復讐(1)
勇者視点です。
「・・・カイン、誰かが尾行してる。」
「うん、分かってるよ。」
俺は相手に気づかれないように仲間に尾行されている事を伝えた。
「それで、どうするんだ?追い払うんだろ?」
「当たり前だ。いつまでも付いて来られては堪らないからな。」
「でも、何でウチらに付いて来るん?」
「そんなの分かんねえよ。どうせ金目当てじゃねぇの?」
次々に仲間達が騒ぎ出した。
「とりあえず何処か広いところに行こうぜ。そこで迎え撃つぞ。」
ヒュンッ
すぐに耳元で風を切る音が聞こえた。
ボトッ
「お、おいダリル。お前、右腕右腕が・・・」
いつも暑苦しいジルが珍しく動揺していた。
「あ?右腕がどうし・・・え?右腕が無い。何でだ?急に痛みが・・・痛い痛い痛い痛いあぁぁ!!」
「っ!リリィ、早く回復魔法を!」
あまりにも急だったせいか、リリィは俺の呼びかけに反応するのが遅れていた。
俺とジルは武器を構え、リリィ達の前へ出た。
しかし
グシャッ
その音は俺の後ろから聞こえた。
「ひっ・・・!」
ユーリの悲鳴が聞こえる。
振り向くと、そこには謎の黒い物体に貫かれたリリィの姿があった。
「クソッ。いったい誰だよ!?こんな魔法使えるヤツ知らねえよ!?」
「おや、忘れてしまったんですか?私は一度たりとも貴方達の事を忘れた事は無かったですよ?」
聞き覚えのある声がした。
少し離れた木の影から出て来たそいつを俺とジルは注視する。
「え・・・?あの村の人・・・」
ユーリが呟く。
「嫌ですねぇ。まだ別れて一週間も経ってないのに。名前、忘れてしまいました?私は貴方達の名前をしっかりと憶えてますよ?」
そいつは俺達を無視してユーリに向かって歩き出した。
「何をするつもりなの・・・?いや、まだ死にたくない!」
「そうですね。貴方は何もやってませんものね。だからといって何もしないなんて事はしませんよ。」
そいつはユーリを掴むと何か呟いた。
「え?どこなのここ!?誰かいないの!?助けて!」
「お、おいユーリ!どうした!?何をされたんだ!?」
急に叫び出すユーリをジルが落ち着かせる。
「嫌ぁ!触らないで化け物!何で誰もいないの!」
「落ち着け!それは幻覚だ!お前なら落ち着いて対処出来る!」
「周りは化け物だらけでカイン達はいない・・・ウチだって勇者の仲間や。お前らなんかに絶対に負けへん!」
ユーリは非常用に持っていた片手剣を構えた。
「アリサ!なんでこんな事をしたんだ!」
俺はアリサに叫んだ。
アリサは何が可笑しいのかフフッと笑いって言った。
「そんなの決まってるじゃないですか。貴方達は私以外の女性にも同様の事をしてたんじゃないんですか?」
アリサは無言の俺に対してさらに続けた。
「これは貴方達が犯した罪を償ってもらうためですよ。」




