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渡された書類の一番上に一枚の手紙があった。手紙に押されている印を見て私は笑顔になる。
「サラ様からだわ!」
サラ様は学生の頃に知り合い、親友と呼べるほど仲良くさせてもらっているの。
彼女は元々カンザール伯爵家の令嬢だったけれど、今は結婚してハイル侯爵夫人として頑張っているわ。
私は先に書類に目を通す。領地にいるお義父様から届いた報告書だ。これをまとめて月に一度王宮へ提出するのが私の仕事になっている。
あとは領民からの陳述書ね。これは丁寧にまとめて改善策と、それに掛る費用を添えてお義父様に報告するの。
「さて、報告書もまとめ終わったし。サラ様の手紙を読もう! サラ様、元気にしているかしら?」
私は上機嫌で封を開け、マティの淹れたお茶を飲みながら手紙を読む。
「サラ様が今度お茶会をされるんですって。これは是非とも行かないとね。マティ、便箋を持ってきて」
「畏まりました」
ジルと結婚して上位貴族となってから、マナーの勉強が終わるまでお茶会を控えていたけれど、そろそろお茶会に参加してもいいわよね。
私はさらさらとマティが持ってきた手紙セットを受け取り、すぐに返事をする。
「マティ、今度サラ様のお茶会に参加することにしたわ。侯爵家に着ていっても恥ずかしくないドレスはあったかしら?」
「もちろん準備しております。薄いピンクや黄色のドレスがこの時期よさそうですね。クローゼットに沢山のドレスがありますのでこの後、ご覧になられますか?」
「そうね。仕事も終わったし、サロンで見てみるわ」
私は書類をエドに渡し、サロンへ向かった。
侍女たちがトルソーに掛けられたドレスを次々とサロンに運んでいる。今の季節に合ったドレスや装飾品が綺麗に並べられていった。
「どれがいいかしら……? 私も夫人になったんだからそろそろ落ち着いたドレスがいいと思うのよね」
「これなどどうですか? レースを最小限で上品なドレスだと思います」
「うーん。私はお義母様のような濃い色は似合うかしら」
私がそう言うと、従者たちの目は泳いでいる。ぐぬぬ。
「濃い色より淡い色の方が、シシュカ様のお人柄が出ると思いますよ。それに柔らかな雰囲気であれば他の夫人方への印象も良いものになるかと」
「そっか、そうよね。初めての方もいるから印象は良いのに越したことはないものね」
マティや他の侍女たちと楽しく話をしながらドレスや装飾品を選んでいった。
マティもそうだけど、伯爵家の侍女たちの美意識は高くて一生懸命私を輝かせるために頑張ってくれている。私はとても幸せ者だわ。




