20.デジャブ
p‐`u´‐)ゞ゜デジャヴュ
「ただいまあ~(*´ω`)。今帰ったよお~。」
おやっさんのお店から道中ずっと気分がよかったロロである。ちょっとした宝物庫になりつつある我が家に帰ってからもその愉快な気分が無くなることはなかった。
洗面台で手を洗い、新たなコレクションを手に持って地下に向かう。
「おーい!帰ったぞお~!!パールくーん???」
『zzzzz・・・・。』
まあた、寝てるよ・・。お帰りくらい言ってくれればいいのにさ!!
・・・でもせっかく寝てるのに起こすのは悪いし・・・。
ていうかぼくちん何気昨日から寝てないし、パール君が寝てるのを見てなんか眠くなって・・・(˘ω˘)スャ・・・・。
ふがっ!!
いけない。いけない。このままでは瞼が開けなくなってしまう!
心地よさそうに眠るパール君に恨めしさが募る。ぼくちんの壮大な冒険譚くらい聞いてくれてもいいのにヽ(`Д´)ノ!!
まあ、怒っても快適な睡眠は訪れない。大切なのはすべてを包み込むような寛容な心だ。
睡眠不足の時に、ちょっとのことでピリピリしてしまうという自分の悪いところが出てしまったなあと反省し、階段脇にある植物で編んだ茣蓙と布団を引っ張ってくる。
そして、触れないけどなんとなく暖かさを感じるパールのそばに寝床を作り、ロロは速やかに体を横たえた。
流石のロロも深夜ドーピング状態ではあったものの、体は疲れ切っていたようで、3秒もしないうちにスーッと眠りに落ちていった。
ロロが眠りにつくと同時に覚醒したパールは、ロロのお腹に寄り添う三角耳のなにかに話しかける。
『おい。何勝手に引っ付いて来てんだ。』
「・・・・・プイ。」
『おめえはどこの者だ。この辺じゃねえな。近くだったら俺が気づく。』
「・・・・(視線を合わせない)」
『あ?なに聞こえねえ振りしてんだよ。わかってんだろ。ここじゃ俺が最古参だ。その俺に挨拶もできねえ奴がここに居られると思ってんのか?』
「・・・・・・前、あいつ、見た・・・から・・・付いて・・・ここに・・・。」
三角耳の生き物は、少し反抗的な態度で返答した。目は疑わし気にパールを観察する。
お返しにパールもその獣を観察するのだが・・・。
ふむ。まだ発現して1年ってとこだな。
羅劫同士で見えるオーラ、風格、濃度。パールは何百年も存在してきたためそれらを自在に操ることができる。薄く、浅く、広く、他の奴らに気づかれないように。
此奴俺に怯えてるな?つーことはしっかり見えてるわけだ。1年足らずで見えるもんなのか?最近他の奴らとつるんでねえからわからねえな・・・。
『お前、俺との格の違いは判ってるんだろうが、礼儀がなってねえ。俺はそういうやつが嫌いだね。気持ちで衝動的に行動しちゃう?みたいなあ?』
「ロロ・・・・、同じの・・呼ぶ・・・。何?」
『はあ?何言ってんのか分かんねえし、俺の話聞いてねえし。もっと分かりやすく言ってくんない??』
パールは言葉が通じない相手が苦手だ。それが赤ん坊であろうと大人であろうと関係ない。
お前ならまだ間に合う。そんな偽善的な気持ちが形を変え、強い言葉となって相手を傷つけてしまうからだ。
気持ちが先走り、衝動的に行動した結果、人の話を聞けなかったかつての自分を思い出す。
三角耳の生き物は毛を逆立てて、人間だったら地団太を踏んでいるだろう様子で言い返した。
「お前、あいつより、嫌い!!あいつは、わかる!!」
『あーあー。何にも聞こえねえ。なんでみんなあいつをロロっていうの?直接あいつに聞けばいいじゃねえか。あと、俺はお前じゃなくてパール。学習能力ねえな。少しは自分で考えろ。』
パールはそういって、毛を逆立てる生き物をなだめることなく眠りについてしまった。
俺は子守じゃねえ。勝手についてきてといて、無許可でここに居座れると思うなよ。大人げねえとは思うが。すぐに誰かが手を貸してくれるなんてそんな都合のいい世界じゃねえことを知れ。
*******
「目、開け。おい。・・・???ない???」
んん~。なんだよお~(´Д⊂ヽ。朝から元気だなあ~。なんかまだ体が重い気がする・・・。眠りから覚めてはいけないような気がする・・・(=_=)。
「おい!!」
「ハッ!!セプテンバー!!」
ロロは大きな声により急速に覚醒した。思わずセプテンバーとよくわからないことを叫んでしまったが特に意味はない。起き上がるのと同時に何かが転げ落ちたような気がした。
とりあえず立ち上がろうと布団に手を置くと何かモフモフしたものが触れる。
「はえΣ(・ω・ノ)ノ!!?」
驚いて視線を向けるとそこには銀色のもやもやしたもの。ロロが起き上がると同時に転げ落ち、元の体制に戻ろうと足をじたばたさせているようだ。
「毛!?」
「お・・・おい!戻す・・・・!!う・・・・!」
布団のしわに挟み込まれうまく身動きが取れないらしい。しゃべっていることは置いといて、ロロはとりあえず生き物のお腹を支えて姿勢を楽にさせた。そして、タコ帽子の代わりにアイマスク(より目仕様)をつけた。
ロロはお互いに落ち着いてきた時を見計らって対談を開始することにした。
1分ほどたつと獣も落ち着いてきたようだ。
「-------で。君は誰だろう・・・・人間じゃないのはもちろんわかるよ?あと、普通の獣でもないねえ。この世界にいる獣は保護センターからほとんど抜け出せないはずだし・・・。」
「あ・・・・・の。その・・・・・。」
「????」
なんかデジャブを感じるような・・・。
ロロはあごに指をあて首をかしげる。
そんなに昔じゃないな・・・。そう。宿屋で出会ったあの不思議な少年もこんな感じで・・・Σ(゜□゜;)ハッ!!!
「君、もしかしなくてもあの宿屋であった少年か!あれ。君この辺の子?」
「そ・・・そう!!お前・・・あいつより嫌いでないぞ!!」
おどおどしていた様子から、パッと嬉しそうな雰囲気になる。そういえばあの宿の時も「待つ。」というしっかりとした意思が伝えられたときは嬉しそうにしてたなあと思い出す。
「ん~と。まあそこはどうでもいいかあ。なんでここにいるのか。だけど・・・・。」
「ここ。居る。」
「ん?」
「ここ。居る。決めた。」
「( ,,`・ω・´)ンンン?」
おやおやおや?なんか話通じてないかな?どうしてここにいるのか聞いたんだけど・・・。
「おまえ、初めて。見たの。」
「( ,,`・ω・´)ンンン?ごめんねえ。もう少し詳しく・・・・。」
ロロに話が伝わっていないと気づくと、だんだん声色が悲しそうになってきた。理解したいとは思うものの、話が繋がらな過ぎてどうしようもできないロロ。両者があたふたしてきたとき、静観していたはずのパールから助け舟が出された。
『そいつが言ってんのは、初めて自分を見たのがお前だってこと。今まで誰も自分を見てくれていなかったのにってことだろ。』
獣は驚いたようにパールを見る。そしてロロを見て「そう」といった。
「ええ!そうなの(。´・ω・)?ん?人から見られない?姿も変化してるし・・・。ええっと。そういう生き物ってぼく1つしか知らないようなあ~??」
『そいつは俺とおんなじ羅劫だ。ただ、俺みたく何百年も年を重ねたわけじゃなくて、ここ1年で発現したみてえだけどな。』
やっぱりかと、自分の想像と一致したことにひとまず納得する。
あんな真夜中に一人で歩かせる親はいないからなあ。1年間誰にも気づかれないということはそんなに人里離れたところにいたのだろうか。いや、宿屋周辺でウロチョロしててもなお気づかれなかったとも考えられる。
「え~こんなところ居て大丈夫なの?パール君みたいに自分の縄張りあったんじゃない(゜Д゜;)???」
大体の羅劫は人里離れたところにいると聞く。ロロはパールに聞いて知ったのだが、羅劫は自分の縄張りを持っており、そこで存在するための力をゆっくりではあるが蓄えているのだそうだ。
「へーき。ここはキラキラ。お前キラキラ。綺麗!」
今度はちゃんと話が通じた!と嬉しくなったらしく、饒舌に大丈夫だということを伝えてくる。キラキラ・・・???そういえばこの獣の輝きもどこかで・・・。
「ああああああああ!!!!君橋の上で見たギラギラ君か!!!近寄ったらいなくなってたからつい忘れちゃってたよ(*´Д`*)ごめんねえ~。」
宿の時はトイレに全集中してたから気づかなかったよ。そういえばあのギラギラと全く一緒だ。なんで気づかなかったんだろう。ただなあ。ここに住むのは別にいいけど・・・。
「ぼくちんはいいけど、パール君との兼ね合いかな(-ω-;)。パール君はぼくちんの・・・その・・・だ・・・第二の家族みたいな・・・だから、もし揉めたりするのであればここにいることを認めるわけにはいかないかな。」
**********
ロロはこの世界で、1人で暮らしていた時のつらさと、1人じゃないことの暖かさを知った。パルルンやジェリーだけでなく、たくさんの人がロロに暖かさを分けてくれた。
だが、その中でもパール君は特別なのだ。
第2の家族といっても過言ではないくらい、つらい時期を支えてくれた。
「もし、揉めたりするのであればここにいることを認めるわけにはいかないかな。」
優しく、けれどしっかりと拒絶の言葉を口にする。
ロロが獣にそういうと、獣はビクッと肩を震わせた。
その様子にピンときたロロはパールに目配せをした。
『おらあ、そいつに礼儀は学べって言っただけさ。無断で家に上がり込むのは誰であろうと許しちゃいけねえことだからな。』
「・・・・・。揉めた・・・。」
パールがやんわりと揉めてないとカバーしていたが、獣は正直に揉めてしまったと白状した。ロロの出した条件すら破ってしまったから、ここにいることはできないのだと目に涙がにじむ。
無理やりついてきてここに住ませて欲しいということが、どういうことなのか。パールに言われ、獣は昼頃まで考えた。
自分が寄り添う人間と、その人間に気づかれないように薄く、広大な範囲を自分の力で支配する自分と同じもの。
その支配はちょっとやそっとのことでできることではなくて。深く、暖かい何か。自分にはないもの。
ポッと出の自分にそれを分けろというのはどれだけ浅はかで、愚かなことなのか。
礼儀がなっていないとはどういうことなのかを獣はこの短期間で理解し始めていた。
「・・・・礼儀ぃ・・・。」
「あああああ!泣かないでえ:(;゛゜''ω゜''):!!!その、正直に言うのはすごいことだし、きっと君は純粋な子なんだろうと思うし、幸せは願ってるんだけど!やっぱ大事なものを大事にできなくなるのがぼくちんは怖いのであって、君が嫌いというわけでもなくて・・・!!!」
泣き出してしまいそうな獣の気持ちと、ロロの譲れない信条がどうしても重ならない。
『おいおい。なんだよその面は。お前ら勝手に盛り上がってんじゃねえよ。誰も何もすんじゃいけねえとは言ってねえだろうがよ。礼儀学んだら住んでいいっつってんの。ていうか、お前万全な状態で自分の縄張りから出てきたわけじゃねえだろ。そのままだぞ消えるぞ。しばらくここにいていいからこの世界の礼儀を学べ。あと、住まわせてもらうんだ。その礼はせにゃダメだろ。』
様子を見てじれじれしていたパールはこの空気を作ってしまったことに少しだけ責任を感じていた。ただし、一番の年長者が未熟者を責めるような形にしてしまったことへの責任で、自分が獣に伝えたことに対する責任を負う気はなかった。
少しの罪悪感から早口になってしまっていたが、その言葉の暖かさにロロと獣は目を合わせた。
そしてロロは笑顔を浮かべる。
「だって~(*´ω`)。ちゃんと礼儀学べる??」
「あ・・・・ああ!!」
「ああ!!じゃなくてこういうときは”分かった”って言うんだよ。後、言う相手はぼくちんじゃないかなあ。」
目を輝かせて返事をする獣にさっそく言葉の指導を入れ、顔をパールのほうにむける。獣はその意図を理解し、パールに近づいた。
「お・・・お邪魔しない。で、ここ居る。頼む。頑張る。」
ちらりと獣を見つめたパールは改めて自己紹介を行った。
『パールだ。そう呼べ。あと、そういうときは”ありがとう”って言うんだぜ。』
「・・・・・ありがとう。」
こうしてロロの洞窟、もとい、家にもう一人?住人が増えたのであった。
ぼちぼち1章が終わっぞ!
それにあたって、より、キャラクターの個性を知ってもらう為に!第0章を不定期に追加して行くよ( ^ω^ )
ロロたちが高等部に入ってからの描かれていない約6ヶ月間を楽しんで欲しいぞー。




