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暴走転生勇者を最強監視者が必殺しちゃいます。〜罪は世界を選ばねえ〜  作者: がお


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16/31

【16話】髑髏の勇者(中編)

監視者の実力を楽しんでください。

沈黙。

張り詰めた空気。

その時――

悪魔が、口を開く。

「ひざまずけ」

低く静かに。

抗えない圧。

――身体が、止まる。

膝が、沈む。

「……っ!」

動かない。

力が、入らない。

視界が揺れる。

その時――

「――あああああ!!」

琥珀の雄叫び。

音が、空間を震わせる。

縛りが、軋み砕ける。

正義の指が、わずかに動く。

竜美が歯を食いしばる。

拘束が、ほどける。

一瞬。

双子の片方が、眉をひそめる。

「……何で?」

もう片方が同時に、口を開く。

「効かないの?」

声が、重なる。

次の瞬間――

双子が消える。

左右同時。

距離が、消える。

「っ!」

琥珀が反応する。

竜美が前に出る。

だが速い。

双子の一人が、弓を放つ。

風を裂く音。

一直線に正義を狙う。

次の瞬間――

正義が刀を抜く。

――弾く。

金属音。

火花。

矢が、軌道を逸らす。

壁に突き刺さる。

――その瞬間。

もう一人の双子はすでに間合い。

「遅い」

踏み込み拳を正義に打つ。

だが。

「させるかよ」

竜美が割り込む。

ギターを振る。

鈍い音。

衝突。

拳と木。

空気が弾ける。

竜美の足が、わずかに滑る。

「っ……重いな」

双子は止まらない。

そのまま、回し蹴りの連撃。

一切の無駄がない。

竜美が受け流す。

だが――

押される。

重い。

「ちっ……!」

その時。

琥珀が小さく。

マイクを握る。

一音。

震える。

空気が、揺れる。

双子の動きが、わずかに乱れる。

ほんの一瞬。

「そこ」

竜美が踏み込む。

ギターを振り抜く。

叩きつける。

直撃。

一人。

吹き飛び石床を転がる。

だが――

「まだだよ」

もう一人は無傷。

距離を取る。

弓を構える。

今度は二本。

同時に射る。

「避けられる?」

矢を放つ。

二方向。

挟み撃ち。

正義は動かない。

視線だけ追う。

次の瞬間――

前へ踏み込み。

矢の間を抜ける。

紙一重。

風が頬を裂く。

血が、わずかに滲む。


――その時。

視線。

正義が、わずかに横を見る。

中央。

髑髏。

動かない。

一歩も。

ただ、立っている。

空洞の奥。

赤い光。

こちらを見ている。

正義が、踏み込む。

刀が――髑髏へ振り下ろされる。

だが――

止まる。

見えない圧。

刃が、髑髏の前で止められる。

触れていない。

それでも、進まない。

「……っ」

腕が、軋む。

押し返される。

一歩。

また一歩。

正義の足が、後ろへ滑る。

床が削れる。

「無駄だ」

髑髏の声。

低い。

感情がない。

「届かない」

その瞬間――

横から衝撃。

「横がお留守だよ!」

双子の一撃。

正義の身体が弾かれる。

後方へ。

転がる。

すぐに起き上がるが――

「チッ……!」

竜美も、押されている。

双子の連携。

一人が攻め。

一人が狙う。

隙が、ない。

「……このままじゃ」

息が、荒い。

竜美が、低く吐き出す。

「らちがあかねえな」

その時。

正義が、静かに立ち上がる。

血を拭うこともなく。

ただ――前を見る。

一瞬。

三人の視線が交わる。

理解は、早い。

正義が口を開く。

「分けるぞ」

短く。

迷いがない。

「双子と――あの骨」

視線が、髑髏へ向く。

「それぞれでやる」

空気が、張り詰める。

決断。

竜美が、ニヤリと笑う。

「やっと言ったかよ」

琥珀が、小さく頷く。

マイクを握る手が、強くなる。

戦場が――分かれる。


次の瞬間。

琥珀が、一歩前に出る。

静かに。

けれど、はっきりと。

「――こっちよ」

小さく。

誘うような響き。

悪魔の視線が琥珀へ動く。

「……ほう」

初めての興味。

赤い光が、わずかに揺れる。

琥珀は、ふっと息を吐く。

振り返らずに走り出す。

足音だけが、響く。

カツ、カツ、と。

わざと。

音を残す。

誘導。

「逃げるのか?」

悪魔の声。

琥珀は、答えない。

ただ――

もう一度。

一音。

今度は、強く。

「ァァ――ッ!」

響く。

空間を裂くような音。

挑発。

「……いいだろう」

次の瞬間。

気配が、消える。

そして――

現れる。

琥珀の背後。

だが。

琥珀は止まらない。

分かっている。

それでも走る。

誘う。

奥へ。

暗い通路。

回廊。

光が、細くなる。

音が、反響する。

閉じた空間。

戦うには――十分。

琥珀が、立ち止まる。

ゆっくりと、振り返る。

マイクを、握り直す。

「……ここなら」

目が、真っ直ぐに悪魔を捉える。

「遠慮、いらないよね」

回廊に――静寂が走る。

次の瞬間――

悪魔の腕が、振り下ろされる。

空間が裂ける。

裂け目の奥から――

炎。

黒い。

赤ではない。

光を喰うような、闇の炎。

「――奈落獄炎(ならくごくえん)」

放たれる。

一直線。

逃げ場は、ない。

回廊を埋め尽くす。

焼く、ではない。

“喰う”。

存在ごと。

琥珀へ。

「……っ」

熱が来る前に。

圧が、来る。

空気が、焼ける。

その中で――

琥珀は、動かない。

マイクを、強く握る。

息を、吸う。

そして――

「――ハァッ!!」

音。

爆ぜる。

前方に、叩きつける。

見えない壁。

音の層。

重なり合う振動。

盾になる。

奈落の炎が――

ぶつかる。

衝突。

轟音。

火と音が、ぶつかり合う。

回廊が、震える。

床が、軋む。

「……ぐっ!」

押される。

熱が、迫る。

だが。

崩れない。

音の壁が――耐える。

「……やるじゃん」

琥珀が、小さく笑う。

マイクを、さらに前へ。

「でもさ」

目が、鋭くなる。

「それ――効かないよ」

音が――

さらに重なる。

その圧に。

炎が、わずかに揺らぐ。

「……ほう」

悪魔の声。

興味。

わずかに。

だが、確実に。

腕が、ゆっくりと下りる。

炎が、霧散する。

残った熱だけが、空間に残る。

赤い光が――細くなる。

琥珀を、見ている。

「防ぐか」

低く。

静かに。

そして――

わずかに、首を傾ける。

「……では」

間。

ほんの、一瞬。

空気が、張り詰める。

「これなら――どうですか?」

次の瞬間。

視線が、突き刺さる。

見えない圧が――落ちる。

言葉が、放たれる。

「――ひざまずけ」

世界が、沈む。

音が、消える。

空気が、止まる。

見えない何かが――

琥珀の全身を、押さえつける。

「……っ!」

膝が――

軋む。

「……っ!」

力が、入らない。

立っているだけで、限界。

音が――出せない。

喉が、締め付けられる。

「……く……っ」

マイクを握る手が、震える。

下がる。

わずかに。

膝が――沈む。

床に、触れる寸前。

「そうだ」

悪魔の声。

満足げに。

静かに。

「それでいい」

視線が、見下ろす。

完全な支配。

逃げ場は、ない。

その時――

悪魔の腕が、ゆっくりと上がる。

再び。

あの動き。

空間が、歪む。

熱が――集まる。

黒い揺らぎ。

裂け目が、開く。

「――奈落獄炎」

呟き。

低く。

確実に。

先ほどと、同じ。

いや――

それ以上の密度。

回廊が、焼ける前に震える。

逃げられない。

防げない。

動けない。

琥珀の目の前で――

炎が、形を成す。

振り下ろされる、その瞬間。


「――やめて!!」


琥珀の声。

大きく。

鋭く。

絞り出すように。

音が――弾ける。

その瞬間。

ピタリと。

炎が――止まる。

「……」

落ちない。

振り下ろされない。

空中で。

静止。

悪魔の腕も。

動かない。

「……は?」

琥珀の目が、見開かれる。

理解が、追いつかない。

膝をついたまま。

ただ、見上げる。

目の前の異常。

「……何を」

悪魔の声。

初めて。

揺れる。

腕が――微かに震える。

「なぜ、止まる」

奈落の炎が、揺らぐ。

制御が、乱れる。

赤い光が、わずかに揺れる。

「……命令は」

低く。

困惑が、滲む。

「私のものだ」

沈黙。

張り詰める。

琥珀も。

悪魔も。

動けない。

ただ――

“何が起きたのか”

分からないまま。

琥珀の喉が、わずかに震える。

今の一言。

偶然じゃない。

「……あれ」

小さく。

自分の声を、確かめるように。

指先に、力が戻る。

ゆっくりと。

膝が、持ち上がる。

立てる。

「……効いた?」

信じられない、という顔。

だが――

確実に。

止まっている。

悪魔が。

「……貴様」

低い声。

だが、先ほどとは違う。

わずかな警戒。

赤い光が、細くなる。

「今のは……何だ」

琥珀は、息を整える。

マイクを、握り直す。

さっきと同じように――

いや、少しだけ意識して。

声に、乗せる。

「……止まれ」

小さく。

だが、はっきりと。

その瞬間。

悪魔の腕が――

ピクリと、止まる。

「――ッ」

今度は。

確信。

琥珀の目が、変わる。

「……やっぱり」

小さく、息を吐く。

「効くじゃん」

わずかに。

笑う。

「そっか」

理解が、繋がる。

自分の力。

“魅せる声”。

“惹きつける音”。

そして――

「……あたしの方が、上なんだ」

静かに。

言い切る。

空気が、変わる。

支配が――揺らぐ。

悪魔は、動けない。

腕を上げたまま。

奈落の炎を宿したまま。

止まっている。

「……効いてる」

琥珀が、一歩踏み出す。

ゆっくりと。

確かめるように。

悪魔の前へ。

距離が、縮まる。

一歩。

また一歩。

「……すごいじゃん、あたし」

小さく。

息を吐く。

だが、油断はない。

視線は、逸らさない。

「そのまま――動かないで」

静かに。

言葉を、重ねる。

念を押すように。

悪魔の指が、わずかに震える。

だが。

動けない。

「……っ」

拘束は、続いている。

完全に。

琥珀が、目の前に立つ。

至近距離。

赤い光を、真正面から見据える。

マイクを――構える。

「ごめんね」

ほんの少しだけ。

柔らかい声。

そして――

カチリ。

小さな音。

マイクの下部。

仕込み刀が、滑り出る。

細く。

鋭い。

光を反射する。

「これで――終わり」

次の瞬間。

踏み込み。

一閃。

迷いは、ない。

一直線に――

悪魔の額に。

「――ッ」

鈍い音。

抵抗。

だが、止まらない。

そのまま――押し込む。

深く。

確実に。

「……」

沈黙。

奈落の炎が――消える。

空間の熱が、引いていく。

悪魔の身体が――

ゆっくりと、崩れる。

光が、消える。

支配が、消える。

完全な静寂。

琥珀は、その場に立ったまま。

しばらく、動かない。

やがて。

小さく、息を吐く。

「……はぁ」

力が、抜ける。

だが――

マイクは、まだ握ったまま。

「……終わった?」

ぽつりと。

呟く。


場面は――大広間。

高い天井。

広い空間。

音が、よく響く。

その中央。

竜美が、立っている。

肩で息をする。

双子が、動く。

一人は――後方。

弓を構える。

もう一人は――前へ。

間合いを詰める。

「……役割分担かよ」

来る。

拳。

竜美が受ける。

その瞬間――

風。

「っ!」

矢。

背後から。

頬を掠める。

血。

止まらない。

双子の一人が、詰める。

連撃。

重い。

「チッ……!」

押される。

「終わり」

弓。

二本。

同時。

逃げ場を潰す。

「ふざけんな!」

竜美が――踏み込む。

前へ。

一気に。

矢の間を、抜ける。

一本、刺さる。

「ぐっ……!」

止まらない。

そのまま――

懐へ。

踏み込む。

だが。

「遅い」

スッと。

間合いを外される。

空振り。

「チッ……!」

次の瞬間――

拳。

竜美が受ける。

重い。

その隙に――

「終わり」

背から飛んで来る矢。

「っ!」

無理やり、捻る。

避ける。

だが。

もう一人は――離れる。

また、距離。

「……クソが」

踏み込む。

詰める。

だが――

外される。

その繰り返し。

「はっ……!」

竜美が、笑う。

息が荒い。

「やっとだ……!」

その時。

弓が、引かれる。

「……そこか」

竜美は、あえて動かない。

「終わり」

矢が――放たれる。

一直線。

その瞬間。

双子の一人の肩に、矢が突き刺さる。

「な……!」

動きが、止まる。

空気が――変わる。

双子の動きが、止まる。

竜美が、踏み込む。

一直線。

負傷した方へ。

「っ……!」

避けようとする。

だが。

動きが――引かれる。

「……な?」

肩が、わずかに後ろへ引く。

足が、ズレる。

意図しない動き。

その瞬間。

竜美が、口の端を吊り上げる。

「気づくの、遅えよ」

その時、初めて見える。

細い線。

弦。

負傷した双子の腕に――巻き付いている。

「いつの間に……!」

もう一人が、息を呑む。

「懐に入った時だ」

低く。

吐き捨てる。

「逃げるたびに、少しずつな」

弦が――張る。

引かれる。

身体が、勝手に動く。

「っ――やめ……!」

制御が、奪われる。

その瞬間――

後方の双子が、弓を引く。

だが。

「もう遅え」

竜美が、さらに引く。

弦が、鳴る。

操られる身体。

射線に――入る。

「――っ!?」

矢が、放たれる。

そして――

味方へ。

突き刺さる。

「ぐっ……!」

動きが、完全に止まる。

連携が――崩壊する。


ギターを、構える。

トドメの距離。

竜美が、口を開く。

「……俺の弦はな」

低く。

静かに。

「よく切れるんだよ」

次の瞬間。

指が、弾く。

軽やかに。

弦が――走る。

音もなく。

空気を裂くように。

双子の身体へ――巻き付く。

首。

腕。

胴。

逃げ場は、ない。

「っ……!」

動こうとする。

だが――遅い。

竜美が、握る。

そして――

引く。

一気に。

ジャリ、と。

乾いた音。

次の瞬間――

止まる。

世界が、一瞬だけ静まる。

そして――

ズレる。

線に沿って。

崩れる。

音もなく。

切断。

「……」

血が、遅れて落ちる。

竜美は、動かない。

ただ、弦を戻す。

指でなぞる。

何事もなかったように。

「終わりだ」

小さく。

吐き捨てる。


「――ッ!!」

残った一人。

逆上し弓を引く。

連続で、矢が――降る。

無差別。

八つ裂きのように。

空間を埋める。

だが。

竜美は――動かない。

立ったまま。

最小の動き。

首を傾ける。

肩をずらす。

それだけで――

すべて、外れる。

「……」

静かに。

一歩、前へ。

「矢だけだと楽だな」

低く。

吐き捨てる。

双子の目が、見開かれる。

その瞬間。

竜美の指が――動く。

ピック。

弾くように。

投げる。

小さな軌道。

だが――鋭い。

弧を描く。

空気を裂く。

「――っ!」

ピックが――

喉を、掠める。

一線。

次の瞬間。

血が、噴く。

弓が、落ちる。

膝が、崩れる。

声にならない。

そのまま――

倒れる。

動かない。

「……」

竜美が、ピックを拾う。

何事もなかったように。

指に戻す。

「終わりだ」

大広間に――

完全な静寂。


玉座の間。

静寂。

向かい合う、二人。

その時――

髑髏が、わずかに首を傾ける。

「……貴様が、監視者か」

低い声。

空洞の奥。

赤い光が、揺れる。

正義は、静かに答える。

「そうだ」

短く。

それだけ。

間。

ほんの一瞬。

そして――

空気が、変わる。

髑髏の周囲に。

歪み。

浮かぶ。

剣。

一本。

二本。

十。

増える。

無数。

空中に――展開される。

刃が、正義へ向く。

「挨拶代わりだ」

次の瞬間――

放たれる。

一斉に。

雨のように。

「……」

正義は、動く。

踏み込み。

最小限。

刀が、閃く。

弾く。

流す。

避ける。

一本が頬を掠める。

血。

だが――止まらない。

足を運ぶ。

間を抜ける。

紙一重。

剣が、床に突き刺さる。

石が砕ける。

音が響く。

それでも。

正義は――崩れない。

最後の一本を、弾く。

静止。

「……なるほど」

髑髏の声。

わずかに。

興味。

「ただの人間では、ないか」

正義は、刀を下ろさない。

視線も、逸らさない。

「まだだろ」

低く返す。

沈黙。

張り詰める空気。

玉座の間。

二人だけ。

動かない。

だが――

次の一手で、すべてが変わる。


戦いのシーンって結構疲れますね(笑)

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