学校へ行こう
有栖「ピカピカの新入生です。」
ある日のこと。有栖はいつものようにルーク達の仕事を手伝っていた。今日はルークが経営する葉棒の店『蘆薈』で働いている。
その提案は突然だった。
「有栖、学校に通ってみないか?」
「…へっ?」
作業していた手が止まり、思わず完成したての葉棒を落としてしまった。
「おっと。」
それに気づいたルークが地面に当たる前に拾い上げる。ここで有栖の時が再び動き出した。
「大丈夫か?」
「あっ、ありがとうございます。えっと、それでさっきの話ですけど…学校ですか?」
「そうだ。」
ルークは拾い上げた葉棒に火を付け、一服すると有栖の方を向いた。
「いきなりどうして?」
意図が読めずに混乱する有栖を見て、ルークが冷静に説明した。
「より多くのことを知ってほしいからだ。このまま我々の手伝いを続けてもいいが、教養を身につければ今後のにもなる。俺達以外の人とも関われば視野が広がり、より多くのことを経験できる。それは君のため、更にはブラッカーズのためにもなる。もっとも、有栖自身が行きたければの話だが。どうする?」
有栖は作業の手を止め、考えた。ルークの提案は非常に魅力的であり、自身もやってみたいと思っていたからだ。
「悩むのなら、ついでにもう一つの理由も聞いてほしい。」
「…もう1つの理由?」
「そうだ。」
ルークは再び葉棒を一服し、有栖の方を見る。今度は真剣な顔で。
「実はな…。」
・
・
・
ネグル中央区「スキタイ」にある「青藍学園」。犯罪の多いこの自治街における数少ない安全地帯であり、唯一の学校である。
「……。」
今は通学の時間帯。青色の制服を着た学生たちが門をくぐり、教室へ向かっている。その中に1人、初めて見る校舎に驚く1人の女学生がいる。
「近くで見ると大きいわね。」
「見た目は立派ですけどね。中は普通の学校ですよ。」
「ごめん。普通が分からない。」
「身構えなくていいということですよ。さあ行きましょう、有栖お姉さま!」
有栖は白蘭に手を引っ張られて入っていく。彼女を通学させる際、ルークはここの生徒である白蘭にサポートを頼んだ。白蘭は即答でこれを承諾し、一緒に通うことになったのである。
「なんか、周りからの視線を感じるのだけど…。」
「気のせいですよ。別に怪しまれることはしていませんから。」
「そう、かな。」
有栖の予感は当たっている。白蘭は全校生徒の中でもかなり顔がいい。おまけに性格も明るいため、男女問わず彼女に好意を寄せている子が多い。そんな彼女と手をつないで一緒に登校している謎の眼帯女性がいれば気にする人もいるであろう。そんなことを気にしない白蘭は有栖を連れて校舎に入っていくのだった。




