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透ける約束は片結び  作者: 檻 依舞 (おりーぶ)
【第二章】青い春と片結び

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<第十七足>鎖の理由


煌星家でのお泊まり会。

夕食のすき焼きはとても美味しかった。

関西のすき焼きは初めてだった。


「初対面なのに、一緒にお風呂って…なんか面白いよね」


「ううん……舞姫ちゃん…可愛い」


「仁愛ちゃんも可愛いよ。先シャワー浴びるね」


あみだくじで、今日のお風呂は舞姫ちゃんと入ることに。

歳上で愛ちゃんの妹とはいえ、

とても綺麗で、豊満だ。


「……仁愛もお風呂入ろ♡」


****


「仁愛ちゃん、背中流してあげる」


「えぇ…?いいのー?♡」


「うん。今日勉強沢山したからね…」


「ふふっ♡」


シャワーを浴びると、舞姫ちゃんは既に湯船に浸かっていた。

ボディソープを泡立て、仁愛の身体を洗っていく。


「くすぐったい♡」


「ふふっ。ね、夢玖ちゃんどう?」


「夢玖ちゃん…可愛いし、学校にも慣れてきたよ」


「良かった。あの子のこと…お願いね」


「うん………あんっ♡」


優しく洗われていく。

舞姫ちゃんは話に夢中になり、胸へ手が伸びてしまった。


「あ、ごめん…。でも柔らかくてむちむちしてる……ずっと触ってられる。私より大きいかも」


「んん〜♡後で沢山揉んで〜♡」


「可愛いなぁ…あ、髪下ろしてみてよ…見てみたい」


揉みほぐされつつ洗われた。

舞姫ちゃんに言われ、髪を下ろす。


「わぁ…艶々…!お姫様みたい!」


「顔も身体も髪も生まれつきでさ……ふふっ」


「………そっか。湯船浸かろ」


舞姫ちゃんの背中も流し、湯船に浸かった。


****


向かい合って湯船に浸かる。

湯には四つの豊満な膨らみが浮いていた。


「舞姫ちゃんも…結構バストあるね」


「仁愛ちゃんもじゃない。ところでその…」


舞姫ちゃんの綺麗な顔にうっとりしてると、

舞姫ちゃんが深刻そうに話し掛けてきた。


「っ!み、見ないで!」


「それ………まさか…っ!」


そう。仁愛の鎖骨には刺青が彫られてるのだ。

鎖骨に貼っていたシールが剥がれてしまった。


「刺青…?」


「………見つかっちゃった」


「見つかったじゃないよ……その、言いたくなかったらいいんだけど……なんで?お姉ちゃんは知ってるの?」


仁愛の鎖骨を見ては顔を青ざめていた。

そう。この刺青にはお洒落じゃなく、理由があるのだから。


****


『ごめんね仁愛…お父さん、死んぢゃった…』


『嘘……』


一年前。仁愛の家庭はとても複雑だった。

浮気癖のあり蒸発した母が作った借金を、

父と姉が死ぬ気で働いて返済していた。


『仁愛…ごめんね』


その借金は利息も兼ねて、減るどころか増える一方。

仁愛もアルバイトで二人を支えていた。

生まれ持った、恵まれた容姿と顔のお陰もあり、

その頃は姉と父が風邪で寝込んでも問題ない程稼いでいた。


『ごめんねっ!』


でも、父が鎖で首吊り自殺をした。

そのせいか、姉は仁愛に睡眠薬を飲ませ、鎖骨に鎖の刺青を入れたのだ。


『………痛っ』


目が覚めた頃には、姉も交通事故で亡くなっていた。

仁愛に残されたのは母が作った多額の借金と鎖骨の刺青だった。


『おい…!返済日過ぎてっぞ!おらっ!』


『ぐすっ…ヒック!』


『女だからって容赦しねぇぞ』


『違うの…お父さんもお姉ちゃんも死んで…どうしたらいいか分からないのっ!』


『……行くとこ、ねぇのか』


『うん……っ』


ある日の返済日。

ヤクザ達が押し掛ける。

仁愛は藁にもすがる思いで、ヤクザ達に泣き付いた。


『借金はチャラには出来ねえ。でも、飯と寝床はくれてやる』


『本当…?』


『あぁ。お前は…麗しいからな』


そこからはあまり覚えていない。

でも、この生活はアルバイトより断然良かった。

ご飯も寝床も、人々の暖かさもあるのだから。


****


「……愛ちゃんは知ってるよ。詳しくは言えないんだけど、仁愛ね…お父さんとお姉ちゃん亡くして、形見なの」


「そうなんだ……辛かったね」


ざっくりと刺青の理由を話す。

でも、笑顔で笑ってくれた─。

その顔は、愛ちゃんに似ていた。


「うん…。でもいいの。こうして夢玖ちゃんと出会えたから」


「そうだね。お風呂上がったらハーブティー淹れないとね」


「そうだね…お泊まり会…まだまだ始まったばかりだもんね♡」


この刺青は、亡き家族の形見。

そして─仁愛が乙女である証拠でもある。

高校卒業したら、離れ離れになるのかもしれない。


「次お風呂どうぞ〜!」


だから、後悔しないように、高校三年生を終えたい。

しかし─残された学校生活は、まだまだ始まったばかりだった。




……To be continued

第十七足(第十七話)を読んでくださり、ありがとうございます。


今回は仁愛の秘密を書きました!

次回─そろそろ夢玖のアルバイトが─!


それでは次回またお会いしましょう!

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