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3話がおかしなことになっていたので修正しました。
「だからって愛妾を隣国へ連れていくのはちょっと、ね」
「陛下が許可させたのかしら」
「ありそうよね」
「でも侍らせている男性達ってほとんどが貴族の令息でしょう? 隣国に連れていくのは難しいんじゃないかしら」
「あら、最近は平民の男性も数人連れているっていう話ですわ」
「私の方でもリアーヌ様の良い話は聞こえてこないわね。最近、ある商会から男性を買っているんじゃないかというもっぱらの噂よ」
「ええっ!? 男性を買うの? それって人身売買じゃない」
ナシェリア様の話に私はついいつもの言葉遣いが出てしまった。やってしまった。
上品にしようと思っていたのに。
私の言葉を聞いて三人ともふっと笑った。
「シシュカ様、可愛いわ。ジルベール様が大事になさるのがわかるわ」
モア様の言葉に顔に熱が集まるのが分かる。
……恥ずかしい。
「そうですわ。この国では奴隷を買うのはもちろん、持ち込むのも禁止。人を売買する行為自体、重罪ですわね」
「あくまでも噂よ? でも、もし、それが本当なら王女は捕まるだろうし、捕まらないとなれば大騒ぎになることは間違いないわね。重大な犯罪を国王自ら許しているとなったら国はすぐに荒れるわ」
「そう、ですよね」
「ジルベール様は美男子ですからシシュカ様、気を付けていないといけませんわ。リアーヌ王女に見つかればどうなるやら……」
「でも、さすがに既婚者に手を出すことはないんじゃないかと」
私は急に心配になり、そう口にするけれど、三人とも渋い顔をしている。
「シシュカ様、甘いわ。砂糖よりも甘いわ。あのあばずれ王女様なのよ? これまで何人の令嬢達を脅して婚約破棄させたと思っていらっしゃるの」
「そうよ、モア様の言う通りだわ。リアーヌ王女には既婚も未婚も関係ないもの。今までは王家の力を盾に邪魔する者を脅すだけだったけれど、近頃はよからぬ商会と取引するようになり、暴力沙汰にもなっているという話よ」
「……暴力沙汰」
「私も聞いたわ。カイル第一王子殿下が王女の尻拭いをしているという話ですわね」
「でもあれは下位貴族だったからできた話でしょう?」
サラ様たちの会話を聞いて私はいつになく不安になった。
どうしよう。
リアーヌ王女がジルを好きになってしまったら。
私はジルと別れさせられてしまうの?
私は怖くなり、顔色が曇っていく。
「シシュカ様、きっと大丈夫よ。最近の王女様は敵を作りすぎて国王様も目を瞑れなくなってきているわ。それに伯爵以上の貴族に危害を加えでもしたら貴族院が動くことになると思うわ」
サラ様の口から語られた貴族院とは、国内の伯爵位以上の爵位を持つ者で構成されているものだ。
王家が国を動かし、独裁を防ぐために貴族院が監視役を担っている。もしも王家が、伯爵以上の貴族を無断で投獄した時や、平民を虐殺したりすることなどが起こった時に貴族院の貴族たちが集まり、大会議を開くこととなっている。
「王女様が隣国へ旅立つまでの間、何もないことを祈るしかない、ですね」
「そうね。でも、シシュカ様。もし、ジルベール様があのあばずれ王女の標的になった時は覚悟しておいた方がいいわ」
「覚悟、ですか」
「そうよ。止めさせるように陛下に言ってもらってもきっと無駄だもの」
「では泣き寝入りするしかないのですか?」
「貴族院に報告するのよ」
「貴族院に……?」
だが、今まで安定した政治が行われてきていたため、大会議が開かれたことはない。伯爵以上の爵位を持つ当主全てを呼び出し、会議を開く。
時間も手間も掛かり、どこまで機能するかはわからないのが実情なのよね。
「貴族院に王女殿下の行いを報告して、陛下を牽制しておけばいいの」
「そうよ。モア様の言う通りね。何かあったら一人で悩まず、他家に必ず相談するのよ? 私でもいいんだから。そしてすべてに必ず証拠が残るように行動するの」
「証拠が残るように……」
「陳情だけでは王家がうやむやにしてしまう可能性が高いの。だから証拠も一緒に提出するしかないわ」
「わかりました。もし、何かあれば皆様にご相談させてもらいますね」
そんなことは起こらないと思いたいけれど、ジルはとてもモテる人だし、用心しておいて損はないわよね。
私は悪い噂しか聞かない王女のことを考えると不安になるけれど、サラ様たちと話をしているうちに話せてよかったわ。
幾分前向きな気持ちで彼女たちとお茶会を楽しんだ。




