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第8話 テレビの人間さん

遠い昔。

オオワライの森に、“テレビの人間さん”がやって来た。

何処から来たのか、ウワサも無いはずのオオワライの森を、霊力者を連れて見つけ出した。

たくさんのことを知ろうとする人間さんの集まりだった。

森属性の霊力を持つ森では、人間さんの言葉をしゃべる動物たちが住んでいた。

人間さんの言葉での交流がはじまった。

“何故、この森は、あるのか”。

そんなことばかり聞かれた。

理由など無い。

森が存在するのは自然が生み出した。それだけだ。

それを“取材”するテレビの人間さんは、四角いテレビをくれた。見せてくれた。

動物たちは、その中でも、お笑い喜劇を気に入った。

大いに笑った。

森属性の霊力で、タヌキツネ洞窟に小さな笑劇場を作った。

そこで、化けタヌキと化けキツネは、漫才をはじめた。

“タヌキツネ大賞”を企画して、人間さんが、審査員をしてくれた。

そして、言った。


「テレビで、オオワライの森のことを放送する」


その話の直後、人間さんの“学者”がたくさんやって来た。

調べる。解明する。

森属性の霊力を調べるため。森に重機を持ってきた。

森の動物たちは、あわてた。

オオワライの森が切り開かれたら、普通の動物になってしまう。それは、困る。

「人間さんの記憶消させてもらいますでん」

化けタヌキの笑福は、森属性の霊力を使って人間さんの記憶を全て消した。

オオワライの森は、平穏に戻った。


第8話 テレビの人間さん


タヌキツネ洞窟。爆笑木造アパート。

「人間さんが、お笑いを、テレビをくれたんや」

「テレビが、お笑いのキッカケやねん」

又之介と北太は、笑福社長から、昔の話を聞いた。

テレビのお笑い喜劇に憧れて、お笑いをすることを決めたのが、二人なのだ。

めっちゃ、面白かった。人間さんの作ったお笑い喜劇。

自分らも、森の仲間たちを大笑いさせたい。

皆んなを、楽しい気分にさせたい。

夢は、森の笑いの天下取り。

一番人気のある、大爆笑を呼ぶタヌキになりたい。

笑顔が大好きだ。

スマイル。好き、まいる。

自分らが楽しませてあげるなんて、最高だろう。

森の動物たちは、何でも、すぐ笑ってくれる。

気のいい観客なのだ。

その皆んなを、テレビの人間さんが、危ない目に合わせようとしていたのか。


おタヌキ料亭。

あじぽこ様に呼ばれた大爆笑カルテット。

『今回も、お前らにゴチになるぞ』

フワフワあじぽこ様は、ゴチになりたい。

『笑福から、話を聞いたか』

天ぷらそば定食を、食べている。

テレビの人間さんの話。

タヌキツネ大賞。

テレビ放送へのオファー。

学者による、森の調査という名の切り開き。

「聞いたで」

「聞いたやねん」

『人間さんの女の娘の記憶も消す予定だ』

あじぽこ様は、そばをすすっている。

「記憶…消すんか?」

『当たり前だ』

人間さんのぽんずの記憶を消す。

それは、お別れを意味する。

ゴンチャンと一発ギャグ勝負をして、取り合う。

ぽんずとのお付き合いの権利。

「記憶消したら、仲良くできないやないか」

『人間さんと仲良くする必要はないぞ』

「何でや。テレビの人間さんとも、仲良くできへんのか」

又之介は、正直にテレビの人間さんが好きだ。

夢を、お笑い喜劇を与えてくれた存在。

『テレビの人間さんとは、仲良くできない』

「何でや」

『オオワライの森は、人間さんを信じないのだ』

森は、人間さんが、信用できない。

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