に倒れ、言葉を発することもできないまま病院のベッドに縛り付けられているという。かつて我が世の春を謳歌し、他人の人生を玩具のように踏みにじった親子の末路がこれだった。
私は、名門「SSF」の最高峰、主席シニアアナリストの専用オフィスから、そのニュースを静かに眺めていた。
前世の記憶が蘇ったとき、私はただ彼らを破滅させることだけを誓った。だが、実際にこうしてすべての復讐を完遂してみると、胸にあったのは激しい怒りでも歓喜でもなく、ただどこか澄み切った穏やかな風のような感覚だった。
――終わったのだ。
私を縛り付けていた前世の呪縛は消え去り、清蓮院家が受けたすべての屈辱は、彼ら自身の血と涙をもって完全に清算された。
私はデスクの上のパソコンを閉じ、窓の外に広がる夕景に目をやった。近代的な高層ビル群が黄金色の光に照らされ、世界は変わらず動き続けている。しかし、その新しい世界の経済の脈動の中心には、今や「祥簾醍美華」という私の名前が確固たるものとして刻まれている。
過去の復讐は幕を閉じた。だが、私の人生は、ここからが本当の始まりだ。
全知全能のチートと、圧倒的な実力を手に入れた私は、微笑みを浮かべながら立ち上がり、未来へと続く新たな扉を開くべく、軽やかな足取りで歩き出した。




