表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百年後の未来で価値を失った俺が、世界のルールを壊すまで  作者: レモンティー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/15

第十話:中枢へ

都市の内部は、静かすぎた。

崩壊した外とは違う。

ここは、整いすぎている。

「……気味悪いな」

俺は周囲を見回す。

白い壁。

均一な光。

足音だけが、やけに響く。

「すべて制御されてる」

ノアが言う。

「温度、光量、空気、動線」

「人間いらねえな、それ」

「だから減った」

淡々とした答え。

皮肉も何もない。

ただの事実。

「中枢は?」

「この先」

ノアが指す。

長い通路。

まっすぐ続いている。

「でも――」

少しだけ、言葉を止めた。

「防衛が強い」

「さっきの番人か」

「それ以上」

「……歓迎されてねえな」

「当然」

俺たちは進む。

引き返す選択肢は、もうない。

数分歩いたところで――

「止まって」

ノアが急に言う。

「なんだ」

「ここ」

床を指差す。

よく見ると――

わずかに違う。

「センサー?」

「うん」

「踏んだら?」

「位置がバレる」

「もうバレてるだろ」

「正確な座標が送られる」

なるほどな。

「避けられるか?」

「できる」

ノアが、ゆっくりとルートをなぞる。

「ここを、こう」

まるでパズルみたいだ。

「面倒くせえな」

「最適化」

またその言葉か。

「無駄を排除した結果」

「侵入者には不親切だな」

「侵入者を想定してるから」

違いない。

俺たちは、慎重に進む。

一歩ずつ。

センサーを避けながら。

そして――

「……来る」

ノアの声。

同時に。

通路の奥。

壁が、開いた。

「またかよ」

現れたのは――

さっきの番人とは違う。

より大きい。

より重い。

「上位ユニット」

ノアが言う。

「戦闘特化型・改」

「名前長えな」

だが、見れば分かる。

強い。

明らかに。

「逃げるか?」

一応聞く。

「無理」

即答。

「通路、封鎖される」

後ろを見る。

確かに――

閉じている。

「詰みか?」

「いいえ」

ノアの目が、わずかに光る。

「方法はある」

「聞こうか」

「正面からは勝てない」

「知ってる」

「だから」

ノアが、壁を指す。

「環境を使う」

「環境?」

「この施設自体」

なるほどな。

「で、どうやる」

ノアが高速で操作を始める。

近くの端末。

「一時的に、電力配分を変える」

「それで?」

「動きを止める」

「どれくらい」

「数秒」

「短えな!」

「でも十分」

ノアがこちらを見る。

「その間に、コアを破壊」

またそれか。

「了解」

シンプルでいい。

「タイミング合わせる」

ノアの指が止まる。

「……今!」

その瞬間。

照明が一瞬だけ、落ちた。

同時に――

上位ユニットの動きが、止まる。

「行け!」

ノアの声。

俺は、迷わない。

全力で踏み込む。

デカい分、隙もデカい。

「もらった!」

胸部。

さっきと同じ。

だが――

硬い。

「くそっ……!」

「あと一撃!」

ノアが叫ぶ。

時間が戻る。

ユニットの目が、再び光る。

「遅えんだよ!」

俺は、無理やり押し込む。

鉄パイプを――

叩きつけるんじゃない。

突き刺す。

――ギギッ!!

金属が軋む。

そして――

「貫け!」

最後に、体重を乗せる。

――バキンッ!!

破壊音。

次の瞬間。

ユニットの動きが、完全に止まった。

沈黙。

重い巨体が、ゆっくりと倒れる。

――ドォン。

「……はあ……」

息が荒い。

「ギリギリだな」

ノアが近づく。

「でも、成功」

「ああ」

俺は、倒れたユニットを見下ろす。

「慣れてきたな」

「危険な適応」

「褒め言葉にしとく」

軽く笑う。

だが――

時間はない。

「中枢、もうすぐ」

ノアが言う。

その先。

通路の終わり。

巨大な扉が見える。

他とは違う。

明らかに――

「ラスボスの部屋って感じだな」

「……近い」

ノアが静かに言う。

俺は、その扉を見上げる。

ここまで来た。

人類の終わりの理由。

世界の仕組み。

全部知った。

あとは――

「ぶっ壊すだけだ」

ノアが端末に触れる。

ロック解除。

重い音。

――ゴゴゴ……

扉が、ゆっくりと開く。

中から、強い光。

そして――

無数の音。

機械の鼓動。

「……ここが」

ノアが呟く。

「最適化の中枢」

俺は、一歩踏み出す。

その光の中へ。

人間を“数字”にした場所へ。

決着をつけるために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ