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解けた糸を、結び直す  作者: Kanon


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15/21

孤立の魔族、連携の勇者

 四天王三人が同時に動いた。ムラクが魔法陣を展開する。シュラは杖を地面に小突き、周りからアンデッドが湧く。ゼルガが地面を踏み砕いた。


「来るぞ!!」


 俺が叫ぶ。

 ゼルガが突っ込んでくる。一直線。圧倒的な質量。だがその前に――

 シオンの盾が地面に叩きつけられる。


「ここは通しません!!」


ゼルガの大剣が振り下ろされる。衝撃が爆発する。シオンの体が数歩後ろへ滑る。

 だが――止まる。


「マキア様!!」

「分かってる!!」


 俺はゼルガの横へ踏み込む。だが。


「甘い」


 背後から声。ムラクだった。黒い槍が首を目掛けて飛んでくる。その瞬間、風が走る。

 ムラクの魔法が弾かれる。


「背中は任せなさい」


 アネモネの風刃だった。ムラクが舌打ちする。


「魔法使いが厄介だな」


 その間にもシュラがアンデッドを召喚している。


「《死霊招来》」


 地面から無数の腕が伸びる。


「あいつらを足止めなさい」


 だが。光が広がる。


「《聖域展開》!」


 リナリアだった。アンデッドの腕が一瞬で崩れ落ちる。

 シュラが目を細める。


「聖女……」

「相性が悪かったようだな」


 リコリスが笑う。

 影が伸びる。シュラの魔法陣が乱れる。


「今です!!」


 シオンが叫ぶ。盾でゼルガを弾き上げる。巨体が浮く。


「いけ!!」


 俺は踏み込む。剣を振るう。だがゼルガは空中で体勢を戻す。大剣を振るう。

 刃がぶつかり、地面が割れる。力が重い。押し負ける。だが――


「一人じゃない!!」


 横から影の槍が叩き込まれる。リコリスだった。 ゼルガの体勢が崩れる。さらに――


「《エアロ・バースト》!」


 アネモネの風が爆発する。ゼルガが完全に浮いた。俺は笑う。


「悪いな」


 剣を振り上げる。


「これがパーティ戦だ」


 斬撃。ゼルガの鎧が砕ける。巨体が地面へ叩きつけられ、ゼルガが倒れる。

 ムラクが苦笑いをする。


「うそぉ……」


 シュラも頷く。


「個人戦なら絶対負けないのにぃ!!」

「連携の差が出ちゃったねぇ」


 俺は剣を構える。


「今更気づいたのか?」


 シオンが盾を構える。リコリスとアネモネが魔法を展開する。リナリアの光が強くなる。俺たちは並んだ。

 ムラクがため息をつく。


「やっぱりさ、パーティって面倒だよね」


 シュラが笑う。


「でも」


 魔力が膨れ上がる。


「それでもこっちももう引けないんだ」


 俺は剣を握る。


「なら連携の差ってやつを」


 剣を構える。


「最後まで教えてやるよ」


 次の瞬間、戦いが再び爆発した。

 ムラクの姿が消えた。


「また来るぞ!」


 俺が叫ぶ。その瞬間、背後に気配。だが――短剣が盾に弾かれた。


「もう見えてます」


 シオンだった。

 ムラクが驚いた顔をする。


「え、嘘!?これ初出しだよ!?」


 シオンが静かに言う。


「同じ動きしかしない策士なんて警戒するに決まっているでしょう。何を隠してるかわからないので」


 その瞬間。


「今よ」


 アネモネの魔法陣が光る。風が爆ぜる。


「《エアロ・ランス》」


 無数の風槍がムラクへ向けられる。ムラクが慌てて跳び退く。


「危なっ!?」


 だが着地した瞬間――地面の影が伸びた。

 リコリスだった。


「捕まえた」


 影がムラクの足を縛る。


「うわっ」


 動きが止まる。


「マキア様!!」


 シオンが叫ぶ。


「任せろ!!」


 俺は地面を蹴った。一瞬で距離を詰める。

 ムラクが焦る。


「ちょ、ちょっとまっ――」


 剣が振り下ろされる。

 ムラクが吹き飛び、地面を転がる。


「ぐっ……」


 立ち上がろうとした瞬間、光が落ちる。


「《聖槍》」


 リナリアの魔法だった。

 光の槍がムラクを貫いた。ムラクの体が崩れ落ちる。


「……まじかよ」


 そのまま動かなくなった。シュラの顔から笑みが消える。


「二人……」


 シュラの魔力が膨れ上がる。地面が震える。


「舐めないで」


 杖を叩きつける。

 地面が割れる。無数のアンデッドが這い出てくる。


「《死霊軍勢》」


 数が違う。数十、いや百はいる。


「もう巻き込みを考える必要はないの!!」


 アネモネが舌打ちする。


「多すぎ」


 だがリナリアが前に出る。


「大丈夫」


 両手を広げる。光が広がる。


「《聖域拡張》」


 光が地面を染める。アンデッドが次々と崩れていく。シュラが歯を食いしばる。


「……聖女」


 リコリスが笑う。


「終始相性が最悪だったな」


 アネモネが魔法陣を重ねる。


「終わりにしましょう」


 風が集まる。俺が剣を構える。

 シオンが前に出る。


「道を作ります」


 盾を構える。シュラが魔法を放つ。黒い槍。だが全部、盾が弾く。

 シオンが叫ぶ。


「今です!!」


 俺は走る。一直線。シュラが慌てて魔法陣を作る。だが遅い。影が腕を縛る。

 リコリスだった。


「止まれ」


 シュラの動きが止まる。その瞬間、風が吹き荒れる。


「《エアロ・バースト》!!」


 アネモネの魔法。シュラの体が浮く。そして――光が収束する。


「マキア!」


 リナリアが叫ぶ。

 俺は剣を振り上げる。


「終わりだ!!」


 シュラの体が地面に叩きつけられる。静寂が落ちた。動く者はいない。

 シオンが盾を下ろす。


「……終わりましたね」


 俺は息を吐いた。

 アネモネが肩を回す。


「疲れた」


 リコリスが笑う。


「あぁ、中々厄介だった」


 リナリアが小さく呟く。


「でも」


 城門を見る。


「ここからが本番」


 全員が視線を向ける。黒い城門。ゆっくりと――門が開き始めた。中は暗い。城の内部はほとんど光が届かず、奥へ続く長い石の通路だけがぼんやりと見えていた。

 俺は一歩踏み出す。瓦礫と血の匂いが残る城門前を越え、魔王城の中へ入る。

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