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ラクガガク  作者: 徳丸
第2章 宗教
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45.暖かな家庭

カツカツカツ・・・・。

ビル内を歩いて回る。


「ロロぢゃん・・・・・。」

「みんなどこ行っちゃったすか・・・???」

「・・・・・・。」


最上階のみならず、ビルに住んでいると思われる階層にも人っ子一人いない。

ニュースがあってからというもの、こんな状態では誰もかれも一目散に逃げたんだろう。


最上階から降りる形で、ロロ達は探索を行っている。

ゲート付近にいた大量の植物たちはあらかたみけが再起不能にまで追いやってくれたのだが、もちろん植物がうごめいているのはそこだけはない。

階段にも、壁にも。頑固汚れのようにへばりついている。


ロロの目というのは、植物をみけが倒してくれるごとに回復していった。


ただ、すべての植物が退治できたわけではないため、完ぺきではない。

まだ靄のかかった状態。細心の注意が必要だ、


「ちょっと気になることがあるから、そっちに行ってみてもいいかなあ(゜-゜)???」


2人の手を借り、階段を降りながらいう。


「いいっすけど・・・・。」

「???どーしたんだあ???」


蜂賀とおじちゃんはわが身が可愛くないのか??

本当に躊躇なく快諾してくれる2人にロロは少しウルッと来た。


蜂賀の肩は少し震えているし、おじちゃんの手は冷たくなっている。


こんな状態なのに・・・。なんでOKするんだろう??理解できないよ。

ぼくちんだったらどうしたかな。

もしかしたら、見捨てて行ったりするかもしれない??友達だからって付いていくっていう選択肢は、ちょっと選べないかも。


一緒に死地に赴いてくれない?って頼んでるようなものなんだけどなあ~。


「今降りている階段を、降り切ったところにある階層の一番奥の部屋に向かって欲しいんだあ。」


前しか見てない彼らには、ロロが少し嬉しそうな顔は見えていない。

みけには内緒にしてねって頼んだけど。



扉の前に到着する。


「ここに何があるっすか??」

「そおんなに被害があるようには、見えねえんだけれどお??」


壁や手すりには植物が付いている。

そこと比べると、この部屋・・・というよりもこの扉には目に見えての被害は感じられない。

破壊されているようにも見えないし、ただただそこに鎮座する何の変哲もないそれ。

ロロが連れてきたからか、見つめていると、その被害の少なさが逆に、不気味な気がした。


奥の部屋だからさ!と蜂賀とおいちゃんは自分に言い聞かせる。


「じゃあ、開けるねえ。」


手をドアノブに伸ばし、手前に引く。

キイー・・・・


中は真っ暗。

人の気配は感じられない。


「誰かいるう~・・・????」


先陣を切ってその空間に足を踏み入れるロロ。

バタン!!!

全員が入ったところで扉の閉まる音がした。


「ロロロロさあん・・・・。これやばいんじゃないっすか・・・??」

「く・・・空気が違うような気がするさねえ・・・??」


確かに・・・・少しひんやりしてる・・・???のかなあ~。

空気は違う気がするねえ~。

それにしても・・・・


「ごめんねえ。みけ。辛いだろうけどちょっと我慢してねえ。」


ここで何があったんだろう。


「2人もごめんねえ。目が見える人にとってはきついものを見せてしまうかもしれない。」


でも、色しか見えないぼくちんには、ちゃんと見える人の目が必要だ。何が起こっているのか知る必要がある。

・・・・本当に辛いものを見せてしまうかも。



ぼくちんの視界には、人殺しの比ではないほどのどぎつい赤。白もきつかったが、赤のほうが何倍もきつい。

既視感があるのは、今この体に流れているものと同じ色をしているからだろうか。




*********




玄関入ってすぐのところには、キッチン。

コンロには作りかけのカレーが置かれていた。


廊下でつながるように2つの扉が目に入る。1つは水回り。もう1つはリビングがあると予想される。


「・・・準備しといてねえ~。」


リビングにつながる扉に手をかけて、1度あふれ出てきた唾液を飲み込んだ。


「袖掴んでいいっすか・・・。」

「おらもええかえ・・・??」



ガチャ・・・・


扉が開いた。



「うおえっ・・・げえ」

「・・・・これは・・・。」



ピギギギギギ・・・・・

ギチギチ・・

キキキキ



「うう・・・・・。」

「ごめんねえ。みけ。ここだけは確認しないと。」


「うっぷ・・・・」

「一体どげんなことさしたら、こないになるんか・・・???」


ドアを開けたはいいものの、足を踏み入れることなく立ち尽くす一同。


「どんなんになってる~?・・・きついかもしれないけど、詳しく知りたいんだあ。」







なぜ自分がこんなところにいるのか。

出会って1日するかしないかくらいの人と、出会って半日もたたない人。

彼らのそばでいったい自分は何をしたというんだろう。


人生で1度も相まみえたことのない出来事を、どうやったら出会って1日くらいの人と見るという今につながるんだろう。

自分は不幸なのかもしれない。


でも・・・・・


「ごめんねえ。絶対に君たちを殺させたりはしないから。」


年下の子にこんなこと言われて恨むほど、逃げるほど、責任のない非情な大人になったつもりはない。


目を手で隠しながら、酸っぱい香りが口の中に広がりながら。つっかえながらも、目の前に広がる様相を伝えるべく、口を開いた。





リビングにあったのは1人の死体。

明らかに、この世にとどまれるような体をしていなかった。

体中に打撲と切り傷。そして血。

切り傷は自分の爪で付けられたもののように見えた。


ソファーにテレビに机。

部屋の片隅の壁には、子供が描いたと思われるいたずら書きがあった。

暖かな家庭だったんだろう。

人だったものが生前、精いっぱい守ってきたものの痕跡がとても痛い。



視覚が。

現実を否定したがっている。




散乱する様々なもの、ソファーが邪魔でドア付近からでは、その人の顔が見えなかった。


蜂賀は、胸の痛みと、喉のヒリつきを無視して一歩踏み出す。


「蜂賀君!?!?」


ロロの驚きの声が聞こえた。



・・・・亡くなったあの人が、残してくれたものを無駄にしないようにしないといけねえっす。

気持ち悪いとか、見たくないとか。

そんなくだらない理由であの人から目を背けることだけはしたくないっす。

今決めた。


なんでこんなことになっているのか。知らないとダメだ。




「・・・・・!!!!」


回り込んで、改めて見てみたその人は。その人の周りには。

お玉や、フライパン。包丁。


・・・・どれも血と、植物の葉や根がついている。



そうか。彼は自分の体を・・・・

彼・・・・???

いや、違う。彼女だ。



肩幅が大きく見えたし、髪も短かったため、彼と勘違いしていたが、この人の性別は男性ではない。胸に膨らみがある。


殴られすぎて、肩も腕も、顔も足もパンパンに膨れ上がり、髪の毛はハサミで切られていた。


そして何より・・・


「目が・・・・ないっす。首も・・・ないっす。」


力なくうなだれる頭。髪の間から覗くうなじには大きな穴が開いていた。




彼女を救おうとしたんだろう。

脇をぐるりと一周するように、青あざができていた。

痣の周りにはひっかいた跡がたくさん。


彼女を抑えつけていた人の腕も、こんなにたくさんの傷があったのでは、ぼろぼろになっているに違いない。
















遅れてすんません~。書け次第投稿しますー。

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