そして新たなる問題
「問題だらけだよ、この街は。」
大迫直義
大迫一家の若頭
ネグルの中央区、『スキタイ』は、ネグルの「政治」を司っている。この地区にある巨大な館、『黒龍の館』は、ネグル最大のギャング『大迫一家』が拠点としている。その一室に今、2人の男が向かいあって座っていた。
1人はブラッカーズのメンバー、マルコ・モンテーロ。そしてもう1人は、大迫一家の若頭『大迫直義』である。
実は、大迫一家はブラッカーズの支援者である。ブラッカーズから収益の一部を貰うかわりに資金や情報を提供する。ブラッカーズが急速に力をつけたのは、この大迫一家による支援も理由の一つなのである。
ただ、ブラッカーズと大迫一家は対等な関係であり、両者の間に変な緊張感はない。特にマルコと直義は長く付き合いのある友人であるため、軽口を叩けるほど仲が良い。
「ブラッカーズの方はどうだ?」
直義が紅茶を一口飲んだ後、マルコに尋ねる。
「順調に力をつけている。白刃が仲間になったことで更に手広く仕事ができるようになった。アイツは殺ししか脳が無いとか言っていたが、全然そんなことはない。手先が器用な奴だよ。
白蘭もよくやってくれている。彼女の明るい性格が、チームに活気をもたらしている。」
「それはよかったな。確か白蘭ちゃんって、うちの妹と同い年だろ?ぜひ友人になって欲しいものだな。」
「そうだな。過保護な兄の許しが出れば、だが。」
「…そうか。ところで、病院の方はどうだ?うまくいっているのか?」
「ああ。クリスの指揮で設備やスタッフを整えた。アイツの伝手で新しい院長も決まったしな。」
「確か、白井とかいう医学院時代の友人だろ?」
「ああ。しかしまさか、クリスがあの『シラジット医学院』の生徒だったとはな。どうりで腕がいいわけだ。何で闇医者になったのかね。」
「まぁ、色々あるのだろう。そのうち分かるかもな。ところでマルコ。」
「ん?」
「有栖さんの周辺に動きはあったか?」
「…いや、何も。向こうは彼女の存在を抹消したつもりでいるようだ。何も仕掛けてこない。」
「そうか。なら、こちらの動きは察されていないな?」
「今のところは。」
「分かった。しかし、本当にやるのか?」
「うちのボスは本気だ。ああなると、誰にも止められない。」
「まぁ、用心しろよ。何が起きても、おかしくないからな。」
「ああ。気をつける。」
ブラッカーズが進めているある計画。それは有栖の過去を知ったルーク達が密かに進めているものだった。
この計画は後に実行され、世界に大きな影響を与えることになるが、それはまだ先の話である。
「もっとも、当面の問題はアイツらだけどな。」
「…またやられたのか?」
マルコの言葉に、直義が眉間にシワを寄せる。バルクス病院の件が片付いた今、ブラッカーズは新たなる問題に直面していた。
「ああ、奴ら…RAIDにな。」




