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バーチャル無双  作者: ヤマト
32/40

滅亡へのカウントダウン




「何が起こっているの?」


揺れは激しくなり、空は暗雲と雷鳴の光が交互に辺りを染めていた。


「とりあえず、しばらく出ない方がいいよ。」


ルルは、額に汗をかき、息が短くなっている。






「悪い。俺、いってくるわ。」





俺は立ち上がり、出口の階段へと進む。


「ちょ、ちょっと!!」


「素空、待ちなさい!!!」


青白い光の残滓が、見える。


まるで助けを求めるような、涙のあと。悲しい気持ちが伝わってくる。きっと、行かなきゃダメだ。
















「これは…………」




階段を上がった先、

この世の終わりを予感させるような、大気を、いや、この地球全体を震わせているんじゃないかと思うほどの、絶望的な怪物の咆哮が、大地を割り、海に穴を開けていた。



全長数km。


いやそれよりもさらに、圧倒的に大きい。





言うまでもない、絶望。


俺は予感した。


これは、神の類だ。



「素空!!!」


肩に手が置かれる。


ルルだ。


ヤテンさんも、階段を上がってきた。


「ど、どうなってるの、これ?」




「とりあえず、中に入りましょう!」


ルルに肩を引っ張られる。


その時だった。


ガシャンッと、騎士が目の前の地面に叩きつけられた。血塗れだ。


ヤテンさんと、ルルが警戒して構える。


騎士は、後ろを振り返り、そしてまた、

歩もうとする。


しかし、片膝をついた。


青白い女性が騎士を止めるように、肩に手を置き、悲しんで泣いている。


騎士はそれでも、震える体を押して、

前に進もうとした。





俺は、彼らの前に出る。


「あとは、任せろ。」



俺が、おおきく屈み、地面を蹴り上げた。




「神だか、何だか知らねぇが、人を悲しませるような神を俺は知らねぇ。」


俺は、怪物の上で拳を構える。


「泣いてる奴がいるならよ、その涙を晴らさせるまでだ。」


俺はその頭に、一撃を叩き込んだ。


ズガァンッ!!!!!!!!!!!!!



海に叩きつけられる、その巨体は、

大きな波を引き起こした。


「ギガイシュバルト!!!!!」


「土炎壁!!!!!!」


沖の方向を見ると、ルルとヤテンさんが波からみんなを守ってくれたようだった。



「わ、悪い!!!」


「いいから、あんたは集中して!!!!!」


「目の前、来てるわよ!!!!!」




「へっ?」




目の前に口を開けた、巨獣がいた。


飲み込もうと、その体が唸り、俺を襲う。


俺は体を斜め下に捻り、上段蹴りを、

叩き込んだ。


「あ、危ねぇ。」


ギリギリ届いたけど、口の真ん中空洞部分で、飲み込まれたら危なかった。


恐らく、牙を先に俺に当てようとしたことが幸いしたか。





『聞こえますか。』


何処からか声が聞こえる。

アルテミス様?


『とんでもない敵と、戦っていますね。その者は、リヴァイアサン。恐らく、古のものの願いが封印を解いたのでしょう。この世界は神の力が干渉しているせいか、次元の歪みが大きい。イデロスには反省していただかねばなりませんね。』


アルテミス様は、声音が恐ろしく、

怒っている様子で、俺は思わず身震いした。


『今、手が離せないので、あなたにお願いしたいのですが………』


「はい、いけます。」


『頼もしいですね。それでは、せめて足場を作りましょう。』


響き渡るような心地の良い声が辺りを包む。


『深緑の大地よ。』


そう言うと、地響きが起こり、

目の前に5つの緑に覆われた大地が海の底から出現した。


『これで、大丈夫でしょうか?』


「えぇ、十分です。」


『ふふっ、それでは任せましたよ。』







俺は、下を見る。


島より大きい怪物の目が、


俺を睨んでいる。


俺はひとつの、アルテミス様が出現させてくれた島に降り立つ。


「でかいな。」


あらためて、空を覆うほどの巨体と、身が裂かれるほどの恐怖を与える威圧感。それでも、


「それでも、助けを求める誰かを、泣いている誰かを、そして、俺の大切な人達を、傷つけるって言うんなら、絶対に負けねぇ。」


巨獣は俺を島ごと喰らおうとする。


「大切な足場なんだ。やらせねぇぜ。」


俺は顎に蹴りを入れる。


すると、体は斜めに打ち上げられたが、

すぐにこちらを睨み返し、そして、

なんとそのまま体を唸らせて、空に

駆け昇っていった。


「な、、なんだ、、、???」


雲の上。


途端、雲はリヴァイアサンを中心として割れ、

その身を現した。


口には光線が溜められている。


「や、やべぇ!!!」


俺は咄嗟に、遠くの島に跳んだ。


放たれた。


辺りがまるで鏡に照らされ、反射するような真っ白な強烈な光に包まれ、、


「なっ!!?」


島は大きな風穴を開けて、

大きなマグマ溜まりを作った。


「危ねぇ。」


そう思ったのもつかの間、



「素空!!!!!!上だ!!!!!!!」


ヤテンさんの声が聞こえた。


見ると、


リヴァイアサンが再び、

灼熱の光線を溜めている。


「このまま足場を潰され続けたんじゃ、負けちまう。一か八かだ!!!!!」


俺は、島にある岩盤を持ち上げ、空に投げる。

そして、その後ろを跳んだ。


キーーーーーンッという音と共に、

再び灼熱の光線が放たれる。



俺は、途端岩盤に追いついて、

それを足場にしてさらに跳んだ。


そして、光線をかわし、リヴァイアサンの上に出た。


「これで終わりだぁ!!!!!!」


リヴァイアサンの頭上に、

全体重を、乗せた本気のパンチを入れる。



ズガァン、と頭を打ち、

リヴァイアサンはヒュルルルと音を立て、


地上に激しく落ちた。













晴れた空に、素空は拳を構える。


「いけぇー!!!!!!!!!!!!」


私は大きな声で、空に、素空少しでも想いが届くように、

声を出した。


途端、とてつもない轟音が響き、

怪物が落ちてくる。


ズゥゥゥゥーン…………と、

音を立てて、怪物は沈黙した。


「やっ…………」


「やっ…………」


「「やったぁーーーーーー!!!!!」」


ルルと私は2人で手を合わせて、抱き合って、喜んだ。本当に良かった。本当に………



「まだ…………」



何処からか、声が聞こえる。

目の前の倒れる騎士の横に、


青白い女性の姿が見えた。


「まだ、終わっていません。」















俺は沈む怪物に、安堵した。


「ふぅ、何とかなったな。」


頭から真っ逆さまに落ちていく。


「さて、どうするか………」


怖い。めちゃくちゃ怖い。

万が一大丈夫だとしても、こえぇ。

ちゃんと、着地できるかな。

大丈夫だよな?いや、俺高いところ怖いんだよ。

本当、助けてくれ。





「ん?」





なんか、島がなくなってる???

























純然たる水の脅威。


都は、沈んだ。


おおくの神々の力を借り、精鋭たちを集め、


リヴァイアサン、怪物を退けたはずだった。


その、はずだったのだ。

















「風の魔法、苦手なのよ!!!!」


ヤテンは、私たちを浮かび上がらせて、


助けてくれた。危なかった。


急に水位が上昇して、


全てが水の中に沈んだ。


一面、全てが海。全てが飲まれた。


「こんな、こんなことって………」


私は、初めて感じたことのない恐怖を覚えた。











「ははっ、困ったな。」


俺は全てが飲まれた地上……いや、海を見る。


ルル、ヤテンさんは何とか大丈夫みたいだ。


あっちに気が向かないように、何とか引きつけないとな。


巨大な目がこちらを睨みつける。


「どうやら、、大丈夫みたいだな。」


巨大な何かが迫ってくる。


リヴァイアサンの尾だろうか?


俺は手を前に重ねて、防御の態勢を取る。


感じたことのない衝撃が、全身をはしる。



バシャアァァァァン!!!!!!!!!




「「素空っ!!!!!!!!!!!」」














ゴボボッ………海の中、、

どれくらい深くまで落とされただろうか?


空中から差し込む微かな光、


目の前には、巨大な顔が見える。


「こりゃ、、とんだホラーだな。」


俺は全力で泳いで、上を目指した。


水流がとんでもない勢いで、逆方向に吸い込まれる。俺はそれに逆らうようになおも全力で上に向かって泳いだ。


途端、急激に体が引き上げられる。




「イシュバルト!!!!!」



空に浮かぶルルの元に引き寄せられて、抱き寄せられた。


「あわわわわわ……………」


島ほどの大きさのある顔が、目の前に迫る。


ガキィンッ!!!!!!!


鋼を弾くような音が響き渡る。


白銀の騎士、ティマイオスが

立ち上がり、その怪物の頬を打った。


青白い女性が俺の前に現れる。


「ありがとうございます。そして、数々の無礼をはたらき、申し訳ありません。我々は都を滅ぼしたリヴァイアサンを、完全に消滅させるべく、封印を解きました。………いえ、体よく言っているだけで、本当は復讐したかったのかも知れません。何より、都の人々の魂が浮かばれるように。」


青白い女性は、白銀の騎士の元に行く。



「あとは、お任せください。迷惑をおかけして、大変申し訳ありませんでした。そして、ありがとうございます。我々が、決着を付けます。」



雷鳴が轟く。


暗い雲に覆われ、(いかづち)がその刀身に落ちる。


いや、ティマイオス自身に雷が纏われ、その身から大きな煙が上がる。


「ティマイオス。」


女性はティマイオスの手に重ね、彼と共に、剣を振るう。


「行きましょう。」


その刀身が振り下ろされる。


しかし、なおもリヴァイアサンは怯まずに、

唸り続ける。


「くっ…………」


女性は苦しそうに声を上げる。








「………ナターリア。」


鎧から声が聞こえる。










「愛している。」










雷はより一層、激しさを増し、

リヴァイアサンがようやく押され始める。









その時だった。


雲間に一筋のあたたかな光が照らされる。



(ぬくもり。懐かしい仲間のぬくもりだ。)



騎士は剣に力を込める。


その光と共に、剣はその巨身を貫いた。





















水面が干上がる。


それと共に、騎士が降り立つその地には、


都が姿を現していた。










そして、煙と共に騎士の体は崩れていく。


周りにはかつての仲間が騎士を取り囲んだ。







そして、ナターリアが彼の鎧を取り、






その顔に優しいキスをした。






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