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私の体調は日に日によくなり、また元の体形に戻ってきた。
お腹の子も順調でいつ生まれてもおかしくない状態まで来ているわ。実家に戻ってきてからの私は何不自由なく過ごせている。
隣の伯爵領からお忍びで義母もお見舞いにきてくれたの。私が生きているということはまだ伏せていたから。義母も大泣きして私の無事を喜んでくれたわ。
そして現在の王家の状況を聞かせてくれた。
リアーヌ王女が隣国へ向かったあと、臨時の貴族院の会議が開かれ、リアーヌ王女がしてきたことを話し合った。
奴隷売買や罪もない私を投獄し、殺して放置したこと。過去に王太子が揉み消してきた余罪も含めて改めて審議をする必要があるとなった。
リアーヌ王女のこれまでの行いを許していた陛下に国王は相応しくないと出席していた全貴族が一致し、国王を退位し、シャル王子と交代するように勧告し、陛下はそれを受け入れた。
陛下は当初勧告を受け入れるつもりはなかったみたいだけど、結果的に受け入れることになったみたい。
水面下でかなり激しい交渉があったらしい。
だって、リアーヌ王女がしたことは重罪だもの。
重罪を免れるために勧告を受け入れたとかどうとか。
そして陛下が一代限りという条件付きの公爵となった。次の国王はどうするか。
陛下は当初、貴族院の勧告を無視し、第一王子のカイル殿下を挙げていたらしい。けれど、カイル王子は凡庸で、陛下と同様にリアーヌ王女に甘い。
貴族院の貴族たちはもちろん反対し、第二王子のシャル殿下が国王になることが決まった。
シャル王子の母は子爵家出身で後ろ盾としては弱く、不安視されてはいたが、王子妃のメディーナ妃は爵位の高い公爵家なので問題ないとされ、シャル国王が誕生することになった。
シャル王子は聡明だからきっとこうなることを考えてメディーナ様と結婚したのだわ。
結局のところ、リアーヌ王女は王族籍を除籍され、平民となったが、陛下が公爵として住むという邸に一緒に住むことになるようだ。
当初、リアーヌ王女は修道院行きになっていたけれど、陛下が「リアーヌを邸から一切出さない。生涯幽閉する」と貴族院と約束し、修道院行きが無くなったの。
大甘な判決よね。
本当にそれは守られるのかは疑問ね。
ジルはというと、ずっと奴隷売買や過去の行いの証言や証拠など、決定的な物を集めるのに奔走していたらしい。
隣国との関係もなんとか悪いものにならずにすんだのもジルのおかげみたい。
ジルは帰国後、隣国との今後についての話し合いなど、王女のせいで問題が山積しているため、多忙なのだそう。
なんとか私の出産には間に合うように子爵家に向かうと伝えられたわ。
「シシュカ様、お茶を飲まれますか?」
「ええ、マティ。いつものをお願い」
義父に手紙を出した後、マティは義父の手紙と共に私の元に戻ってきてくれたの。
私はお茶を飲みながらゆっくりと過ごしている。
今日は父の手伝いをしようかしら?
それとも母と一緒に生まれてくる子供の服を作ってみようかしら?
なんて心穏やかに過ごしていると、玄関ホールで慌ただしく人々が行き来し、怒号が飛び交っている音がした。
「マティ、何かしら?」
「シシュカ様、この部屋から出ないようにお願いします。私が様子を見てきますので」
マティは私が捕えられたことがショックだったようでここに戻ってきて以来、常に周りを警戒するようになった。
「シシュカ様、どうやら一台の馬車が襲撃され、我が家に助けを求めてきたようです」
「襲撃……?」
「今、旦那様が対応しておられるのでシシュカ様はこのまま静かにお願いします」
「わかったわ」
マティは何かあってはいけないと思ったようで箒を手に持ち、扉の前でじっと立っている。
耳を澄まして扉の方向に意識を向けた。
しばらくすると一旦、静かになったが、また人の往来する音が聞こえてきた。
一体、何が起こっているのかしら。
不安で動くことができないでいると、扉がノックされた。
「シシュカ、私だ」
「お父様?」
父の声が聞こえ、マティは持っていた箒を下ろし、扉を開けた。
「シシュカ、話がある」
父はマティの姿を見て一瞬驚いた様子だったけれど、すぐに真剣な表情で私を見て言った。
「お父様、話って? さっき玄関ホールが騒がしいようだったけれど、あれと何か関係があるの?」
「それが……。シシュカ、落ちついて聞くんだ」
父の言葉に緊張が走った。
一体どういうこと?
まさか兄が狙われたの?
「お父様、襲撃されたのは……」
ごくりと唾を飲み込み、私は父の言葉を待った。
「襲撃されたのはジルベール君だ」




