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暴走転生勇者を最強監視者が必殺しちゃいます。〜罪は世界を選ばねえ〜  作者: がお


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16/30

【16話】髑髏の勇者(中編)

監視者の実力を楽しんでください。

沈黙。

張り詰めた空気。

その時――

悪魔が、口を開く。

「ひざまずけ」

低く静かに。

抗えない圧。

――身体が、止まる。

膝が、沈む。

「……っ!」

動かない。

力が、入らない。

視界が揺れる。

その時――

「――あああああ!!」

琥珀の雄叫び。

音が、空間を震わせる。

縛りが、軋み砕ける。

正義の指が、わずかに動く。

竜美が歯を食いしばる。

拘束が、ほどける。

一瞬。

双子の片方が、眉をひそめる。

「……何で?」

もう片方が同時に、口を開く。

「効かないの?」

声が、重なる。

次の瞬間――

双子が消える。

左右同時。

距離が、消える。

「っ!」

琥珀が反応する。

竜美が前に出る。

だが速い。

双子の一人が、弓を放つ。

風を裂く音。

一直線に正義を狙う。

次の瞬間――

正義が刀を抜く。

――弾く。

金属音。

火花。

矢が、軌道を逸らす。

壁に突き刺さる。

――その瞬間。

もう一人の双子はすでに間合い。

「遅い」

踏み込み拳を正義に打つ。

だが。

「させるかよ」

竜美が割り込む。

ギターを振る。

鈍い音。

衝突。

拳と木。

空気が弾ける。

竜美の足が、わずかに滑る。

「っ……重いな」

双子は止まらない。

そのまま、回し蹴りの連撃。

一切の無駄がない。

竜美が受け流す。

だが――

押される。

重い。

「ちっ……!」

その時。

琥珀が小さく。

マイクを握る。

一音。

震える。

空気が、揺れる。

双子の動きが、わずかに乱れる。

ほんの一瞬。

「そこ」

竜美が踏み込む。

ギターを振り抜く。

叩きつける。

直撃。

一人。

吹き飛び石床を転がる。

だが――

「まだだよ」

もう一人は無傷。

距離を取る。

弓を構える。

今度は二本。

同時に射る。

「避けられる?」

矢を放つ。

二方向。

挟み撃ち。

正義は動かない。

視線だけ追う。

次の瞬間――

前へ踏み込み。

矢の間を抜ける。

紙一重。

風が頬を裂く。

血が、わずかに滲む。


――その時。

視線。

正義が、わずかに横を見る。

中央。

髑髏。

動かない。

一歩も。

ただ、立っている。

空洞の奥。

赤い光。

こちらを見ている。

正義が、踏み込む。

刀が――髑髏へ振り下ろされる。

だが――

止まる。

見えない圧。

刃が、髑髏の前で止められる。

触れていない。

それでも、進まない。

「……っ」

腕が、軋む。

押し返される。

一歩。

また一歩。

正義の足が、後ろへ滑る。

床が削れる。

「無駄だ」

髑髏の声。

低い。

感情がない。

「届かない」

その瞬間――

横から衝撃。

「横がお留守だよ!」

双子の一撃。

正義の身体が弾かれる。

後方へ。

転がる。

すぐに起き上がるが――

「チッ……!」

竜美も、押されている。

双子の連携。

一人が攻め。

一人が狙う。

隙が、ない。

「……このままじゃ」

息が、荒い。

竜美が、低く吐き出す。

「らちがあかねえな」

その時。

正義が、静かに立ち上がる。

血を拭うこともなく。

ただ――前を見る。

一瞬。

三人の視線が交わる。

理解は、早い。

正義が口を開く。

「分けるぞ」

短く。

迷いがない。

「双子と――あの骨」

視線が、髑髏へ向く。

「それぞれでやる」

空気が、張り詰める。

決断。

竜美が、ニヤリと笑う。

「やっと言ったかよ」

琥珀が、小さく頷く。

マイクを握る手が、強くなる。

戦場が――分かれる。


次の瞬間。

琥珀が、一歩前に出る。

静かに。

けれど、はっきりと。

「――こっちよ」

小さく。

誘うような響き。

悪魔の視線が琥珀へ動く。

「……ほう」

初めての興味。

赤い光が、わずかに揺れる。

琥珀は、ふっと息を吐く。

振り返らずに走り出す。

足音だけが、響く。

カツ、カツ、と。

わざと。

音を残す。

誘導。

「逃げるのか?」

悪魔の声。

琥珀は、答えない。

ただ――

もう一度。

一音。

今度は、強く。

「ァァ――ッ!」

響く。

空間を裂くような音。

挑発。

「……いいだろう」

次の瞬間。

気配が、消える。

そして――

現れる。

琥珀の背後。

だが。

琥珀は止まらない。

分かっている。

それでも走る。

誘う。

奥へ。

暗い通路。

回廊。

光が、細くなる。

音が、反響する。

閉じた空間。

戦うには――十分。

琥珀が、立ち止まる。

ゆっくりと、振り返る。

マイクを、握り直す。

「……ここなら」

目が、真っ直ぐに悪魔を捉える。

「遠慮、いらないよね」

回廊に――静寂が走る。

次の瞬間――

悪魔の腕が、振り下ろされる。

空間が裂ける。

裂け目の奥から――

炎。

黒い。

赤ではない。

光を喰うような、闇の炎。

「――奈落獄炎ならくごくえん

放たれる。

一直線。

逃げ場は、ない。

回廊を埋め尽くす。

焼く、ではない。

“喰う”。

存在ごと。

琥珀へ。

「……っ」

熱が来る前に。

圧が、来る。

空気が、焼ける。

その中で――

琥珀は、動かない。

マイクを、強く握る。

息を、吸う。

そして――

「――ハァッ!!」

音。

爆ぜる。

前方に、叩きつける。

見えない壁。

音の層。

重なり合う振動。

盾になる。

奈落の炎が――

ぶつかる。

衝突。

轟音。

火と音が、ぶつかり合う。

回廊が、震える。

床が、軋む。

「……ぐっ!」

押される。

熱が、迫る。

だが。

崩れない。

音の壁が――耐える。

「……やるじゃん」

琥珀が、小さく笑う。

マイクを、さらに前へ。

「でもさ」

目が、鋭くなる。

「それ――効かないよ」

音が――

さらに重なる。

その圧に。

炎が、わずかに揺らぐ。

「……ほう」

悪魔の声。

興味。

わずかに。

だが、確実に。

腕が、ゆっくりと下りる。

炎が、霧散する。

残った熱だけが、空間に残る。

赤い光が――細くなる。

琥珀を、見ている。

「防ぐか」

低く。

静かに。

そして――

わずかに、首を傾ける。

「……では」

間。

ほんの、一瞬。

空気が、張り詰める。

「これなら――どうですか?」

次の瞬間。

視線が、突き刺さる。

見えない圧が――落ちる。

言葉が、放たれる。

「――ひざまずけ」

世界が、沈む。

音が、消える。

空気が、止まる。

見えない何かが――

琥珀の全身を、押さえつける。

「……っ!」

膝が――

軋む。

「……っ!」

力が、入らない。

立っているだけで、限界。

音が――出せない。

喉が、締め付けられる。

「……く……っ」

マイクを握る手が、震える。

下がる。

わずかに。

膝が――沈む。

床に、触れる寸前。

「そうだ」

悪魔の声。

満足げに。

静かに。

「それでいい」

視線が、見下ろす。

完全な支配。

逃げ場は、ない。

その時――

悪魔の腕が、ゆっくりと上がる。

再び。

あの動き。

空間が、歪む。

熱が――集まる。

黒い揺らぎ。

裂け目が、開く。

「――奈落獄炎」

呟き。

低く。

確実に。

先ほどと、同じ。

いや――

それ以上の密度。

回廊が、焼ける前に震える。

逃げられない。

防げない。

動けない。

琥珀の目の前で――

炎が、形を成す。

振り下ろされる、その瞬間。


「――やめて!!」


琥珀の声。

大きく。

鋭く。

絞り出すように。

音が――弾ける。

その瞬間。

ピタリと。

炎が――止まる。

「……」

落ちない。

振り下ろされない。

空中で。

静止。

悪魔の腕も。

動かない。

「……は?」

琥珀の目が、見開かれる。

理解が、追いつかない。

膝をついたまま。

ただ、見上げる。

目の前の異常。

「……何を」

悪魔の声。

初めて。

揺れる。

腕が――微かに震える。

「なぜ、止まる」

奈落の炎が、揺らぐ。

制御が、乱れる。

赤い光が、わずかに揺れる。

「……命令は」

低く。

困惑が、滲む。

「私のものだ」

沈黙。

張り詰める。

琥珀も。

悪魔も。

動けない。

ただ――

“何が起きたのか”

分からないまま。

琥珀の喉が、わずかに震える。

今の一言。

偶然じゃない。

「……あれ」

小さく。

自分の声を、確かめるように。

指先に、力が戻る。

ゆっくりと。

膝が、持ち上がる。

立てる。

「……効いた?」

信じられない、という顔。

だが――

確実に。

止まっている。

悪魔が。

「……貴様」

低い声。

だが、先ほどとは違う。

わずかな警戒。

赤い光が、細くなる。

「今のは……何だ」

琥珀は、息を整える。

マイクを、握り直す。

さっきと同じように――

いや、少しだけ意識して。

声に、乗せる。

「……止まれ」

小さく。

だが、はっきりと。

その瞬間。

悪魔の腕が――

ピクリと、止まる。

「――ッ」

今度は。

確信。

琥珀の目が、変わる。

「……やっぱり」

小さく、息を吐く。

「効くじゃん」

わずかに。

笑う。

「そっか」

理解が、繋がる。

自分の力。

“魅せる声”。

“惹きつける音”。

そして――

「……あたしの方が、上なんだ」

静かに。

言い切る。

空気が、変わる。

支配が――揺らぐ。

悪魔は、動けない。

腕を上げたまま。

奈落の炎を宿したまま。

止まっている。

「……効いてる」

琥珀が、一歩踏み出す。

ゆっくりと。

確かめるように。

悪魔の前へ。

距離が、縮まる。

一歩。

また一歩。

「……すごいじゃん、あたし」

小さく。

息を吐く。

だが、油断はない。

視線は、逸らさない。

「そのまま――動かないで」

静かに。

言葉を、重ねる。

念を押すように。

悪魔の指が、わずかに震える。

だが。

動けない。

「……っ」

拘束は、続いている。

完全に。

琥珀が、目の前に立つ。

至近距離。

赤い光を、真正面から見据える。

マイクを――構える。

「ごめんね」

ほんの少しだけ。

柔らかい声。

そして――

カチリ。

小さな音。

マイクの下部。

仕込み刀が、滑り出る。

細く。

鋭い。

光を反射する。

「これで――終わり」

次の瞬間。

踏み込み。

一閃。

迷いは、ない。

一直線に――

悪魔の額に。

「――ッ」

鈍い音。

抵抗。

だが、止まらない。

そのまま――押し込む。

深く。

確実に。

「……」

沈黙。

奈落の炎が――消える。

空間の熱が、引いていく。

悪魔の身体が――

ゆっくりと、崩れる。

光が、消える。

支配が、消える。

完全な静寂。

琥珀は、その場に立ったまま。

しばらく、動かない。

やがて。

小さく、息を吐く。

「……はぁ」

力が、抜ける。

だが――

マイクは、まだ握ったまま。

「……終わった?」

ぽつりと。

呟く。


場面は――大広間。

高い天井。

広い空間。

音が、よく響く。

その中央。

竜美が、立っている。

肩で息をする。

双子が、動く。

一人は――後方。

弓を構える。

もう一人は――前へ。

間合いを詰める。

「……役割分担かよ」

来る。

拳。

竜美が受ける。

その瞬間――

風。

「っ!」

矢。

背後から。

頬を掠める。

血。

止まらない。

双子の一人が、詰める。

連撃。

重い。

「チッ……!」

押される。

「終わり」

弓。

二本。

同時。

逃げ場を潰す。

「ふざけんな!」

竜美が――踏み込む。

前へ。

一気に。

矢の間を、抜ける。

一本、刺さる。

「ぐっ……!」

止まらない。

そのまま――

懐へ。

踏み込む。

だが。

「遅い」

スッと。

間合いを外される。

空振り。

「チッ……!」

次の瞬間――

拳。

竜美が受ける。

重い。

その隙に――

「終わり」

背から飛んで来る矢。

「っ!」

無理やり、捻る。

避ける。

だが。

もう一人は――離れる。

また、距離。

「……クソが」

踏み込む。

詰める。

だが――

外される。

その繰り返し。

「はっ……!」

竜美が、笑う。

息が荒い。

「やっとだ……!」

その時。

弓が、引かれる。

「……そこか」

竜美は、あえて動かない。

「終わり」

矢が――放たれる。

一直線。

その瞬間。

双子の一人の肩に、矢が突き刺さる。

「な……!」

動きが、止まる。

空気が――変わる。

双子の動きが、止まる。

竜美が、踏み込む。

一直線。

負傷した方へ。

「っ……!」

避けようとする。

だが。

動きが――引かれる。

「……な?」

肩が、わずかに後ろへ引く。

足が、ズレる。

意図しない動き。

その瞬間。

竜美が、口の端を吊り上げる。

「気づくの、遅えよ」

その時、初めて見える。

細い線。

弦。

負傷した双子の腕に――巻き付いている。

「いつの間に……!」

もう一人が、息を呑む。

「懐に入った時だ」

低く。

吐き捨てる。

「逃げるたびに、少しずつな」

弦が――張る。

引かれる。

身体が、勝手に動く。

「っ――やめ……!」

制御が、奪われる。

その瞬間――

後方の双子が、弓を引く。

だが。

「もう遅え」

竜美が、さらに引く。

弦が、鳴る。

操られる身体。

射線に――入る。

「――っ!?」

矢が、放たれる。

そして――

味方へ。

突き刺さる。

「ぐっ……!」

動きが、完全に止まる。

連携が――崩壊する。


ギターを、構える。

トドメの距離。

竜美が、口を開く。

「……俺の弦はな」

低く。

静かに。

「よく切れるんだよ」

次の瞬間。

指が、弾く。

軽やかに。

弦が――走る。

音もなく。

空気を裂くように。

双子の身体へ――巻き付く。

首。

腕。

胴。

逃げ場は、ない。

「っ……!」

動こうとする。

だが――遅い。

竜美が、握る。

そして――

引く。

一気に。

ジャリ、と。

乾いた音。

次の瞬間――

止まる。

世界が、一瞬だけ静まる。

そして――

ズレる。

線に沿って。

崩れる。

音もなく。

切断。

「……」

血が、遅れて落ちる。

竜美は、動かない。

ただ、弦を戻す。

指でなぞる。

何事もなかったように。

「終わりだ」

小さく。

吐き捨てる。


「――ッ!!」

残った一人。

逆上し弓を引く。

連続で、矢が――降る。

無差別。

八つ裂きのように。

空間を埋める。

だが。

竜美は――動かない。

立ったまま。

最小の動き。

首を傾ける。

肩をずらす。

それだけで――

すべて、外れる。

「……」

静かに。

一歩、前へ。

「矢だけだと楽だな」

低く。

吐き捨てる。

双子の目が、見開かれる。

その瞬間。

竜美の指が――動く。

ピック。

弾くように。

投げる。

小さな軌道。

だが――鋭い。

弧を描く。

空気を裂く。

「――っ!」

ピックが――

喉を、掠める。

一線。

次の瞬間。

血が、噴く。

弓が、落ちる。

膝が、崩れる。

声にならない。

そのまま――

倒れる。

動かない。

「……」

竜美が、ピックを拾う。

何事もなかったように。

指に戻す。

「終わりだ」

大広間に――

完全な静寂。


玉座の間。

静寂。

向かい合う、二人。

その時――

髑髏が、わずかに首を傾ける。

「……貴様が、監視者か」

低い声。

空洞の奥。

赤い光が、揺れる。

正義は、静かに答える。

「そうだ」

短く。

それだけ。

間。

ほんの一瞬。

そして――

空気が、変わる。

髑髏の周囲に。

歪み。

浮かぶ。

剣。

一本。

二本。

十。

増える。

無数。

空中に――展開される。

刃が、正義へ向く。

「挨拶代わりだ」

次の瞬間――

放たれる。

一斉に。

雨のように。

「……」

正義は、動く。

踏み込み。

最小限。

刀が、閃く。

弾く。

流す。

避ける。

一本が頬を掠める。

血。

だが――止まらない。

足を運ぶ。

間を抜ける。

紙一重。

剣が、床に突き刺さる。

石が砕ける。

音が響く。

それでも。

正義は――崩れない。

最後の一本を、弾く。

静止。

「……なるほど」

髑髏の声。

わずかに。

興味。

「ただの人間では、ないか」

正義は、刀を下ろさない。

視線も、逸らさない。

「まだだろ」

低く返す。

沈黙。

張り詰める空気。

玉座の間。

二人だけ。

動かない。

だが――

次の一手で、すべてが変わる。


戦いのシーンって結構疲れますね(笑)

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