第42話 荷馬車の所見
「全体的にダメージを受けてはいますが、荷台部分はなんとかそのままでもクムリ村までなら持ちそうな状態ですね。だけど肝心な駆動部分である、車輪が前後ともシャフトが見事に折れています。車輪自体があからさまに破損していないのがせめてもの救いですね。ちょっとした補強程度で再利用できそうです。後は、馬と連結するこの部分の名前が分からないですが、これもここまでクラックが入っていると交換しないと走行時の振動で折れてしまいますね。」
とりあえずざっと全体を確認しつつ、その所見をシャオに伝えた。
「どうかな?取り敢えずクムリ村まで行ければ良いのですが、直せそうですか?」
シャオが心配そうに俺の顔を伺う。
「ええ、構造は単純な物なので技術的には問題ないのですが、後は道工具と材料の問題ですね。木材はそこら辺の木を取り敢えず利用するとして、道工具を見せて頂けますか?」
「修理道具はこちらになります。」
シャオの指示でシャオの部下2名が荷車から道具箱を運び出した。
取り出した道具箱はサイズ80センチ×30センチ、深さは30センチと中々の大きさだ。
木製だが部分部分に銅で装飾が施されており、一見宝箱の様に見えなくもない。
「いいね、一通り揃ってる。流石にボルト・ナットは無いが、釘はあるし、これならなんとかなりそうです。皆さんも少しだけお手伝い願えますか?」
「是非とも。では、予定外な依頼になってしまいますが、お願い出来ますでしょうか?勿論ギルドの方には私の方から説明し、その分の報酬を大地殿は勿論、冒険者の皆様に追加でお支払させて頂きます。」
「ありがとうございます、機械弄りは趣味みたいなものなので。では早速取り掛かりますか!と、マリリ、ギルドに現状の状況報告を例のリモートメッセージカードでお願い出来るかな?それと万が一も考慮し、フィール・リアクションを成るべく広範囲に展開してモンスターの接近を見張っていて欲しい。」
「はい、わかりました!」
道具箱の中の道工具を全て取り出し並べると、俺は早速みんなに修理の概要を説明し作業に取り掛かる事にした。
追加報酬については断ろうかとも考えたが自分1人という訳でも無いし、折角の心遣いを無駄にするのも悪いかと判断し取りあえずは受け取る事にしておこうかと思った。
それにまだまだ駆け出し冒険者である俺としては、装備やアイテムなど揃えていくにはやはり資金が必要になって来る。
勿論その為だけではないが少し試したい事が色々有り、それにもやはり資金が必要では有る。
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