<第十七足>鎖の理由
煌星家でのお泊まり会。
夕食のすき焼きはとても美味しかった。
関西のすき焼きは初めてだった。
「初対面なのに、一緒にお風呂って…なんか面白いよね」
「ううん……舞姫ちゃん…可愛い」
「仁愛ちゃんも可愛いよ。先シャワー浴びるね」
あみだくじで、今日のお風呂は舞姫ちゃんと入ることに。
歳上で愛ちゃんの妹とはいえ、
とても綺麗で、豊満だ。
「……仁愛もお風呂入ろ♡」
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「仁愛ちゃん、背中流してあげる」
「えぇ…?いいのー?♡」
「うん。今日勉強沢山したからね…」
「ふふっ♡」
シャワーを浴びると、舞姫ちゃんは既に湯船に浸かっていた。
ボディソープを泡立て、仁愛の身体を洗っていく。
「くすぐったい♡」
「ふふっ。ね、夢玖ちゃんどう?」
「夢玖ちゃん…可愛いし、学校にも慣れてきたよ」
「良かった。あの子のこと…お願いね」
「うん………あんっ♡」
優しく洗われていく。
舞姫ちゃんは話に夢中になり、胸へ手が伸びてしまった。
「あ、ごめん…。でも柔らかくてむちむちしてる……ずっと触ってられる。私より大きいかも」
「んん〜♡後で沢山揉んで〜♡」
「可愛いなぁ…あ、髪下ろしてみてよ…見てみたい」
揉みほぐされつつ洗われた。
舞姫ちゃんに言われ、髪を下ろす。
「わぁ…艶々…!お姫様みたい!」
「顔も身体も髪も生まれつきでさ……ふふっ」
「………そっか。湯船浸かろ」
舞姫ちゃんの背中も流し、湯船に浸かった。
****
向かい合って湯船に浸かる。
湯には四つの豊満な膨らみが浮いていた。
「舞姫ちゃんも…結構バストあるね」
「仁愛ちゃんもじゃない。ところでその…」
舞姫ちゃんの綺麗な顔にうっとりしてると、
舞姫ちゃんが深刻そうに話し掛けてきた。
「っ!み、見ないで!」
「それ………まさか…っ!」
そう。仁愛の鎖骨には刺青が彫られてるのだ。
鎖骨に貼っていたシールが剥がれてしまった。
「刺青…?」
「………見つかっちゃった」
「見つかったじゃないよ……その、言いたくなかったらいいんだけど……なんで?お姉ちゃんは知ってるの?」
仁愛の鎖骨を見ては顔を青ざめていた。
そう。この刺青にはお洒落じゃなく、理由があるのだから。
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『ごめんね仁愛…お父さん、死んぢゃった…』
『嘘……』
一年前。仁愛の家庭はとても複雑だった。
浮気癖のあり蒸発した母が作った借金を、
父と姉が死ぬ気で働いて返済していた。
『仁愛…ごめんね』
その借金は利息も兼ねて、減るどころか増える一方。
仁愛もアルバイトで二人を支えていた。
生まれ持った、恵まれた容姿と顔のお陰もあり、
その頃は姉と父が風邪で寝込んでも問題ない程稼いでいた。
『ごめんねっ!』
でも、父が鎖で首吊り自殺をした。
そのせいか、姉は仁愛に睡眠薬を飲ませ、鎖骨に鎖の刺青を入れたのだ。
『………痛っ』
目が覚めた頃には、姉も交通事故で亡くなっていた。
仁愛に残されたのは母が作った多額の借金と鎖骨の刺青だった。
『おい…!返済日過ぎてっぞ!おらっ!』
『ぐすっ…ヒック!』
『女だからって容赦しねぇぞ』
『違うの…お父さんもお姉ちゃんも死んで…どうしたらいいか分からないのっ!』
『……行くとこ、ねぇのか』
『うん……っ』
ある日の返済日。
ヤクザ達が押し掛ける。
仁愛は藁にもすがる思いで、ヤクザ達に泣き付いた。
『借金はチャラには出来ねえ。でも、飯と寝床はくれてやる』
『本当…?』
『あぁ。お前は…麗しいからな』
そこからはあまり覚えていない。
でも、この生活はアルバイトより断然良かった。
ご飯も寝床も、人々の暖かさもあるのだから。
****
「……愛ちゃんは知ってるよ。詳しくは言えないんだけど、仁愛ね…お父さんとお姉ちゃん亡くして、形見なの」
「そうなんだ……辛かったね」
ざっくりと刺青の理由を話す。
でも、笑顔で笑ってくれた─。
その顔は、愛ちゃんに似ていた。
「うん…。でもいいの。こうして夢玖ちゃんと出会えたから」
「そうだね。お風呂上がったらハーブティー淹れないとね」
「そうだね…お泊まり会…まだまだ始まったばかりだもんね♡」
この刺青は、亡き家族の形見。
そして─仁愛が乙女である証拠でもある。
高校卒業したら、離れ離れになるのかもしれない。
「次お風呂どうぞ〜!」
だから、後悔しないように、高校三年生を終えたい。
しかし─残された学校生活は、まだまだ始まったばかりだった。
……To be continued
第十七足(第十七話)を読んでくださり、ありがとうございます。
今回は仁愛の秘密を書きました!
次回─そろそろ夢玖のアルバイトが─!
それでは次回またお会いしましょう!




