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助けて下さいっ!王女様が私の旦那様を狙ってくるんですっ!  作者: まるねこ


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「ハイル侯爵家主催のお茶会へようこそおいで下さいました。ゆったりとお過ごしください」


 侯爵家の中庭で始まったお茶会。


 少人数ということもあってとても和やかな雰囲気だ。今日は中庭にソファが置かれ、私たちはゆったりとくつろぎながらお茶を楽しむ形式のようだ。


「私、シシュカ・ベルロアと、言いますっ。本日は、お、お茶会にお招きありがとうございます! 伯爵夫人になって初めてのお茶会なので緊張して、ま、す」


 あわわと新参者の私は失礼のないように一生懸命挨拶をすると、他の夫人たちはふっと笑顔になり、挨拶を返してくれる。


「シシュカ様、はじめまして。私はナシェリア・ルアンドよ。よろしくね」

「私はモア・カインディッドですわ。いつもサラ様からお話を伺っておりますわ」

「ルアンド夫人、カインディッド夫人よろしくお願いします」


「モアでいいわよ。シシュカさんよろしくね」

「私もナシェリアって呼んで」

「ありがとうございますっ」


 挨拶は上手くいったみたい。


 今日のこのお茶会はハイル侯爵家が派閥の結束を強めるという名目で開かれている。ハイル家は第二王子を支持する派閥で、同じ派閥の年の近い夫人が呼ばれたようだ。サラ様は私のことを考えて少人数にしたのかもしれない。


 私は次期伯爵夫人だけど、こうした貴族の交流の場に参加して上流貴族に馴染んでいかなければいけないの。とはいっても友人のサラ様とお茶をするのが楽しみでもある。


 細身で緑の髪をしたナシェリア様は私と同じ伯爵家で、モア様はクリーム色の髪に茶色の目なの。彼女は公爵位だ。


 ナシェリア様もモア様も優しそうな雰囲気を持っていて話しやすそうだわ。


 ほっと一息ついたところで侯爵家の従者が淹れたお茶を口にすると――

 !?

 とっても美味しいわ!?

 あまりの美味しさに私は笑顔が零れた。


 それを見たサラ様たちはくすりと笑う。


「このお茶が気に入ってくれたようで嬉しいわ」

「サラ様、とっても美味しいです」

「このお茶は我が家が新たな特産品として売り出す予定の茶葉を使っているの」

「そうなんですか!? とっても美味しいです。商会で取り扱う日が決まればぜひ教えていただきたいわ」

「「私も」」

「みんなに気に入ってもらえて本当に良かったわ」


 サラ様はきっとこれが商品として受け入れられるかどうか知りたかったのね。


 この味ならみんな喜んで買ってくれると思うの。蜂蜜のような甘い香りが鼻腔をくすぐり、秋の落ち葉を舞う妖精のような心地よい味わいがする。


「そうそう、皆さまはリアーヌ王女様の話を知っていますか?」

「ええ、とても有名な方ですもの」


 モア様の言葉にサラ様が同意し、私たちも頷いてみせる。


「第三王女であらせられるのにレノーラ第一王女殿下や他の王子殿下たちを下僕扱いしているでしょう?」


 ナシェリア様はそう言いながらお茶を味わっている。


「我儘な王女様で有名よね。陛下が溺愛してなんでも与えているからああなってしまったんだわ」


 サラ様は関わりたくないわと言いたげな表情で話をする。これには私たちも同意するしかないわ。本当に我儘で有名だもの。


 年々拍車がかかり、最近は周りの貴族たちも王女に距離を取る人が増え始めている一方で、リアーヌ王女様の容姿に惚れ、傍にいる男性も多いようだ。


「でも半年後には隣国の第二王子のところに嫁ぐのでしょう? あと少しだわ」


 ナシェリア様はようやくだと言わんばかりの笑顔だ。


 実はリアーヌ王女が隣国へ嫁ぐことが決まるまでにも一悶着あった。


 リアーヌ王女の行いは日に日にエスカレートし、様々な場面で貴族に迷惑を掛けるまでとなり、陛下に進言する者まで出てきた。


 けれど、王女に甘い陛下もカイル第一王子も、リアーヌ王女を庇うばかりで被害に遭う者が増えていた。


 痺れを切らした貴族たちは側妃の子、シャル第二王子を王太子にするように進言したの。余談だけど、私たちはそのシャル第二王子の派閥にいるわ。


 リアーヌ王女をこれ以上庇うならシャル王子殿下を王太子にするか、リアーヌ王女を遠くへ嫁がせろってね。


 陛下は渋っていたけれど、貴族たちは声を上げ、王女の婚約についても各所から賛否を取り、ようやくリアーヌ王女を隣国マードルへ嫁がせることが決まったの。陛下も第一王子も最後まで渋っていたと伝え聞いたわ。


「それがね、リアーヌ王女様が見目麗しい男性を侍らせて王宮内を自慢するようにいつも歩いているのだけど、彼女はその男性たちを隣国に連れていくらしいわ」


 モア様は王族が開くお茶会によく参加しているため、その辺の事情は詳しいようだ。


「本当ですか? さすがに隣国は許さないんじゃないですか?」


 本当の話だとしたらリアーヌ王女はどれだけあばずれなの!?


 サラ様もその話を耳にしていたようだ。


「マードル国の第二王子は美しい方だけど、怖い方だとも聞いているわ。リアーヌ王女を利用するつもりで娶るのかもしれないわね」

「ほとんどの王侯貴族は政略結婚が当たり前だし、お互い割り切っているでしょうね」


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