<第二十足>新入りな私②
制服を着て、専用のポーチを身に付ける。
自分がここの店員の一人でもあるとなると、更に視点が変わる。
「よし。俺は売り場に戻るから、店長の指示に従うことだな。あとでお前の担当、分かると思うから」
「うん…」
「初出勤だからとか、気にしなくていい。俺も時々ミスしてるから。さ、行ってきな」
希望さんと売り場で別れ、盾澤店長の後をついていく。
「まずはここ。アウトドアとアスレチックコーナー」
まずはアウトドアとアスレチックコーナーへ案内される。
アウトドアでは登山はもちろん、キャンプやスキー用品を取り扱っている。
「ここの担当、居なくて今は俺が担当してるんだよね」
「……よう見てりゃ、店員少ない…」
「そうなるよね…ここには悪人面で気性が荒い人が怖くて他の社員もバイトも辞めて困っ「あ?」
しかも、ここには担当する社員は居なくて、今は盾澤店長が担当しているらしい。
それに─この店には気性が荒い社員が原因で辞めてくバイトや社員が常にいたのだとか─。
「誰が悪人面だよ。あ?」
「加堂さん…この子、今日から初出勤の如月夢玖さんだ」
「……は、初めまして…如月夢玖いいます…」
まさかのその社員が来た。
長い黒髪をハーフアップに纏め、悪人面に似合わない眼鏡。
そして、悪人面より両脚に装着されたサポーター。
少なくとも、過去に何か辛いことがあったことが分かる。
「小せえなぁ…あの馬鹿が言ってたバイトはお前か」
「如月さん。彼は加堂さん。言葉遣いも気性も荒いけど、悪い人じゃないから安心してね」
「俺は一般人だっ!」
希望さんから私のことを聞いてたそうだが、この人と打ち解けるには時間が掛かりそうだ─。
盾澤店長の後を追うよう、次のコーナーへ。
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「次は眼鏡コーナー。実は俺の弟もここでバイトしてるんだ」
「店長に弟……スポーツ万能なんかな…?」
「あはは。そんなんじゃないよ……あ、噂をすれば…」
次は眼鏡コーナー。
主にスポーツメガネを取り扱うのだが、腕時計や歩数計なども取り扱っている。
「ふわぁ…あれ、兄貴」
「やっほー。この子、今日から初出勤の如月夢玖さんだ」
「………よ、よろしくお願いします」
「僕は盾澤雷磨です。二十二歳の医大生です。兄は筋肉バカですが、日常茶飯事なのでお気になさらず」
受付からある男性スタッフが出てくる。
彼は盾澤雷磨。盾澤店長の弟でもあり、医大生。
「二十二歳……愛姉と同い歳やんな?」
「愛…姉?その…人のフルネームは?」
「煌星愛…私の担任兼義姉です」
愛姉と同い歳だと知り、彼に愛姉のことを聞かれる。
雷磨さんは頭を抱えてため息をつく。
私は一から事情を話した。
「なるほど…そうだったんですね…」
「雷磨さんは愛姉と知り合いなんです?」
「………彼女とは、高校の同級生です」
「同級生?」
渋々彼は言った。
愛姉と雷磨さんは高校の─いや、県内トップの安栄高校の同級生で、当時学年一位を取り合ってたらしい。
「高校卒業して以来、一度も会ってないんです」
「そうなんですね…ほんまに美人やし、昨日は一緒にご飯作って食べて、お風呂入って同じ布団で寝てんです」
「……如月さん、彼女…強がりなので、もしもの時は傍にいてあげてくださいね」
その桜色の瞳からは、愛姉の傍にいるように意図を読まされた。
勉強も教えると気にも掛けてくれた。
「うちの店舗は人数は少ないけど、その分繋がりが強いんだ…次はシューズコーナー行こう」
この時の私はまだ知らない。
靴が、足を支えるだけでなく、人の人生も支える効果もあるなんてことを─。
……To be continued
第二十足(第二十話)を読んでいただきありがとうございます。
実はここ最近、夏風邪を引いてしまい、投稿もおやすみしてました。少しずつ連載していきますので、応援よろしくお願いいたします。
それでは、まだお会いしましょう。




