13.奇特な縁
この部分はあとから付け足した部分なので、長くなってます!
「ここじゃない・・・・(-ω-;)。あっちかなあ・・・・・。」
ロロには気になることがあった。
ヘリコプターで上空から建物を見たとき、周囲のある1部に違和感を覚え、その色にみんなの話が頭に入ってこなかったのである。
ロロは思い出す。
衝撃音が響いたとき、確かにロロの視界は真っ赤であった。それは2等兵がいた頃も変わらない。
しかし、いつの間にか視界は真っ赤ではなくなっていた。そして、その原因と思われるのは柳田3尉。彼女が来た頃には完璧に消えていた。
ロロはそれが柳田3尉が敵を捕獲したのだと思っていたのだが、そういうそぶりはなかった。
「きっとまだ・・・。ぼくちんたちがヘリコプターに乗ってた時はまだ、この場に敵は居たんだ・・・。」
ロロの視界が真っ赤じゃなくなったのは、敵がいなくなったからではない。
「中庭に赤があったんだ・・・。」
柳田3尉の色が強すぎたからだ。彼女はどれだけの強さを身に着けているのだろう。ロロの見渡す限り全ての範囲を自分の力で支配できるなんて・・・。
今までそんな人見たことがない。世界は広いなあ思わされる。
そんな彼女の被害にあわないようにひっそりと、中庭に生存する赤を、ロロはヘリの上から確認していた。
最悪なことに、
「油留木さんの色もあったんだ・・・・。」
見たことのある色をも巻き込んで。
「もう・・・。ないなよあ・・(-ω-;)。結構探しても赤一つ見えないや・・・」
赤に紛れて消えそうな、紫陽花色が確かにあったはずなのに。
まあ、普通に考えたらもう逃げられたのだと思う。それはそうだ。もう襲撃から4時間以上経過している。
「仲良くないからって、さすがに見過ごせないよねえ~。」
学校の授業と言い、先生の事と言い、最近は何から何まできな臭さがぬぐえないことだらけであった。最悪な10月である。
ぼくちんも気になるからってここに戻ってきちゃったけど、これ以上首は突っ込まないほうがいいのかなあ~。
「せめて欠片だけでもって思ったんだけど・・・」
まだ、何の情報も入っていない。それに子供一人にできることは限られている。
ロロもそれは理解している。
だが、
唇をかむ。
ヘリに乗っているときに言えばよかったのだろうか。
まだ中庭に敵がいると。
そしておそらく生徒もいると。
ヘリにいるクラスメイトを、助かる命をロロが一人ですべて背負えるかを考えたら、ロロには言うことができなかった。
なにより、ロロの友人たちを巻き込めなかった。
もし見えた色がパルルンやジェリーだったら、一目散に飛び出していただろう。むしろ彼らでなくてよかったとさえ心の中では思っていた。
自分の浅ましさと、無力さと。少しでも彼女への贖罪になればと思ってもう一度来ては見たが。
「おい。」
自分の行動を見つめ直していたロロの背後から声がかかる。
敵か!?
近づいてきていたことに全然気づかなかった。
「だ・・・・誰!?」
後ろを振り返る。
忘れたくても忘れられないような色が視界に入る。今日初めて会って、初めて見たが、目に焼き付いて離れない空色。彼女の能力に違わない色だ。
「その帽子は・・・・今日救助した現場にいた子だな・・・???何をしている??」
ロロの背後に立つのは、柳田3尉その人だった。
************
「何をしている??」
柳田3尉のその言葉にロロは少し考える。
正直、目の事を言っても信じてもらえないだろうし、信じてもらえたとしても、もう遅い時間だ。捜査は難しいだろう。何より、ここまできて、頭に上っていた血が下がり、自分がかなり危険なことをしていたことを感じ始めてきた。
ロロは今回の事件はプロに任せたほうが良いという結論を出す。
「あ~(o´・ω・)´-ω-)ペコリ。今日はお世話になりました~。今のところ・・・特に何もしてないですねえ~。」
「・・・・・・・・。」
柳田3尉、思わぬ返答に言葉が出ない。
3尉と知っていて、このような軽い感じで返されるのはあまりないことだが、まあ良しとしよう。
しかし、この状況で何もないことはないだろうと彼女は思った。
わざわざ自分の身が危険にさらされた場所に、1人で帰ってくるとかありえないだろうと。しかも当日中に。
「・・・・ここで何をしていたんだ?」
3尉はとりあえずもう一度聞いてみる。
「・・・・強いて言うなら・・・確認・・・ですかねえ~(・ω・`)」
確認??被害の大きさをか??
「何のだ?」
「・・・・・・見間違いじゃないかどうか???」
結構ずいずい来る人だなあ・・・('ェ';)。事故現場をついつい見に行ってしまった野次馬のような気まずさがあるからあまり追及して欲しくないんだけど・・・・。
まあ、怪しむよねえ(=`ェ´=;)
きっとこの子が犯人なのでは!?とか思ってるのかもなあ。ぼくちんのクラスだけしかいなかったみたいだし。
「なるほど・・・・・?君は犯人ではないのだよな?たまにいるのだよ。自分のやった犯行現場を、改めて達成感というか、愉悦感を感じたいがために見に来る輩が。」
ほらやっぱり。
「違いますよ~o((´ω゜llo))。確かにぼくちんのこと、ぼくちんでさえ他人から見たら怪しまれてもしょうがないと思うけど、ちょっと気になることがあってえ~( ;-`д´-)」
多少の・・・否、かなりの違和感はどうしてもぬぐえ切れないが、まだうら若き少年。彼にこのような被害が出せるような力があるとは思えない。
彼の帽子の表情の豊かさも犯人ではないなと思う1つの要因であるが。
「本当に何もないんだな??君の返答はそれでいいんだな??」
彼女は再度軽く圧をかけ、最後の確認を行う。犯行を行った人であればある程度効く方法だ。
ロロはその圧に、思わず身震いするが、本当に何も見つけられなかったので話せることはない。話せることは全て予想のみ。
「はい~(・ω・*)。自分の勘違いだったのかなあとも思い始めてきた次第で・・・。」
これは違うな。最後の確認への態度が犯行を行ったもののそれではない。
彼女の中でロロへの”犯人である”という疑いは全て消えた。
「ふむ。そうか。疑って悪かったな。子供とはいえさすがに怪しかったのでな。あと、いろいろ聞きたいことがある。」
柳田3尉は先ほどかけてきた圧を解き、肩を落とす。全くどうしてくれようか、と腕を組み両目を閉じて、少しの間考え事をする。
考えがまとまったのか、柳田3尉は腕を腰に当て、片目でロロの顔をみた。
「聞きたいことはある・・・のだが、少年。まず君のような年齢のものがここにいるのはふさわしくない。手前が国軍であるという責任をもってして君を家まで送っていこう。」
本来であれば、手前の仕事ではないが、致し方あるまい。国民の安全を守るのも手前の基本的な任務だ。3尉はぶつぶつ小さな声で言いながら、手招きしてロロに付いてくるよう合図した。
校舎があった場所は都市の近くではない。ロロの家はゲートを使っても1時間登校に時間がかかる場所にある。その申し出はとてもありがたいものだった。
「車がある。それに乗って行け。」
ただロロ的にはお偉いさんの車に乗って帰るという、気まずい修行を行うよりは、一人で1時間かけて帰りたいと思うのだ。
**********
「で、君はなぜあそこに行こうと思ったんだ?」
何をしているのかの返答は聞いたが、なぜ行こうと思ったのかは聞いていない。
3尉は横目でちらっと助手席に座るロロ見て、質問を投げかける。
「いやあ~。その~(´・Д・`o)。なんというか、信じられないとは思いますが~。」
なんていえばいいのかなあ~(-σд´-)。皆には見えてないかったみたいですけど、ぼくちんには見えたんです!!って言う?生意気かってならん??
実際に見える小さい子が、お母さんに構って欲しくて「あそこにおじちゃんいる~」みたいな発言をしているって思われん??
うじうじした様子のロロを見かねて3尉は眉を顰める。
「構わん。言え。」
「ん~と。中庭に・・・」
あ、そう?きっと信じられないよ?そこまで言うんだったらいうけど。
「ぼくちんのクラスメイトがいた気がして・・・。敵も一緒にその子と居た気がして、見間違いじゃないかなあと思って見に来たんです。」
流石の彼女も結構な内容に驚きを隠せない。
敵を見た!?上空のヘリのレーダーには敵の影と思われるものは映っていないと報告されていた。肉眼で見ても同様だったそうだ。
彼らが嘘をついている?否、それはあり得ない。
そもそも彼女がサッと確認したとき救助者以外に人の気配を感じ取ることはできなかった。
彼の言うことが本当なのか、判断しかねるな・・・。
「見たというが、手前にも上空に待機していた隊員にもその影は確認されていない。それは事実か?」
「・・・・それを確認しに来たんですう~(。-´ェ`-)」
「そうか・・・。」
やっぱり信じられないよなあ。自分よりも1周り以上年下の奴が、自分には見えなかった犯人の姿を見た。なんて言うのは。
「柳田3尉も異変がなかったって言うんでしたら、やっぱりぼくちんの気のせいかも。あの時は気が動転してたし・・・。」
「そうか・・・・。」
「それはそうと、柳田3尉はなぜあの場所に居たんですか??」
「そうか・・・・。」
ロロが話しかけているのに同じ言葉しか返ってこなくなってしまった。よほどロロの言葉に惑わされているようだ。
車の運転中にそれはまずいと思い、少し大きな声で呼びかけを行う。
「柳田3尉!!!」
「な・・・なんだ!?」
肩を震わせ、目を見開く。ただでさえ勤務時間外であろうに、頭痛の種を増やしてしまったようだ。
ロロは申し訳なくなってきて、体を縮こませて3尉に言う。
「大丈夫ですか~(;´゜д)?ぼくちんの言ったことあんまり気にしないでくださいねえ~。確証があるわけでも何でもないんで~。」
「ああ・・・。いや、君の言っていることで悩んでいるわけじゃない。君が気にすることはない。」
3尉はひそめていた眉を八の字にして、少し困ったような表情を浮かべる。
「だが、少し手前の脳内整理に付き合って欲しい。」
「できることがあるとは思えないけど~( ´゜д゜)。」
「聞いてくれるだけでいいのだ。君も気づくことがあったら言ってくれ。君もどうやら手前と同様に整理ができていないようだからな。」
**********
「被害を見た限り、建物が破壊されたのは1回の攻撃によるものだ。」
1回・・・・。警報が鳴っていたが・・・??
「2回じゃないんですか?」
「ああ。手前もそう思ったんだがな。1回のインパクトによる跡しか見つけられなかった。」
「え・・・でも警報があった!!・・・と思うんですけど??」
そんなわけはないと、ロロは身を乗り出す。
「ああ。その警報で軍の方に救援信号が届いたからな。」
「ど・・・どういうこと!?・・ですか??」
「まあ、手前も疑問に思うところだ。」
彼女の観察眼を持ってしても事件の全容が見えてこないだなんて・・・。
一旦落ち着こうと、ロロは背もたれに体を預ける。
確かに警報は鳴っていた。柳田3尉によれば警報が鳴るのは誰かによってボタンが押されるか、校舎に取り付けられている安全装置がなんらかの損傷を受けた時だそうだ。
安全装置は勝手に押されないように壁の中に埋まっているため、こちらで警報が発動された場合は衝撃が2回無ければ理論上状態の説明ができない。
となると、あり得るのは,人為的にボタンが押された、ということになる。
「手前も何かおかしいと思い、もう一度自分の目で確認するためにあの現場に行っていたのだ。しかし・・・見つけたのは君だけだったな。まあ、存外良い拾い物かもしれんがな。」
ニヒルに笑ってみせた柳田3尉。
「え〜そんなこと・・・有りますねえ( ̄▽ ̄)。少なくともぼくちんは家に早く帰れるので、見つけてくれて良かったと思ってますよお〜。」
人間味がないと思っていたが、なかなか、どうして、気が合いそうだ。
ロロもいつも通りに笑ってみせた。
「そうかそうか。ハハッ。君は肝っ玉が座りすぎてるな。よろしい。ナヨナヨしてる子が多いと思っていたんだ。それくらいが丁度いいさ。」
「どうも〜ヽ(´▽`)/。柳田3尉も、すごくいい人だと思うよ〜!!」
2人の間に流れる空気は、友人と話している時のような気軽さが感じられた。
その後も柳田3尉の状況整理が続く。
彼女はロロがみた敵はあながち間違えじゃないと考えていた。彼女自身が発見することは叶わなかったが、それでも軍が到着するまでの間に逃走するのはなかなか難しい。
現場に居たからこそ、敵の影が見えたとしても何ら不思議ではない。
ただし、彼女がいる場でバレずに身を隠せる。それは並大抵のものができることではない。
羅持ちで間違いないとのことだ。
そこで気になるのが何人による犯行なのか。
少なくとも1人は校舎を破壊するために居たとして、単独犯なのか、複数人による犯行なのか・・・。
彼女は最低でも2人だという。
姿を隠すための人、破壊する人。逃走経路を確保する為に、羅持ちでない仲間が協力している可能性は十二分にある。
ここでロロは少し思い当たる節があった。
「多分ですけど・・・。最低でも3人いると思います。電話が使えなかったんです。それに、警報が鳴ったとき、放送を入れてくれてた人の声も途中で聞こえなくなっちゃったし・・・(゜ω゜)。」
「な・・・そ、それは本当か!?・・・一体どれだけの力を有しているんだ・・・。これからどうなるのか、先行きが不安だな。上に伝えておこう。」
それに放送を入れてくれた人は大丈夫なのか。
大丈夫であるはずがないな・・・。後日の調査できっと誰だったのか、明らかになるだろう。
ロロはその人について考えるのはやめた。
何となく、虚しくなって窓の外を眺める。何の変哲もない曇り空。走っても走っても変わらない風景とは、なんとまあ、つまらないものよ。
「正直君は、今回の件について深く首を突っ込みすぎている。」
窓の外を眺めるロロの虚しさを知ってか知らずか。柳田3尉は躊躇なく伝える。
それはロロも感じていたところで。
改めて言われると愚かさが今にも自分の首に手をかけようとしている気がして、ぞっとした。
「どんな敵も、自分たちの事を察知したものは消しにかかるだろう。今回は恐らく大丈夫だとは思うが…今度からは気をつけなさい。」
「はい・・・。そうします・・・(-д-。`)。」
「まあ、手前も君も敵ではない。命があることに感謝しよう。さあ、到着したぞ。」
沈んでいるうちに東京・港区ビルの近くの橋に到着したらしい。気づかなかった。
「あ、すみません。お手数おかけしました~(-x-〃) 。ほんとに今日はお世話になりまして。」
「構わん。任務であるからな。」
っていうか、改めて考えるとすごいシチュエーションだよなあ。これも不幸中の幸いってやつなのかなあ。
ロロはの心は最後の最後まで複雑であった。
再度、柳田3尉にお辞儀をして車とは反対方向に体を向ける。さあ!帰ろう!と足を踏み出そうとしたとき、背後から声がかかった。
「おい。君、そういえば名前を聞いていなかったな。なんて言うんだ。」
後ろを振り返ると、柳田3尉は、何やらごそごそハンドルの下あたりを探っていた。
ああ、そういえば名乗ってなかったなあ~。
「法幢 ロロって言います。」
「そうか。法幢 ロロ な。覚えておこう。これも何かの縁だ。」
探し物が見つかったのか、ごそごそするのをやめた柳田3尉は助手席に移動し、ドアのすぐそばにいたロロに手にしたものを渡す。
「柳田 千登勢だ。この名刺には仕事用のメールアドレスと番号が書かれている。何かあったら連絡しなさい。」
彼女はロロがその名刺を受け取るのを見るとすぐに助手席のドアを閉め、左手をサッとふり、来た道を戻っていった。
何ともスマートな大人だなあ~(*´ェ`*)。
なんだかんだようやくロロは家にたどり着くことができたのだった。




