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家が急にガラ~~~ンとしてしまったように思えた。
「お祖母ちゃん、色々ありがとう」
「気をつけて行くんやで。どこに住むか決まってるのか?」
「これから決めるねん」
「そうか。これからか。決まったら教えるんやで」
「うん。わかってるがな、お祖母ちゃん。そんな心配せんでもいいって」
「じゃあ、行ってきます」
「うん、行ってらっしゃい」
あきらは、来た時と同じで、白猫ヤマトの制服を着て帰って行った。
どこに?
ああ、しまった。両親の住所も電話番号も聞いていない、と思い出したのは、かなり時間が経過してからだった。
ガラ~~ン。
私の心の中も、ガラ~~ン。
気を取り直して、洗い物をして、洗濯をする。
ガラ~~ン。
ガラ~~ンとした部屋に掃除機をかける。
知らない間に、涙が出ていた。
掃除機をかけながら、涙がほろほろと出て来る。
何やの、一体。
もともといない孫がいなくなったぐらいで、泣くことないやないの。
あきら~。
元々はいないけど、あきらはいたんやから、仕方が無いやないの~。
うお~ん、と掃除機をかけながら、泣いてしまう。
私のうお~ん、と掃除機のぶお~んがハモる。
ブフフフフと笑う。
あきら~。
うぷぷぷと笑おうとしても、ブフフフフになる。
そうか~、あきらがいないと、うぷぷぷと笑えないんやな~。
吉沢君、と突然思う。
うぷぷぷぷと笑ったという、平行世界の吉沢君。
あんた、幸せやったんやね、幸せになったんやね、幸せのまま、死んだんやね。
良かったね、吉沢君、とさめざめと泣いていると……
ピンポーン
ゲ、こんな時に誰か来んといてよ。
宅配便なら、勝手に置いて行って。
うちに来るような友達なんかいてないし。
あ、もしかして、あきら?
忘れ物?
やっぱり、この家で生活したい?
そうやろ、そうやろ、お祖母ちゃんがいてるもんな。
ピンポーン
はい、はい、ちょっと待って。
ガチャッとドアを開けると、あきらとは似ても似つかないおっさんが立っていた。
「お母さん」とおっさんが言った。
「もう、お義母さんたら」とおっさんの陰から、おばさんが現れた。
「わかった、わかった」と私は言った。
「あきらが心配になって、来たんやね、あんた達。心配せんでも、あきらは、立派に一人暮らしができるようになったし」
「はあ?」とおばさんが言った。
「あきらて、誰ですか?」
「もう、お母さん、僕らに子供ができないて、散々文句言うてたのに、忘れてるの?」
ちょっと待て、中年夫婦。
あきらと関係ないお前達って、一体、誰?
何者?
「お母さん」??
それって、私のことやんね、きっと。
「あんた達は、誰?」




