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ラクガガク  作者: 徳丸
第1章 羅劫(らこう)
20/57

18.三十六計逃げるに如かず!!

トイレ。誰もが利用し、ついつい汚してしまう最悪な空間。そんな空間がロロの手によって素晴らしい空間に生まれ変わっていた。


なんということでしょう。


用を足しながら上を向くと天井近くの壁に空いた小窓から差し込む光によってたくさんの花が浮かび上がってくるではありませんか。


これは光が差し込まないと浮かび上がってはこない技法を用いているため、トイレに来た人の1部しか気が付くことができないでしょう。

さらに、壁はもともとのレンガを生かした細密な彫り物になっているため汚そう、触ろうと思うことはないでしょう。



最後に床。足の踏み場以外には幸せそうに寝転ぶ、三角耳と尻尾を持つかわいい生き物が。

これは踏めない。外せない。そんな空間が出来上がっています。



天井、彫り物は少々煩雑になってしまったロロだが、生き物はとても時間をかけて描き上げた。



作業の途中で来た子供は本当に大人しくロロの背後でじっと作業を見つめていた。

唯一動物を描き始めたとき、ロロの服を引っ張って、生き物を指さし、「ん。」と問いかけてきたが、


「あ~それはね、猫っていう生き物だよ~( ´∀` )。にゃんにゃんって鳴くんだよ~。」

「・・・・???見たない。」

「あ、見たことないってこと?そりゃ、本の中にしかいないからねえ(*´ω`)。昔はいたらしいけど。」


それくらいだ。


その子は猫一匹一匹を興味深げに観察していた。




こんなにかわいい生き物が寝っ転がってたら汚せないよねえ(ΦωΦ)。ふふふふふ・・・・。誰か来たところに反応が気になるぜえ・・・!!!


幼子おさなごよ。君を第一補佐官に任命する!丁重に実験体を観測し、愚笑するのだ!!あ、ぼくちんと一緒に観察しようねえ(`・ω・´)ゞ。」


ロロは20時からほぼぶっ続けで絵を描き続けていた。完成したのは朝の6時。もうスーパーハイテンションである。

深夜テンションを通り越したロロは相手が幼いとか知り合いかどうかとか関係なかった。

もう何でもできる誰も自分に指図することはできないという高揚感に支配されていた。



しかしなぜだろうか、幼子は無理やり付き合わされているにも関わらず、しっかり任務をこなそうと意気込んでいるみたいだ。


「お、来た来た('v')ニヤリ・・。さあ、どんな反応をするのか見ものだぜえ~。」

「ん!」


第一発見者がトイレのほうに向かっていく。ロロたちはトイレから一番近い通路の角に顔だけ出して様子を確認する。

ちなみにトイレは入って曲がって曲がったところにあるため見えないようになっている。


「あ”--。今日も朝から仕事かよ・・・。つらいねえ・・・。しかもこの汚い便所が今日の始まりってのが最悪だぜ・・・。」


彼はどうやら仕事へのうっぷんをため込んでいるらしい。


大分溜まっているんだなあ。ロロは大人のつらい部分を見なかったことにした。


「うおっ!!!何じゃこりゃ!?」


どうやらターゲットは中の様子に気が付いたらしい。思わず口元に笑みが浮かぶ( ´艸`)。


「踏むところがありゃしねえじゃねえか。おちおち用も足せねえよ・・・。」







・・・・・あれ??思ってた反応と違うなあ・・・( ゜д゜)。もっとこう・・・すげええ!!!これからはもっと清潔に使うぜ!!ってなると思ったんだけど・・・・。



・・・・・あれ?ていうかそもそも、ぼくちんおかみさんに許可取ってないや・・・ハハッ( ´∀` )。


壁・・・削っちゃった・・・。


もしかしなくてもこれ・・・ぼくちんやっちゃいました?またオレ何かやっちゃいました系主人公になっちゃう・・・・((((;゜Д゜))))!?!?!?




「ねえ・・・幼子よ・・。ぼくちんいけないことしちゃったかなあ(llФwФ`)」


ロロは情けなくも自分より1周りも小さい子供に救いを求めた。子供は純粋無垢な目で、こんな時ばかりロロの目から視線を離さない。ロロの心の中はいよいよこれはやばいのではとなっていた。


「に・・・逃げよう・・・。ほらこっちきて!!!」


やっちゃったものはしょうがない。そしてお金もない。賠償請求とかされたらたまったもんではない。

幼子の手を取り、ロロはまとめてあった荷物を鷲掴みにして宿屋を出る。



ご・・・ごめんおかみさん・・・・。悪気は・・・・あったけど・・・善意もあったから許して欲しいんだ!!!


「少年よ・・・。ぼくちんはたった今追われる身となってしまったんだ(´ー`A;) アセアセ。君を親御さんの元に届けるほどの余裕もなくなってしまった・・・。元居た場所には自分で戻れる???」


少年はロロと繋がっている自分の手を見つめていた。しかし、ロロの問いかけは聞こえていたらしく頷きを返した。


「不甲斐ないお兄さんでごめんねえ。ぼくちんたちはここでお別れみたい。何か困ったらビルの中にいる人に聞けばいろいろ教えてくれるから・・・ヾ(・ω・`;)ノ。」


罪悪感はあったがロロはもうすぐ追手が放たれると思っているため自分の身が可愛かった。

最後の情けをかけるようにビルの中の人に助けを求めてねと遺言を残してロロは走ってビルに向かった。




少年は宿から少し離れた場所にポツンと置いてかれてしまった。ロロとつないでいた自分の掌を見つめながら。





******





「おちおち用も足せねえじゃねえか・・・。綺麗すぎて!!おかみさん粋な計らいだぜ♪今日は何かいいことありそうだな!!」



青年はおかみさんにお礼を言って今日の仕事へ向かった。おかみさんは何のことかわからなかったが、トイレを見て先ほどの青年が何を言っていたのかを理解した。

臭いトイレが見違えるようにきれいになっており、床に広がる赤い草原で戯れる生き物に心すらも洗われるようだ、と後に宿泊するお客に言っていた。



「そういえば、あの掃除してくれた少年がやってくれたんだとは思うけど宿から出ていくところ見てないねえ。こりゃこっちからお金を払わなきゃならないくらいだってのに。」




この宿の名物は個人で所有するトイレである。




トイレの話に結構かかってしまった(o´-ω-o)

あと、またオレ何かやっちゃいました系主人公を非難してるわけではありません。ご理解、ご了承ください。

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