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「うーん、手詰まりかしらねぇ……」


そう呟いた私の心を凪ぐように、ちゃぷんとティーカップに淹れた液体が揺れた。


集めた資料ひとつひとつに目を通しながら、少々冷めてしまったそれに口つける。

ほどよい苦味と、鼻に抜ける香ばしさ。

うちの助手ちゃんが淹れたものには劣るが、普通に美味い。

まさか転生先でコーヒーが飲めるとは思っていなかった。

ただこちらではかなりマイナーな飲み物らしい。「コーヒーってある?」と聞いた時のメイドの顔はなかなかに見ものだった。


「ふぅ……」


私がミレイユになってから、早くも一週間が経とうとていた。

その間、私は目下の問題である皇太子暗殺計画を阻止するため、メイドや王宮の使用人に対して様々な調査や聞き取りを行ってきた。

もちろん、エスティアナ家の人間やそのほかドルシェ様に近しい者に怪しまれない程度に、ではあるが。

その調査の過程で城下町に赴いたり、商人や記者を訪ねたりしたおかげで、人証とそして思わぬ収穫を得ることができた。

しかしパルシアとドルシェの不貞事実、および暗殺計画を立証するにはいまいち決定打に欠けるものばかり。相手は腐っても皇族と貴族である。いくら多くの証言を集めようと、物的証拠がなければ彼らは簡単にもみ消してしまうだろう。

なにか、なにか動かぬ証拠を見つける必要があるのである。


「まぁ仕方ない、か」


というわけで。

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