希望
俺たちが持ち帰った魔石は、なかなかのものだった。
提出した側から、周囲がざわめいたほどに。
それから数日が経って、試験結果が発表された。
成績上位者百名からなるナンバーズ。
俺はその端のほうに引っかかる形で、名を連ねていた。
かねてからの目標は、見事に達成されたのだった。
「――ふーん。そんなことがあったんだ」
「あぁ、ちょっとしたハプニングがあったけど。なんとかなったよ」
トレーニングルームにて。
真っ白な空間から、昔懐かしい道場へと姿を変えた中で。
俺たちは身体をほぐすように準備体操を行っていた。
「いまじゃ俺たちはナンバーズだ」
試験で結果を残したのは、詩織も同じだった。
俺たちが持ち帰った魔石と同質のものを、いくつも携えていたのだ。
結果的に詩織もナンバーズになり、その順位は俺よりも遥かに上だ。
まぁ、俺は噂が払拭されればそれでよかったから、順位にはとくに執着がないけれど。
「しかし、リタまでナンバーズだったとはな」
「最初からただ者じゃないとは思っていたけどね」
張り出された成績表の上位百名の中には、リタの名前があった。
見つけた時には驚いたけれど、同時に納得もしていた。
意味ありげで含みのある言動も、身に纏う雰囲気にも、それらしい要素はあった。
まぁ、リタのことだ。
ナンバーズなのか? と聞いたところで、はぐらかされていただろうから。
結局、ことの真相はあの日になるまでわからなかっただろうけれど。
「これで噂も聞かなくなったことだし、万々歳だな」
「うん、そうだね。これでようやく」
準備体操を終えて、俺たちは互いに刀を抜く。
「すっきりしたまま、司との戦いに専念できる」
「相変わらずだな、詩織は。嬉しい限りだ」
諦めない心は、かくも美しい。
あの日、試験の最中、ルナの中にもそれを見た。
やっぱり、詩織についてきてよかった。
この学園に来てよかった。
ここでなら俺の願いが叶うかも知れない。
俺と肩を並べられる存在が、得られるかも知れない。
詩織は今よりずっと強くなる。
ほかの生徒とともに切磋琢磨し合い、高め合うだろう。
そしていつの日か、詩織以外にも、俺について来られる誰かが見つかるかも知れない。
そんな淡い期待を抱ける程度には、俺にも希望が残っていたらしい。
楽しみだ。
本当に、楽しみでしようがない。
「いくよ、司。今日こそ、超えてみせるから」
「あぁ。来い、詩織。俺を超えてみせてくれ」
俺たちは互いに地面を蹴った。
揺るぎない精神と、未来への希望を持って。




