↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/15

希望


 俺たちが持ち帰った魔石は、なかなかのものだった。

 提出した側から、周囲がざわめいたほどに。

 それから数日が経って、試験結果が発表された。

 成績上位者百名からなるナンバーズ。

 俺はその端のほうに引っかかる形で、名を連ねていた。

 かねてからの目標は、見事に達成されたのだった。


「――ふーん。そんなことがあったんだ」

「あぁ、ちょっとしたハプニングがあったけど。なんとかなったよ」


 トレーニングルームにて。

 真っ白な空間から、昔懐かしい道場へと姿を変えた中で。

 俺たちは身体をほぐすように準備体操を行っていた。


「いまじゃ俺たちはナンバーズだ」


 試験で結果を残したのは、詩織も同じだった。

 俺たちが持ち帰った魔石と同質のものを、いくつも携えていたのだ。

 結果的に詩織もナンバーズになり、その順位は俺よりも遥かに上だ。

 まぁ、俺は噂が払拭されればそれでよかったから、順位にはとくに執着がないけれど。


「しかし、リタまでナンバーズだったとはな」

「最初からただ者じゃないとは思っていたけどね」


 張り出された成績表の上位百名の中には、リタの名前があった。

 見つけた時には驚いたけれど、同時に納得もしていた。

 意味ありげで含みのある言動も、身に纏う雰囲気にも、それらしい要素はあった。

 まぁ、リタのことだ。

 ナンバーズなのか? と聞いたところで、はぐらかされていただろうから。

 結局、ことの真相はあの日になるまでわからなかっただろうけれど。


「これで噂も聞かなくなったことだし、万々歳だな」

「うん、そうだね。これでようやく」


 準備体操を終えて、俺たちは互いに刀を抜く。


「すっきりしたまま、司との戦いに専念できる」

「相変わらずだな、詩織は。嬉しい限りだ」


 諦めない心は、かくも美しい。

 あの日、試験の最中、ルナの中にもそれを見た。

 やっぱり、詩織についてきてよかった。

 この学園に来てよかった。

 ここでなら俺の願いが叶うかも知れない。

 俺と肩を並べられる存在が、得られるかも知れない。

 詩織は今よりずっと強くなる。

 ほかの生徒とともに切磋琢磨し合い、高め合うだろう。

 そしていつの日か、詩織以外にも、俺について来られる誰かが見つかるかも知れない。

 そんな淡い期待を抱ける程度には、俺にも希望が残っていたらしい。

 楽しみだ。

 本当に、楽しみでしようがない。


「いくよ、司。今日こそ、超えてみせるから」

「あぁ。来い、詩織。俺を超えてみせてくれ」


 俺たちは互いに地面を蹴った。

 揺るぎない精神と、未来への希望を持って。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。