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【新装版】子ども達の逆襲 魔王城で子どもを守る保育士兼魔王始めました。  作者: 夢見真由利
第五章 保育士魔王兼精霊女神 始めました。
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大聖都 星の遺産

 国王会議を終えた夜。


「いやー、一仕事の後の酒は美味い!」

「なんだか、こうして皆でワイワイと集まり、話をするのは楽しいなあ。

 旅の頃を思い出さないか? ライオット」

「まあ……そうだな。不老不死時代もだが、その前も各国はほぼ鎖国状態。

 戦以外で国同士が関わることも殆どなかったからな」


 城の大広間では、七国の王子様達が(公子様や皇子様もいるけれど、王子様でとりあえず統一)夕食後、楽し気に酒盛りをなさっていた。

 日中は皆様、とても頑張って下さったから、慰労会をすることに文句はない。

 だから夕食も作ったし、おつまみの提供もしたよ。

 アルケディウスが誇る麦酒蔵、エクトール荘領のピルスナーも開けて、英気を養ってもらおう。

 でも、魔王城にこんなに男性が集まり、酒盛りをしているなんて光景は初めて見る。

 皆様、終始笑顔だ。お酒を飲まないフェイやリオンも実に楽しそう。

 アルも最初はちょっと遠慮がちだったけれど、今は随分と馴染んだみたいだ。


「七国の王族がこんなに近しい距離で顔を合わせ、親しく酒を酌み交わすなんて初めての事でしょうから楽しいのかしらね」


 女性は私と側近達、それに心配して手伝いに来てくれたお母様だけ。

 まあ、皆様妻帯者だし、王族だし。私の従者にちょっかい出すなんてことはしないと安心しているけれど、予想以上に女性抜きでも今の状況を楽しんでおられている様子。男子会って感じ?

 ちょっと予想外だった。

 コスモプランダーとの宇宙決戦。

 私とリオン。よくてアルとフェイで向かうかな、って思っていたのに。

 まさか、こんなに大所帯になろうとは




「姫君。リオン殿。

 コスモプランダーとの決戦において、星の守りについてはどうか、我々、地上の者にお任せ頂きたい」


 会議で、七人の王子様たちが宇宙に行くと宣言された後、一気に事態は対コスモプランダー、宇宙戦闘の準備に話は動き出した。

 アーヴェントルクの皇帝陛下は私達にそう断言し、宇宙での戦闘を私達に任せる代わりに地上の守りは全て請け負うと言ってくれたのだ。


「隕石から領民を守り、魔性や毒の影響を最小限にできるよう『精霊神様』達の指示の元、手配や準備を進めております。星と大陸を盾に、剣を収めよと脅迫するような状況あらば、断固拒否して、コスモプランダーの殲滅に専念して頂きたい」

「大丈夫なのですか? 隕石は小型と言えど地上に落下すればかなりの被害が出ます。

 また毒をまき散らしたり、怪物を出現させたりする可能性もありますよ……」

「皆様が、宇宙に向かわれる日は各領地の民に神殿か、王城に避難する様に命じる予定です。各地から避難民が王都に集まってきており、数日中には各国とも殆どの民が王都に集まるでしょう」


 この世界の総人口は実はそこまで多くは無い。

 七国全てで一千万いないくらい。一国百万人ちょいと考えれば数日位は王都で我慢して貰えるだろうか?


「王都を守る結界術が『精霊神』様より各国王に授けられております。

 零れる民がいないとは言い切れませんが、我々も全力で対処に当たりますので」


 そうして、各国の対処に当たる王族の方々とは別に七国の王子様達が、宇宙船に同行して私達を助けて下さることになった。


「我々に何ができるか解りませんが、全力でお手伝いさせて頂きたいと思います」

『よく言った』


 そう告げた彼らに、私達の会議を見守っていたのだろう『神』はその立体映像を浮かべ、満足そうに腕を組む。


『これから、三日間。貴様らには宇宙船の操作方法などを叩き込む。

 基本の生命維持や操作などは私とマリカがやる。お前らは情報収集や報告、状況把握などを助けてやるがいい』


 そうして『神』は搭乗予定者を魔王城に集め、訓練を始めたのだ。

 まず、八人に不思議なサークレットを与えた。

 なんだか、こうなることを予想していた感じ? 準備万端?

 私のサークレットと違って、忍者の鉢金のようなシンプルな鉄(?)の輪っかだった。

 でも、被った途端。


「うわああっ!」「な、なんだこれは!」


 王子様達、皆様悲鳴を上げていた。

 後から聞いたら、叩き込むとおっしゃったとおり、一種の強制学習装置。

 情報を脳の中に直接注ぎ込む圧縮学習の為のものなんだって。


『実践が伴わないので、長くはもたんが、まったく違う技術体系を持つ宇宙船の操作方法を数日で叩き込み、役に立つ仕事をさせる為にはこれしかない』


 って。

 かなりの基礎学力と精神力が無いと、この圧縮学習に耐えられない。

 だから、最低でも王子達クラスの人材が必要だったと『神』はおっしゃる。

 実際、フェイとアルを除く全員、頭の中にいきなり高密度の情報を注ぎ込まれて息も絶え絶えだった。 

 フェイは既に地獄の変生を経ているし、アルは『神』に身体を作り替えられた時に基礎が刷り込まれているからマシだったらしい。

 半日ほぼ寝台でのた打ちまわっておられたみたいだけれど、皆様なんと耐えきって新しい知識や技術をものにしたようだった。初日の分は。


「酷い目に遭いましたが、これはこれで慣れれば便利そうですね。機械操作の仕方などの共有に役立つのではないでしょうか?」

「いや、もう御免だけど」

「まだまだ、宇宙に飛び立つ為にはもっと知識が必要な様子ですよ」


 数日中には、元真魔王城、今はエリクス達が城として使っていた宇宙船が来る。そしたら数日かけて実地研修をして、一週間後の今日、宙に飛び立つと決まった。

 つまり、コスモプランダーとの決戦も一週間後、ということだ。

 多少伸びたりしても、もうすぐ。

 でも、皆様、不安は感じていない様子。


「負ければ死ぬかもしれないんですよ」

「ならば、負けなければいいことです」


 明るく言い切ったグランダルフィ王子だけではなく、他の皆様も負けることを前提には考えていないのだという事が心強かった。

 王子様達は魔王城に出発まで住み込み、訓練を続ける。

 言わば合宿だね。

 今までとは想像もつかない新しい経験に皆様、興奮気味の様子だ。


「しかし、大神殿の地下にあのようなものが眠っていたとは」

「神の国、というのは本当に驚くべき技術を持っていたのですな」


 初日を終え、皆様の酒盛りの一番の話題。

 つまみは、神々から与えられたロストテクノロジーの話。

 まあ、無理もない。

 私だって、少しドキドキした。

 その主役たるお父様は、といえば平然を装っておられるけれど、実際は一番喜んでいることを知っている。


「これで、やっとお前とまた肩を並べて戦える」


 って……。



 会議の区切りがつき、王子様達が圧縮学習で悶えていた午後、私はラス様に呼ばれて大聖都に戻った。

 リオン、フェイにアル。それからなぜかお父様も一緒に来るように言われて。

 指定箇所についてみれば、精霊獣様達がずらり。

 ナハト様に、エーベロイス様。ジャハール様と、ラス様も。


「皆様、精霊獣を出せるくらいに回復されたのですか?」

『一応ね。それに必要な時、子ども達がやる気を見せたのにおっくうだとか、面倒だとか言ってられないし。というわけでマリカ』

「はい」


 ラス様はぴょんと、私の頭に飛び乗るとてしてしとと前足で示して、目の前を指す。


『マリカ。この間の地下コンテナ移動の時と同じ要領で、ここを掘り返して?』

「ここ、って禊の泉じゃないですか? 掘り返したら壊れちゃいますよ?」


 そこは神殿の奥の院。

 私が儀式の度に閉じ込められ、夏でも冬でも禊だといって水をじゃぶじゃぶかけられた聖なる泉だった。


『もう必要ないからいい、って『神』からの許可は貰ってる。

 むしろ、この下にあるものがこれからの戦いに必要なんだ』

「この下に在るモノ?」

『そう。地球から持ってきた。今となっては最後の遺産の一つ。

『星の翼』だよ』

「星の翼? ですか?」


 まあ、ここは最奥の聖域で大きな穴を開けてもそんなに影響は無さそうだ。

 念の為、神殿の者たちを避難させて。フェイの許可を貰って。

 エーベロイス様やジャハール様のお力も借りてよく解らぬまま、掘り返すとそこには


「あ? 屋根?」


 大きめのコンテナ? 格納庫のような地下室があった。

 そしてそこをこじ開け入ると……思いかけないものが鎮座していた。


 それは正しくロマンの欠片。地球文化の遺産だった。


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