偏差値25 雷獣
6000字ほどです
「魔法! サンダーフォール!」
ビシャーーン!
「なにをー!天雲神鳴!!」
カッ!!ピシャーーーーン!!!
「ぐおぉっ!豊穣稲光!!!」
ゴロゴロゴロ………カッ!!!
「ねぇ、カグツチ~?」
「なんだい?リリエール?」
カグツチは窓の外を見ながら答える。
「あのバカどもは何やっているの~?」
外を指差した。
「見たままさ。お互いに雷魔法をかけ合っているのさ。」
「それはみたらわかるわ~聞きたいのは何でなのかよ~?」
「この前、リリエールがソウタくんの雷で死にかけたように普通雷が落ちたら死ぬだろう?」
リリエールはつっ込んだ。
「そりゃそうよ~!当たり前じゃない!死ななかったアタシを誉めてほしいわ~!」
「だけど、ソウタくんにはそう簡単に死んでもらいたくない。そこで雷属性の耐性をつけてもらおうかとおもってね。」
「なるほどねぇ~~でもそのために雷を受けたら本末転倒じゃないの~?」
いいや、とカグツチは否定すると、
「ソウタくんには対雷属性の魔法障壁を張ってもらいながら受けている。かなり威力は落とされるから、ま、ワクチンみたいなものさ。」
「へぇ~~ずいぶん危なっかしい方法でやらせるのね~~大丈夫かしら~?」
「大丈夫さ。」
「何でミカヅチとイハサクもソウタくんの魔法をうけてんのよ~?別にソウタくんがする必要ないでしょ~?」
カグツチは苦笑いをすると
「ああそれはね、最初は魔法の練習も兼ねて誰もいないところに雷を落としていたんだけど間違ってミカヅチに当たっちゃってね。ほら、あいつ雷神だから平気なんだけどへんなスイッチ入っちゃってさ、イハサクも巻き込まれちゃって。」
リリエールはため息をつくと
「それでバカの雷撃ち合い合戦になったのね~~」
外は雷雨なので校舎にマイン、ラコン、リリエール、カグツチは避難して窓から様子を見ていた。
「これでどうですかーー!クラウドサンダー!!!」
やった!今度は命中!
「ぐおっ効くぜぇ~!!いくぞソウ………」
バタッとミカヅチさんが倒れた。
「ど、どうしたんですか?……え?」
ミカヅチさんの頭の上に白いモコモコしたものが乗っかっていた。
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「とりあえず、ミカヅチは大丈夫よ。向こうの部屋で寝ているわ」
「ありがとうミツハ。」
「じゃ、わたしは戻るわね。リリエールと一緒にいたくないわ。」
「こっちのセリフよ!」
お互いにべーと舌を出しながらミツハさんはカグツチさんの体にもどった。
「で、問題はこれだね。」
カグツチさんは机の上にある60cmほどの白いモコモコの方を向いた。
「何でございますかね?ミカヅチ殿が頭を打った。上から落ちてきたのでございますか?」
「うーん。わからない。雷が落ちたとき眩しくてよく見えなかったからな。」
(このもふもふ、運んだとき重かったので、何か生き物じゃないですか?子犬ぐらいでしたよ?)
マインはモフモフに抱きつくと
「これ!すっごくもふもふだよ!でも、弾力があって掴めない……」
マインはぎゅーっと抱きしめてみるが少し縮んだだけでモフン!と元に戻った。
「ソウタくん~?賢神眼で見てみなさいよ~?」
「あ! …………うーん。」
「どうしたの?」
「不明って…… プロメテウス様でも知らないなんて……」
すると皆困ってしまった。
「ソウタくんの神眼でもわからないなんて………」
「たぶん、そいつは雷獣だ。」
部屋の扉の方から声がした。
「「「「「カグツチさん!!」」」」」
「大丈夫なんですか?寝ていなくても」
「ああ大丈夫だ。俺様は神だぜ?それより、そのモコモコだ。」
どんな理論………
「これが、雷獣~~?ただの白い塊よ~?生き物なの~~?」
「ああ、リリエールも見たことがないだろうな。こいつは神獣の一種だからな。」
「「「「神獣!?」」」」
「…!!ああそうか!思い出したぞ!」
カグツチさんはポン!と手を叩いた。
「ったく、しっかりしてくれよ?」
「神獣とは何なのでございますか?」
「神獣ってのは人間の前にほとんど姿を見せない幻の動物だ。その存在すら知られていないものも多い。」
「森の奥や崖の上など人間があまりいったことのない所に住んでいるものが多くてね。その中でも雷獣はトップクラスのレアものだ。」
「ええ!そんなものが落ちてきたの?」
「なるほどねぇ~神獣ならアタシでもわからないわ~あんたたち神のほうが詳しいわね~」
「ああ。私達でも知っているのはごく少数だけどね。。雷獣は雷と共に落ちて落ちた付近のものを荒らしまくる。そして次に落ちた雷を登って雲の上に帰るんだ。あまりにも見た例がなくてイタチや狸の見間違え、といわれたこともあったね。ミカヅチ?」
ミカヅチさんはうなづくと
「ああそうだ。だが俺様は数少ない見たことのある神の一人だ。たまたま雲の上を飛んでいたらこれと同じようなもんがいたのを見かけてな。ソウタが俺様に雷を撃ったあと落ちてきた。そしてその時と同じ白いモコモコ、間違いねえ。雷獣だ。」
「でもどこが"獣"なの~?白い雲みたいなモフモフだよ?」
「おそらく中に本体があるんだよ。俺にぶつかったんで気絶でもしてるんだろう。」
(ソウタ!)
(はいはい…俺は道具じゃないぞ?)
(使いこなしているのはソウタの方じゃないですか)
(お前もやろうと思ったらつかえるんだぞ!)
(何か使いづらくて……見方とか)
(チッ)
「うーん。気絶って表示はありますね。軽いものですが。」
「そうか、じゃあもう少しすれば起きるかな……」
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「このモフモフ……さわり心地最高だよね~~」
「マイン、そんなに触るな。起きたらどうするんだ」
「えー起きた方がいいじゃん~~きゃっ!!」
マインがモフモフから手を離した。
「どうした?」
「何かビリって……」
「静電気じゃないんですか~?さっきからずっとさわっていたではございませんか~」
ワコンがさわろうとした時、
「 ピャッ!!」
ラコンが足元からくずれた。
『俺様に触るんじゃねぇ!竜が!』
「「「「「!!!!!!」」」」」
白いモフモフからピョコンと顔が出てきた。
「い、今のは!?」
『テレパシーだ。俺様は口ではしゃべれねぇがこうすればお前たちと話をすることができる。』
灰色の虎のような顔をした獣がモフモフからのそのそと出てきた。
「やはり中にいたか。」
『あ? ………ここは魔力だらけじゃねーか!』
モフモフに乗ったまま獣は部屋の中を飛び回った。
「もぅ~なによぅ~!」
獣は満足したようでまた机の上に戻ってきた。
「な、何をしたの?」
『んあ? 魔力をくったんだよ。』
「大抵の神獣は空気中に漂っている魔力が餌なんだ。」
『そうそう………ムニャムニャ』
「寝たよ、こいつ」
体を丸めてモフモフの上で寝ている。
「よく寝れますね……」
「大丈夫かい?ラコン」
ラコンは手を抑えながら
「ええ。電気が流れたようで痺れただけでございます。」
「こいつ、なんなの?雷獣っていっても何か、変な見た目だし」
確かにマインの言う通りだ。灰色の虎の頭に体は犬のように毛が少ない。それに尻尾だけ狐のようだ。ふさふさしているが、見慣れない。
「俺様でも遠くからしか見たことがねーからわからねぇが…魔力を食ってるし電気を操る。雷獣だろうな。」
『ゴチャゴチャうるせーな』
「あ、起きた。」
じーっとこちらを見ている。
『俺様はてめーらが言っている雷獣だ。いつもは雲の上で寝てるが、さっき雷が落ちただろ? それに巻き込まれて一緒に落ちてきたんだよ。』
「あーごめん。それ、俺です」
『てめーの仕業か!痛かったんだぞこん畜生!』
ガー!と吠えてきたがかわいいので全然怖くない。
「君は何歳なんだい?ずいぶん人語を知っているじゃないか」
『一才だ。ピチピチのイケメンだ!』
「一才!赤ちゃんじゃない!かわいー!」
『赤ちゃんじゃねーよ!この赤髪貧乳女!もう大人だ!』
「ひ、ひどい!この子口悪い!」
なんかイキッてるヤンキーみたい。
「どうやら性格は似るみたいだね。」
カグツチさんはチラッとミカヅチさんを見た。
ミカヅチさんは少しイラッとすると
「おい、雷獣、てめーは帰らなくていいのか?雲の上に帰れないんなら雷神の俺様が送ってやろう。」
『あー、いい。俺様はここにいる。』
雷獣はまた体を丸めた。
「え?」
『どーやらてめーらはほとんど全員結構な魔力を持っているな。さっき雷神とかいったな。赤髪貧乳女は普通だし、竜の匂いが気に入らねぇが、てめーらのとこに居たら漏れた魔力が食いほーだいだ。』
「(魔王のアタシは構わないのね~)」
「「くっ……」」
マインとラコンは悔しがった。
(主、そんなに我は竜の匂いがしますか?)
(知らないよ、俺に聞かれても。動物だから鼻がきくんじゃない?)
「ここにいるって、雲の上に仲間はいないのかい?」
『いねーよ。お袋とは少し前に別れたし今は俺様一人だ。』
「ふーん」
『ということでそこの目の色がちがうガキ!お前の魔力は透き通っていてうまい!しばらく食わせてもらうぜ』
ビシッと指された。
(ぷっそのままですね。目の色が違うガキ……クク)
(お前な……)
「カグツチさん、大丈夫なんですか?ここにいて。」
『心配すんなって。お前の周りに漂っている魔力を食うだけだからよ』
「…だそうだ。世話は任せたよ。ソウタくん」
「え?俺ですか?」
『おう頼むぜ!』
「うーん。わかったよ。ただ俺の近くにいるだけなんだろ?」
俺は雷獣を撫でてみた。
『おふん……』
「「「「「え。」」」」」
とろんとした表情になった。
『おーう それ気持ちいいぜ……もっとやってくれ』
「えーと、こう?」
猫を撫でるように背中を撫でると、
『おほほほう!最高だ!もっと、もっと~~!』
「(くっ 我も恥ずかしいから我慢している主の撫で撫でを!)」
「わ、私も……」
マインもこわごわと撫でる。
『お~~~!赤髪貧乳女やるじゃねぇか!悪くいってすまなかったな。赤髪と呼んでやるよ。』
「なにを~!!」
『おほほんはふんえふんおふん!!……』
「「「「…………(ナニコレ…)」」」」
『じょ、じょうちゃんやめてくれ、このままだと俺様戻ってこれなくなっちまう』
「あ!ごめん!」
マインはパッと手を離した。
『ふ~お前は俺様の雲も触ったみてーだな。赤髪の匂いがする…』
「私はマインだよ!」
『おっとわりぃ。マイン。この雲は俺様の毛を集めて魔力で固めたもんだ。さわってもいいが大事にしてくれよ?』
「なんか仲良くなったみたいだね……
」
「そうですね……」
「あの、我は……」
『竜、てめーはダメだ。てめーは魔力はそこの……』
「ソウタです」
『ソウタに似ているが匂いが嫌いだ。人間の姿だが気に入らん。』
竜人だからな。
「え~……」
ラコンはしょげた。
「あんたは名前、何て言うのよ~」
リリエールさんがラコンの肩を叩いて言った。
『あ?名前……そうだな、まだないな』
「ないの?なら私がつけていい?」
『ああ、構わねえぜ。撫でてくれたお礼だ。』
マインは少し跳ねると
「やった!じゃ~あ~………」
「トルエノ!」
『かっこいいが、どういう意味だ?』
「雷よ。すっごい大きい雷を『トルエノス』って言うんだけどそこからトルエノ!」
『…いいぜ、気に入った。雷を落とし、雷と共に現れる俺様にぴったりだな。』
マインはトルエノに抱きついて
「よかったー!ところでトルエノは雷を落とせるの?」
『そうだぜ?見たいか?』
「見たい!」
『じゃあここは狭いから外に行こうぜ。てめーらにもみせてやるよ』
カグツチさんはマインとトルエノが仲良く外にいったのを見て
「本当に仲良くなったね……」
「ああ、撫でるだけで喜ぶなんて動物はちょろいな。」
リリエールさんは
「違うわよ。マインの家は牛や馬を飼っているから動物の扱い方が上手なのよ。あんたたちは違うでしょ?」
あー、確かにマインは馬でもなんでも動物と仲良くなるからな~
「わ、我なんて馬に触ろうとしたら怖がられるし、トルエノにも…匂いが嫌いと………」
泣くな、多分それ龍の覇気が残ってるんだと思う。もとがあんな巨大な竜だったんだから動物も怖がると思うよ。村人にも何人か一瞬びくってなった人もいたし。
『まずはな、こうやって……』
トルエノは乗っている雲ごと浮き、雲を広げた。
「おお~」
『マイン、乗ってみろ。』
「え!乗れるの!」
マインが乗ってみると・・・
「おお~ふわっとしてる~!おもしろーい!」
『このまま上に行くと……』
「うっ 高い…」
マインとトルエノは20メートルほど上がり、
『じゃあ落とすぜ!』
「え!」
トルエノの雲が黒くなり、
ピッシャーーーーーーーーン!
「ぎゃああぁぁぁぁ!」
雷を落とされた…………
「ソウタくん!」
う、うう…………
「よく雷を食らって平気ねぇ……」
「特訓の成果ですねカグツチさん……」
「良かった。耐性をつけておいたおかげだね」
『チッやっぱ雷ごとき平気か』
「いや、トルエノ、ソウタだけ別、普通死ぬから。人に雷落としちゃダメ!!」
『わーッたよ』
このあとトルエノにお仕置きのナデナデ地獄をした。
日中は昼寝だけして夕方から元気になるらしい。
俺が勉強してる間は俺の上を飛んでいるだけだし、マインを気に入っているのでマインの言う事なら何でも聞くようになった。
村の人達に見せたら珍しがったがあまり触られることが好きではないようで、撫でられることは女の人からしか受け付けなかった。
最初俺に世話になると言っていたが結局マインの家に住み着くことになった。
マインの家も動物が増えるくらい大したことはないようで喜んで受け入れた。
ちなみに神獣は人の前に現れないというがそれぞれらしくトルエノは別に人間の前に現れるのは構わないらしい。普段雲の上にいるので人と会わないだけだそう。
メンデルさんに見せたらすごい勢いで研究したがったので遠ざけた。神獣なんてなかなか研究ができないらしく超超レアな存在で土下座もされたがトルエノも嫌がったのでやめた。
はぁ、またすごい仲間が増えた。
続く。
今週末は改稿をする予定です。
気が向いたら更新もします。





