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実の娘たちによる拷問

 「誰ですの、このド変態男ォォォッ!?」

 ロスヴァイセの悲鳴が爆発し、屋敷の柱が崩れ落ちるかと思うほど響き渡った。


「ま、待ってくれローズ! 私は本当にパパだ! 話を聞いて――」


 私が弁明を最後まで言い終える前に、ロスヴァイセの背後から目にも止まらぬ速さで一つの影が飛び出した。


 ――ドゴォォッ!


 レンガのように分厚い『魔法大百科』が、私の顔面にクリーンヒットした。


 視界が一瞬でチカチカと点滅する。

 薄れゆく意識の隅で、私は三女のキレーネが――いつも無表情な彼女が――本を投げ終えた姿勢で右腕を上げているのを見た。


(いつの間に来たんだ、この子は!?)


「……対象の無力化を完了」

 キレーネは、感情の欠落した声で淡々と呟いた。


「あでゅっ……」

 私は情けないうめき声を漏らし、意識が遠のく中、顔を真っ赤にして固まっているカレンのすぐ横に、再びベッドの上へと崩れ落ちた。


 真っ暗闇。


 どれくらい気を失っていたのだろうか。

 ゆっくりと目を開けると、頭がズキズキと痛んだ。


 頭を押さえようとしたが……待て。腕が動かない。足もだ!


 視線を下に向けると、私はリビングの中央で、カーテンの紐を使って木製の椅子にぐるぐる巻きに縛り付けられていた。

 だらしなくはだけていたパジャマは、乱暴に引っ張られて直されている。


「お、おい! 何だこれは!? ほどきなさい!」

 私はパニックになり、椅子の上でもがいた。


「私は君たちのパパだぞ、おい! 離してくれ!」


 私の目の前には、四人の愛娘たちが横一列に並び、まるで戦争捕虜でも見下すかのような冷たい視線を私に浴びせていた。


 ロスヴァイセは胸の前で腕を組み、エメラルドの瞳で私を鼻で笑った。

「あらそう? パパだと名乗るの? なら証拠はあるのかしら? 私たちのパパはね……もっと堅物よ。すごく堅苦しいの。顔を見るのすら面倒になるくらいにね」


 ――グサッ。


 架空の矢が私の胸に突き刺さった。

(私が……堅物? そ、そういえば、疲れすぎて家で笑ったことなんてほとんどなかったな……)

 私は心の中で悲痛な事実を確認した。


 ローズの隣に立つキレーネが、鉄仮面のように無表情な顔で小さく頷いた。

「その通り。彼の顔はいつもシワが寄っていた。私を甘やかすより、書類の山を愛していた」


 ――グサッ! グサッ!


(クソッ、私が書類フェチだと言いたいのか!? お前たちを養うためのお金を稼ぐためにやってたんだろうが!)

 私は心の中で毒づき、悔し涙が溢れそうになった。


 淡いピンクの髪を持つ四女のアリーネも、スカートの裾をいじりながら同調する。

「そ、それに……パパはいつも口数が少なくて。私たちと全然会話してくれなかったし……」


(したくなかったわけじゃないんだよ、アリーネ! でも一日中人と話した後は、エネルギーが枯渇するんだ! 太った公爵の『麦の税金』についての五時間の説教を聞くのがどれだけ苦痛か、お前たちには分からないだろう!?)

 私は絶望の中で叫んだ。


 尋問のリーダーとして一番前に立つカレンが、私の横にある小さなテーブルをドンッと叩いた。

 彼女の顔には、先ほどのベッドの上での出来事のせいで、まだほんのりと朱が残っている。


「と、とにかく、あなたはあの人じゃないわ! さっさと本物のお父様の居場所を言いなさい!」

 カレンは私を鋭く睨みつけた。

「吐かないなら、実力行使に出るわよ!」


「私はアシェンだ! アシェン・シェローナンハルトだ! 頼むから私の顔をよく見てくれ、若い頃のパパにそっくりだろうが!?」

 私も負けじと言い返す。


「まだ誤魔化す気!?」

 カレンは腕を振り上げ、私に物理的な罰を下そうとした。


 しかし、カレンの拳が振り下ろされる直前、アリーネがふと私の足元の床を見つめた。


「あれ? カレンお姉様、待って。この人のシャツのポケットから、何かが落ちたみたい」

 アリーネは無邪気に言い、私がもがいた拍子に大きすぎるパジャマの胸ポケットから滑り落ちた一枚の紙切れを拾い上げた。


 彼女は首を傾げる。

「これ……写真?」


「何の写真? 見せなさい」

 カレンがアリーネの手から写真を奪い取る。ロスヴァイセとキレーネもすぐに近づき、長女の肩越しにそれを覗き込んだ。


 私は目を細め、彼女たちが何の写真を持っているのかを確認しようとした。


 そして、その絵面を見た瞬間。

 私の心臓は、完全に機能を停止した。


 こめかみから、トウモロコシの粒ほどもある巨大な冷や汗が流れ落ちる。


 それは、私の過去の写真だった。

 正確には、18歳でアカデミーに入学した直後のものだ。写真の中で、私は二人の親友の真ん中に立っている。


 だが、何よりも致命的だったのは……その時の私の『ポーズ』だった。


 右手で自分の片目を覆い、斜に構え、いかにも『俺は闇を抱えている』と言わんばかりの、カッコつけたニヒルな笑みを浮かべていたのだ!

 世界が自分の手の平にあると勘違いしていた、思春期特有の、あまりにも痛々しく恥ずかしい黒歴史ポーズ


(なっ!? なぜあんな黒歴史の写真を私が持っているんだ!?)

 脳内がフル回転する。


 ああっ、そうだ! 昨夜、あの崖から落ちる事故の前に、私は執務室で昔を懐かしみ、若かりし頃の自分を思い出してその写真をポケットに入れたんだった!


 カレンは写真を見つめ、そしてゆっくりと私の顔を見た。

 もう一度写真を見て、また私を見る。


 写真の中でイキっている痛々しい青年の顔と、今椅子に縛り付けられている私の顔は、100%完全に、寸分の狂いもなく一致していた。


 四人の娘たちは、言葉を失い静まり返った。

 カレンの口が、ぽかんと少しだけ開く。


「そ、それは……ッ!」

 私の顔は、先ほどのパニックを遥かに超える、この世の終わりのような凄まじい羞恥心で発火しそうになった。


「あぁぁぁっ! なぜその写真がポケットに入っているんだ!?」


 私は椅子が不気味なきしむ音を立てるほど、激しく暴れ回った。


「ま、待ってくれ! その写真は見るな! そ、それはただの古い写真だ! 返してくれ、頼む! その恥ずかしいポーズのことは忘れてくれぇぇぇッ!」

 私は半狂乱になって叫んだ。


 一瞬の静寂の後。

 あまりの衝撃に少し声を震わせながら、カレンがその沈黙を破った。

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